過去問

「社労士試験 労働に関する一般常識 労働組合法における労働組合と労働者とは」過去問・労一-33

労働組合法は、労働契約法に次いで出題頻度の高い法律ですので、労働一般の中では優先順位を上げて学習しておくと良いでしょう。

ただ、あくまで労働一般の中の話ですので、あまり時間をかけ過ぎず、深い入りしないことも大切ですのでバランスを取って学習を進めましょう。

それでは問題を見ていきたいと思います。

最初の過去問は、労働組合の定義が論点になっています。

どのような団体が労働組合として認められるのか見てみましょう。

 

労働組合法における労働組合とは

(平成26年問2E)

労働組合法に定める労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを目的として組織する団体又はその連合団体をいうとされており、政治運動又は社会運動を目的とする団体又は連合団体はおよそ労働組合法上の労働組合とは認められない。

 

解説

解答:誤り

労働組合法でいうところの労働組合は、政治運動又は社会運動を目的とする団体又は連合団体ではなく、

「政治運動又は社会運動を主たる目的とする団体又は連合団体」は認められません。

労働組合法でいうところの労働組合は、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体のことなので、

政治運動や社会運動が活動の主たる目的になってしまっては、何のための労働組合かわかりませんよね。

では次に労働組合の総会について見てみましょう。

労働組合の総会は年に1回開催されることになっていますが、どのように開催されるのか下の問題で確認しましょう。

 

労働組合の総会はどのように開催されるのか

(平成29年問2ウ)

労働組合法により、労働組合は少なくとも毎年1回総会が開催されることを要求されているが、「総会」とは、代議員制度を採っている場合には、その代議員制度による大会を指し、全組合員により構成されるものでなくてもよい。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働組合法第5条2項6号には、「総会は、少くとも毎年一回開催すること。」と規定されていますが、

総会は、組合員全員で構成されている必要はなく、組合員によって選出された代議員で構成される代議員制度でも大丈夫です。

さて、次は労働者の方に目を向けてみましょう。

労働組合法では「労働者」はどのように定義されているのでしょうか。

 

労働組合法でいうところの「労働者」とは

(平成23年問5A)

労働組合法における「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働組合法では、労働者は「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。」と定義されていますが、失業者も含まれます

たとえば、企業から不当解雇されたりしたとしても、労働組合法では労働者となるので、何らかの救済措置ができる可能性があるということですね。

それでは、労働組合と労働者の関係を見てみることにしましょう。

まずは、お金についての論点で出題されている過去問がありますので見ていきますね。

 

労働組合と労働者の関係

(平成25年問2D)

労働組合が、総選挙に際し特定の立候補者支援のためにその所属政党に寄付する資金を集める目的で組合員にその費用を負担することを強制することは、労働組合の連帯の昂揚や存立基盤の確立のために必要不可欠なものであり、組合自治の原則に基づいて許されるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:誤り

労働組合が支援している政党に寄付するための費用について、組合員(労働者)に協力を強制することは許されませんので誤りです。

これは、国労広島地本事件という、最高裁判例からの出題ですが、

労働組合が支持する政党があって、総選挙に際して推進すること自体は自由ですが、組合員にも協力を強制することは許されず、費用の負担についても同様であるとされました。

組合員である労働者自身がどの政党を支持するかは自由ですから、労働組合に協力を強制されるのはいかがなものでしょうということですかね。

では最後に、ユニオンショップ協定が関連した過去問を見ておきましょう。

ユニオンショップ協定は、労働組合と使用者とで交わされる協定で、労働者が採用されたら特定の組合に加入することを強制するもので、労働組合の力を維持するために組合員を確保しようとするものです。

しかし、労働者の立場から見た場合、必ずしもありがたい措置ではないようですので、次の問題を読んでみましょう。

 

労働組合と労働者の関係 その2

(令和2年問4D)

「ユニオン・ショップ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されないものというべきである」から、「ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、右の観点からして、民法90条の規定により、これを無効と解すべきである(憲法28条参照)。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

これも最高裁判例からの出題ですが、ユニオンショップ協定における特定の労働組合を抜けて別の組合に加入したからといって、それにより使用者から解雇されるのは民法の公序良俗の規定に反し無効である、という判決が出ました。

労働組合からの脱退が従業員としての立場を失わせる解雇へ結びつけるのはやり過ぎ、と判断されたわけですね。

 

今回のポイント

  • 労働組合法でいうところの労働組合は、、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体を指します。
  • 労働組合法には、「総会は、少くとも毎年一回開催すること。」と規定されていますが、総会は、組合員全員で構成されている必要はなく、組合員によって選出された代議員で構成される代議員制度でも大丈夫です。
  • 労働組合法では、労働者は「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。」と定義されていますが、失業者も含まれます
  • 労働組合が支援している政党に寄付するための費用について、組合員(労働者)に協力を強制することは許されませんので誤りです。
  • ユニオンショップ協定における特定の労働組合を抜けて別の組合に加入したからといって、それにより使用者から解雇されるのは民法の公序良俗の規定に反し無効である、という判例があります。

 

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