今回は、社労士法の中から社労士の業務について取り扱った過去問を見てみたいと思います。
社労士の独占業務から補佐人まで色々と論点がありますので一つ一つ見ていくことにしましょう。
それでは最初の問題に入っていきますね。
この問題は、社労士が、事業主などに代わって行う事務代理について問われています。
ただ、こちらでは審査請求のケースとなっていますので注意して読んでみましょう。
審査請求で事務代理を行う場合のルール
(平成23年問10B)
社会保険労務士が、社会保険審査官及び社会保険審査会法に基づく審査請求又は再審査請求に係る事務代理を行う場合、社会保険労務士に対して代理権限を与えた本人が氏名又は名称を記載した申請書等に事務代理者と表示し、かつ、当該事務代理に係る社会保険労務士の名称を冠してその氏名を記載しておけば、社会保険労務士に対して代理権限を与えた本人が作成した委任状の添付を省略することができる。(問題文を一部補正しています)
解説
解答:誤り
審査請求や再審査請求をする場合、事務代理者として社労士の氏名を記載したとしても、委任状の添付を省略することはできません。
ちなみに、事務代理を行う場合、これまでは社労士の氏名については、記名押印または署名をすることになっていましたが、
法改正により、「氏名の記載」でオーケーとなりました。
いわゆる押印廃止ですね。
それでは、社労士の業務についてもっと見てみましょう。
社労士の仕事では、いわゆる1号業務、2号業務が独占業務となっていますが、
それ以外の仕事ではどうなっているのか次の問題で確認しましょう。
社労士の独占業務の範囲は?
(平成26年問6D)
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士法第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合はこの限りでないとされており、この付随業務として行うことができる事務には、紛争解決手続代理業務も含まれている。
解説
解答:誤り
紛争解決手続代理業務は、社労士の独占業務ですので誤りです。
ただ、紛争解決手続代理業務は社労士の独占業務ではありますが、社労士なら誰でもできるわけではありません。
それは一体どういうことなのか次の問題で確認しましょう。
紛争解決手続代理業務ができるのは、、、
(平成23年問10A)
具体的な個別労働関係紛争について依頼者があっせん等によって解決する方針を固めた以降に行われる紛争解決手続代理業務受任前の当該紛争に係る相談は、紛争解決手続代理業務に含まれないため、特定社会保険労務士でない社会保険労務士も行うことができる。
解説
解答:誤り
紛争解決手続代理業務は、特定社労士でなければ行うことができません。
なので、個別労働関係紛争にかかる紛争解決手続代理業務の受任前であっても、依頼者があっせんなどによって解決する方針を固めたのであれば、
その相談は、紛争解決手続代理業務に含まれるので社労士では行うことができないのです。
で、一方、労務管理などの事項について裁判所へ社労士が出頭・陳述する場合についての規定について見てみましょう。
社労士が補佐人として出頭・陳述するときは、、、
(令和元年問5C)
社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人に代わって出頭し、陳述をすることができる。
解説
解答:誤り
社労士が裁判所で出頭・陳述するのは、弁護士である訴訟代理人に代わってではなく、「訴訟代理人とともに」行います。
社労士が単独で陳述するわけではないのです。
私は、そのような機会があったとしても、1人でしゃべる勇気はありませんけどね。笑
では最後に、裁判で社労士が紛争で取り扱う金額について確認しておきましょう。
下の問題では、特定社労士が単独で行う場合と、弁護士である訴訟代理人と一緒に行う場合の2パターンがありますので見ていきますね。
紛争の目的の金額の上限
(平成27年問3ア)
特定社会保険労務士が単独で紛争の当事者を代理する場合の紛争の目的の価額の上限は60万円、特定社会保険労務士が弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭し紛争解決の補佐をする場合の紛争の目的の価額の上限は120万円とされている。
解説
解答:誤り
特定社会保険労務士が、単独で紛争の当事者を代理する場合の紛争の目的の価額の上限は60万円ではなく、「120万円」となっています。
一方、弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭して補佐をする場合の紛争の目的の価額の上限は120万円ではなく、「規定されていません」。
ちなみに、問題文では特定社労士が補佐人となっていますが、補佐人は社労士でも可能ですので押さえておきましょう。
今回のポイント
- 審査請求や再審査請求をする場合、事務代理者として社労士の氏名を記載したとしても、委任状の添付を省略することはできません。
- 紛争解決手続代理業務は、社労士の独占業務です。
- 紛争解決手続代理業務は、特定社労士でなければ行うことができません。
- 社労士が裁判所で出頭・陳述するのは、弁護士である「訴訟代理人とともに」行います。
- 特定社会保険労務士が、単独で紛争の当事者を代理する場合の紛争の目的の価額の上限は「120万円」となっており、弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭して補佐をする場合の紛争の目的の価額の上限は「規定されていません」。
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