過去問

「社労士試験 健康保険法 家族療養費の効率的な攻略法とは」過去問・健保-67

家族療養費については、被扶養者に対して支給されるものではなく、「被保険者に対して支給されるもの」という前提を頭に置いてから学習に取り組むと、スッと腑に落ちることがあるかと思います。

制度の趣旨を自分なりにイメージしてみると定着しやすいですので、試してみてくださいね。

それでは過去問を見ていくことにしましょう。

最初の問題は、家族療養費の内訳について問われています。

被保険者の場合は、いろいろな給付の内容が区別されているのですが、

家族療養費の場合は、ある程度ひとまとめになっていますので見てみましょう。

 

家族療養費が支給される範囲

(令和元年問2B)

67歳の被扶養者が保険医療機関である病院の療養病床に入院し、療養の給付と併せて生活療養を受けた場合、被保険者に対して入院時生活療養費が支給される。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、入院時生活療養費ではなく、「家族療養費」が支給されます。

被保険者の場合は、給付の内容が細かく分かれていますが、

被扶養者の場合は、

  •  療養の給付
  • 入院時食事療養費
  • 入院時生活療養費
  • 保険外併用療養費
  • 療養費

家族療養費として「被保険者に対して」支給されます。

支給の対象は、あくまでも被保険者というわけですね。

さて、次の過去問では、被扶養者になる前の疾病について家族療養費が支給されるのか、という論点になっています。

この類いの論点は、被保険者にもたしかありましたよね?

 

被扶養者になる前の疾病について

(平成28年問9ア)

疾病により療養の給付を受けていた被保険者が疾病のため退職し被保険者資格を喪失した。その後この者は、健康保険の被保険者である父親の被扶養者になった。この場合、被扶養者になる前に発病した当該疾病に関しては、父親に対し家族療養費の支給は行われない。

 

解説

解答:誤り

被扶養者になる前に発病した疾病に対しても家族療養費が被保険者に支給されます。

被保険者が資格取得前の傷病について保険給付が行われるかどうか、というお話がありましたが、

通達では、被保険者の資格取得が適正である限り、資格取得前の疾病や負傷に対しても保険給付が行われる、としていますので同じような考え方ですね。

このように、被保険者に支給される家族療養費ですが、

万が一、被保険者が亡くなってしまった場合、家族療養費の取り扱いはどうなるのでしょうか。

 

もし被保険者が亡くなったら家族療養費は?

(平成30年問7E)

被扶養者が疾病により家族療養費を受けている間に被保険者が死亡した場合、被保険者は死亡によって被保険者の資格を喪失するが、当該資格喪失後も被扶養者に対して家族療養費が支給される。

 

解説

解答:誤り

被保険者が亡くなることにより被保険者資格を喪失した場合、家族療養費は支給されなくなります。

これは、家族療養費が被保険者に対して支給されるため、受け取り手である被保険者が資格喪失になれば家族療養費もなくなるということですね。

となると、いつから家族療養費の支給が打ち切られてしまうのでしょうか。

次の問題で確認しましょう。

 

もし被保険者が亡くなったら家族療養費は? その2

(平成24年問1D)

被保険者が死亡した場合、家族療養費はその当日から支給されない。

 

解説

解答:誤り

被保険者が亡くなった場合、被保険者の資格喪失は死亡の翌日となります。

なので、被保険者が亡くなった当日はまだ資格喪失をしていないので家族療養費が支給されますが、

その翌日には資格喪失になっているので家族療養費も支給されないことになります。

では最後に、災害などが起きた場合の一部負担金の取り扱いについて見ておきましょう。

被保険者の場合、災害など特別な事情が起きて一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対しては、

  • 一部負担金の減額
  • 一部負担金の支払いの免除
  • 一部負担金の徴収の猶予

が行われます。

はたして、家族療養費の場合はどのようになっているのでしょう。

 

災害が起きた時、家族療養費の給付割合は?

(平成26年問2E)

保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情があり、保険医療機関又は保険薬局に一部負担金を支払うことが困難であると認められる被保険者の被扶養者に係る家族療養費の給付割合について、健康保険法第110条第2項第1号に定める家族療養費の給付割合を超え100分の100以下の範囲内において保険者が定めた割合とする措置を採ることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

家族療養費の場合、被保険者のときと違って、一部負担金の免除というような表現ではなく、

家族療養費の給付割合を増やすというような言い方をします。

これも家族療養費が被扶養者に支給されるのではなく、被保険者に支給されるからなんでしょうね。

たとえば、6歳の年度末までの被扶養者に対する家族療養費の給付割合は80%となっていますから、

災害などが起きた場合は、80%から100%以下の範囲内で給付割合を引き上げる措置ができるということです。

 

今回のポイント

  • 被扶養者の場合は、
    •  療養の給付
    • 入院時食事療養費
    • 入院時生活療養費
    • 保険外併用療養費
    • 療養費

    家族療養費として「被保険者に対して」支給されます。

  • 被扶養者になる前に発病した疾病に対しても家族療養費が被保険者に支給されます。
  • 被保険者が亡くなることにより被保険者資格を喪失した場合、家族療養費は支給されなくなります。
  • 被保険者が亡くなった場合、被保険者の資格喪失は死亡の翌日となりますので、被保険者が亡くなった当日はまだ資格喪失をしていないので家族療養費が支給されますが、その翌日には資格喪失になっているので家族療養費も支給されないことになります。
  • 災害などが起きた場合、保険者は、家族療養費の給付割合を超えて、100分の100以下の範囲内で保険者が定めた割合とする措置を採ることができます。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

疲れた、と思ったら積極的な休息が必要です。

SNSや動画を見て息抜きをするということではなく、自分と外界を切り離すのです。

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