過去問

「社労士試験 労基法 労働条件の基本論点を再確認しましょう」過去問・労基-71

労基法で扱われる労働条件には労働時間や賃金などいろいろな要素がありますが、

法3条や4条を中心に、労働条件の根本部分について取り扱った過去問を集めてみましたので見ていきましょう。

基本的な論点ばかりですので、分かっていることでも再確認する意味で読んでいただけましたら幸いです。

それでは最初の問題に入っていきましょう。

この問題は、就業規則の役目について問われています。

労働基準法でいうところの就業規則は、どういう立ち位置なのでしょうか?

 

就業規則の役割

(平成26年問7ア)

労働基準法第89条に定める就業規則とは、労働者の就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について定めた規則類の総称である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、作成義務と所轄労基署への届出義務があります。

この就業規則には、労働者が守るべきルールや賃金、労働時間などの具体的な労働条件が記載されています

これを機に就業規則の絶対的必要記載事項相対的必要記載事項の確認をされておくと良いと思います。

では次に、労基法第3条の差別待遇の禁止について見ていきましょう。

次の問題では、どのような内容の差別を禁止しているのかを確認しますね。

 

法3条の差別待遇の禁止内容は?

(平成25年問5D)

労働基準法第3条は、すべての労働条件について差別待遇を禁止しているが、いかなる理由に基づくものもすべてこれを禁止しているわけではなく、同条で限定的に列挙している国籍、信条又は社会的身分を理由とする場合のみを禁じている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

法3条で禁止している差別待遇は、国籍信条または社会的身分を理由とする場合のみです。

これを限定列挙といい、上記の3つ以外の理由での差別は法3条違反とはなりません。

なので、法3条に関する問題文に国籍・信条・社会的身分以外の理由があがっていたら、よく問題文を読むようにして正誤の判断を間違えないようにしましょう。

ちなみに、法3条に関する過去問では、3つの限定列挙の要件に関するもの以外に、どのような場合に適用されるのか、という問われ方をしているものがありますので、合わせて見ておきましょう。

 

法3条が適用される範囲

(平成28年問1ウ)

労働基準法第3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、労働条件について差別することを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

法3条は、雇入れ後の労働者に対して適用されるもので、採用の段階で適用されるものではありません

これは、三菱樹脂事件という最高裁判例からの出題なのですが、

企業は、どういう人をどういう条件で雇うかについては、法律に抵触しないのであれば、原則として自由に決定できますので、

特定の思想や信条を有する人を採用することを拒否したとしても、当然に法3条違反になるわけではありません。

では次に、法4条の男女の同一賃金について見てみましょう。

次の問題では、法4条が禁止していることについて確認しますね。

 

法4条が禁止している内容とは

(平成27年問1C)

労働基準法第4条は、賃金について、女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをすることを禁止しているが、賃金以外の労働条件についてはこれを禁止していない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

法4条では、賃金のことについて男性と女性を差別することを禁止しているので、

他の要素で男女を差別しても、労基法第4条違反にはなりません。

ただし、男女雇用機会均等法の違反を問われる可能性はあります。

また、個々の労働者の職務能力の違いについて賃金に差をつけることについては、法4条違反は問われません

では最後に、労基法第4条について、男女でどのように差をつけると違法になるのかについて次の問題で確認しておきましょう。

 

法4条の差別的取り扱いはどのような場合に適用されるのか

(平成30年問4ウ)

労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

男女の賃金についての差別的取り扱いについては、男性側を有利に扱うのはもちろん、女性を有利に取り扱うことも法4条違反となる可能性があります。

あくまでも男女平等にということですね。

 

今回のポイント

  • 就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、作成義務と所轄労基署への届出義務がありますが、労働者が守るべきルールや賃金、労働時間などの具体的な労働条件が記載されています
  • 法3条で禁止している差別待遇は、国籍信条または社会的身分を理由とする場合のみです。(限定列挙)
  • 法3条は、雇入れ後の労働者に対して適用されるもので、採用の段階で適用されるものではありません
  • 法4条では、賃金のことについて男性と女性を差別することを禁止しているので、他の要素で男女を差別しても、労基法第4条違反にはなりません。
  • 男女の賃金についての差別的取り扱いについては、男性側を有利に扱うのはもちろん、女性を有利に取り扱うことも法4条違反となる可能性があります。

 

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