過去問

社労士試験勉強法 過去問攻略!「国民年金法 給付制限 紙一重の差で内容がガラリと変わります!」国-24

今回は給付制限についてのお話です。

給付制限は厚生年金法でも記事にしていますので、よろしければ一緒に読んでもらえたらと思います。

 

参考記事:社労士試験勉強法 過去問攻略!「厚生年金法 保険給付の制限にはどんな種類が?」 厚−20

 

基本的な考え方は同じです。

ちょっと確認しておきましょう。

 

  1. 故意に」→「支給しない」、「受給権の消滅
  2. 故意犯罪行為」、「重大過失」、「療養に関する指示に従わない」 →「全部または一部を行わないことができる
  3. 「(書類などの)提出命令従わない」、「質問応じない」 →「支給停止
  4. 届出をしない」、「(書類などの)提出をしない」 →「一時差し止め

 

支給停止」については、たとえばお役所の人が「書類を出してね」と言っているのに「出さない」場合です。

一時差し止め」は、単に「書類が提出されていない」状態で、言い換えると、「うっかり書類を出し忘れている」可能性も含んでいますよね。

なので、

一時差し止め」の場合は、書類を出せば、差し止められた当時にさかのぼって給付してもらえますが、

支給停止」は命令に従わなかったという悪質性から、後で書類を提出しても、さかのぼって給付されることはありません。

一見、同じような内容でも、わざとやっているのかそうでないかで、ガラッと内容が変わってしまうのです。

それでは、前置きはこれくらいにしておいて、過去問のチェックをしていきましょう。

 

「故意」の場合は、、、

(令和元年問6D)

遺族基礎年金の受給権は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、消滅します。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、遺族基礎年金の受給権は消滅します。

受給権が消滅する、ということは、「支給しない」ということですね。

この問題の場合は、すでに受給権が発生している状態でのお話ですが、次はまだ遺族基礎年金の受給権がない場合を想定した問題になっています。

ちょっと見てみましょう。

 

ひょっとして火曜◯スペンス?

(令和元年問6C)

被保険者又は被保険者であった者の死亡前に、その者の死亡によって遺族基礎年金又は死亡一時金の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者には、遺族基礎年金又は死亡一時金は支給しない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

この問題文の場合は、まだ被保険者(被保険者であった人)が生きているので、遺族基礎年金の話も出てきていません。

でも、「◯◯がいなければ自分が遺族基礎年金をもらえるのに、、、」と考えた末に、遺族基礎年金(死亡一時金)の受給権者になる予定の◯◯さんを、故意に手をかけてしまった場合も、受給権は得られませんよ、ということですね。

ある意味、遺産狙いの殺人を犯しても当然ダメなんですね。

ちょっと、きな臭くなってきましたので気分を変えて次の問題にいきましょう。

冒頭でお話しした、支給停止についての過去問です。

 

命令に従わなかったら?

(令和元年問5E)

受給権者が、正当な理由がなくて、国民年金法第107条第1項に規定する受給権者に関する調査における命令に従わず、又は当該調査における職員の質問に応じなかったときは、年金給付の額の全部又は一部につき、その支給を一時差し止めることができる。

 

解説

解答:誤

「一時差し止める」ではなく、「停止する」ことができます。

受給権者が、正当な理由がなくて、身分関係や障害の状態などの調査における命令に従わず、又は当該調査における職員の質問に応じなかったときは、年金給付の額の全部又は一部につき、その支給を停止することができます。

つまり、年金を給付するにあたって必要な情報を集めるために調査しているのに、書類の提出命令などに従わないなら、支給を止めちゃうよ、ということですね。

支給停止の場合、支給を止められている間の給付のお金は、後で取り戻すことができません

それに対して、一時差し止めの場合は次のようになっています。

 

書類を出し忘れていただけなんです。

(平成23年問2D)

受給権者は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令の定める事項を届け出、かつ、厚生労働省令の定める書類その他の物件を提出しなければならないが、受給権者が正当な理由がなくて届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないとき、厚生労働大臣は年金給付の支払を停止することができる。

 

解説

解答:誤

「停止する」でなく、「一時差し止める」ことができます。

こちらの方は、書類をただ出していなかった、という意味になりますから、命令されているわけではありません。

なので、

一時差し止め」は、書類さえ出せば、差し止められていた期間の分も含めて給付が復活するということになります。

 

今回のポイント

給付制限のポイントは、

  1. 故意に」→「支給しない」、「受給権の消滅
  2. 故意犯罪行為」、「重大過失」、「療養に関する指示に従わない」 →「全部または一部を行わないことができる
  3. 「(書類などの)提出命令従わない」、「質問応じない」 →「支給停止
  4. 届出をしない」、「(書類などの)提出をしない」 →「一時差し止め

となります。

また、

◆「一時差し止め」の場合は、書類を出せば、差し止められた当時にさかのぼって給付してもらえますが、「支給停止」は命令に従わなかったという悪質性から、後で書類を提出しても、さかのぼって給付されることはありません。

 

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