心理的負荷による精神障害というのはケガの場合と違い、見た目には分かりにくいですが、当の本人に取っては耐えがたい辛さがあるものです。
私自身経験しましたが(労災ではないですよ)、心理的な負荷について「いつから」、「どうして」、「どの程度」などというのは、自分から正確に説明するのがなかなか難しい場合が多いと思います。
なので、自分が説明できないものを第三者が認定するのはなかなか難しいと察しますが、労災保険法でいろいろと基準を定めてくれており、社労士試験でも出題されています。
働き方改革で長時間労働などの改善が進んでいるとは思いますが、こういったことで悩む人を少しでも減らしたいですね。
すみません、過去問を見ていくことにしましょう。
心理的負荷は何段階に分かれているの?
(平成30年問1C)
認定基準においては、業務による心理的負荷の強度の判断に当たっては、精神障害発病前おおむね6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる業務によるどのような出来事があり、また、その後の状況がどのようなものであったのかを具体的に把握し、それらによる心理的負荷の強度はどの程度であるかについて、「業務による心理的負荷評価表」を指標として「強」、「弱」の二段階に区分することとされている。
解説
解答:誤
二段階ではなく、強・中・弱の三段階に分かれています。
ちなみに、「強」と判断されると、業務による強い心理的負荷がかかっていると認められます。
では、心理的負荷が「強」となる、時間外労働の具体的な数字は何時間になるのでしょうか。
次の過去問を見てみましょう。
1か月間に◯◯時間を超えると、、、?
(平成30年問1D)
認定基準においては、「極度の長時間労働は、心身の極度の疲弊、消耗を来し、うつ病等の原因となることから、発病日から起算した直前の1か月間におおむね120時間を超える時間外労働を行った場合等には、当該極度の長時間労働に従事したことのみで心理的負荷の総合評価を「強」とする。」とされている。
解説
解答:誤
「120時間」ではなく、1か月間におおむね「160時間」となります。
ただ、発病日から起算した直前の3週間におおむね120時間を超える時間外労働を行った場合等には心理的負荷が「強」と判断されることがあります。(平成24年問7D)
さて、次は長時間労働といった時間の視点ではなく、業務自体が原因となった心理的負荷の認定基準について確認しましょう。
「業務」による心理的負荷の認定基準とは?
(平成24年問7C)
認定基準においては、「業務による強い心理的負荷」について、精神障害を発病した労働者がその出来事及び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかではなく、職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似する同種の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点から評価されるとしている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
業務による心理的負荷については、当の労働者の主観で判断されるのではなく、「同種の労働者が一般的にどう受け止めるか」といった客観的な視点で評価されることになります。
最後に、ハラスメントなどの認定基準の期間についての過去問です。
6か月以内、、、だけ??
(平成30年問1E)
認定基準においては、「いじめやセクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前6か月以内の行為のみを評価の対象とする。」とされている。
解説
解答:誤
「発病前6か月以内の行為のみを評価の対象とする。」の箇所が誤りです。
通達では、「いじめやセクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前6か月以内の期間にも継続しているときは、開始時からのすべての行為を評価の対象とすること」となっています。
まあ、それはそうですよね。
一つの出来事だけで発病するものではなく、積み重ねによって引き起こされるものですからね。
今回のポイント
- 心理的負荷の強度は、強・中・弱の三段階に分かれています。
- 発病日から起算した直前の1か月間におおむね160時間を超える時間外労働を行った場合等には、心理的負荷の総合評価を「強」とする、とされています。
- 業務による心理的負荷については、当の労働者の主観で判断されるのではなく、「同種の労働者が一般的にどう受け止めるか」といった客観的な視点で評価されることになります。
- いじめやセクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前6か月以内の期間にも継続しているときは、開始時からのすべての行為を評価の対象とすることになっています。
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