過去問

「労災保険法 自信を持って答えられますか?保険給付の概要をおさらい」過去問・労災-43

労災保険には業務災害と通勤災害がありますが、「業務災害にあって通勤災害にないもの?」といったものや、

事業主の責務について問われた過去問を集めてみました。

知識としては知っていても、問題として問われたときに「あれ?どうだったっけ?」というようなものもあるかもしれませんので、見ていくことにしましょう。

 

通勤災害に介護についての保険給付はない??

(平成22年問1A)

労災保険の保険給付は、業務災害に対する迅速公正な保護だけでなく、通勤災害に対しても同様な保護をするために行われるものであるが、通勤災害に関しては、業務災害に係る介護補償給付に対応する保険給付は定められていない。

 

解説

解答:誤

通勤災害にも、業務災害の介護補償給付にあたる「介護給付」があります。

通勤災害には、療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、葬祭給付、傷病年金、介護給付があります。

で、この「介護」に関する給付については、他の論点でも出題されています。

それは、労働基準法の災害補償との関連です。

早速見てみましょう。

 

業務災害=労基法の災害補償?

(平成22年問1B)

労災保険の保険給付のうち、業務災害に関する保険給付は、労働基準法に規定する災害補償の事由が生じた場合にのみ行われるのであって、その種類は、給付を受けるべき者の請求に基づく療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料及び介護補償給付に限られる。

 

解説

解答:誤

業務災害に関する保険給付は、労働基準法に規定する災害補償の事由が生じた場合にのみ行われるわけではありません。

どういうことかというと、業務災害に関する保険給付では、傷病補償年金介護補償給付は、労働基準法の災害補償にない給付なのです。

また、問題文には労働基準法しか記載がありませんが、業務災害に関する保険給付は、船員法に規定する災害補償の事由が生じた場合にも行われます。

さて、たとえば療養補償給付の請求は労働者が行うのですが、もしケガの状態が重くて給付が自分でできない場合、誰か助けてくれるのでしょうか。。。

 

事業主の義務とは

(令和元年問2ウ)

保険給付を受けるべき者が、事故のため、自ら保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合でも、事業主は、その手続を行うことができるよう助力する義務はない。

 

解説

解答:誤

保険給付を受けるべき人が保険給付の手続きが難しい場合、事業主はその手続きを行うように助力しなければなりません。

療養補償給付の請求書などには事業主が記載する欄もあったりしますし、事業主の方には請求のお手伝いの協力をお願いしたいものですね。

で、事業主にはもう一つ義務があるのですが、それがなんなのか次の過去問で確認しましょう。

 

もう一つ事業主の義務が

(令和元年問2エ)

事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

保険給付を受けるための証明、たとえば療養(補償)給付の請求書の事業主記入欄には、災害が発生した年月日や時刻、状況を労働者が記入した事項について、そのとおりであると「証明する」という記載があります。

なので、保険給付を速やかに行うためにも「速やかに」証明をしなければならない、とされているのです。

ですが、すべての労働災害について、事業主が同意してくれるとは限りません。

その際に、事業主には労基署長に対する「意見申出」の制度があります。

それは果たしてどんな制度なのでしょうか。

 

事業主が労基署長にする意見申出とは

(令和元年問2オ)

事業主は、当該事業主の事業に係る業務災害又は通勤災害に関する保険給付の請求について、所轄労働基準監督署長に意見を申し出ることはできない。

 

解説

解答:誤

事業主は、保険給付の請求について労基署長に意見を申し出ることができます。

たとえば、負傷した時刻や原因について誰もみた人がいなくて証明ができない場合、事業主にしてみれば「これが業務災害なのか?」といいたいこともあるかもしれません。

そのように事業主が、証明を行うことに納得いかない場合などに「意見申出」をすることができるのです。

労災保険料を払うのは事業主、災害の証明をするのも事業主、でも労働者からの損害賠償リスクも負うわけですから、意見をする権利くらい欲しいですよね。

 

今回のポイント

  • 通勤災害にも、業務災害の介護補償給付にあたる「介護給付」があります。
  • 業務災害に関する保険給付では、傷病補償年金介護補償給付は、労働基準法の災害補償にない給付なのです。
  • 保険給付を受けるべき人が保険給付の手続きが難しい場合、事業主はその手続きを行うように助力しなければなりません。
  • 事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければならなりません。
  • 事業主は、保険給付の請求について労基署長に意見を申し出ることができます。

 

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