「社労士試験 労基法 近くて遠い?年次有給休暇について問われる論点」過去問・労基-50

年次有給休暇は、社労士試験でもよく出題されていますが、身近にであるはずの年次有給休暇について馴染みの薄い論点も出てきやすい制度です。

社労士試験の勉強をしていて「あ、そうだったんだ」ということもあるのではないでしょうか。

というのも、年次有給休暇についての論点は、条文や通達、判例など様々ですので範囲が広いんですね。

かといって闇雲に勉強しても効率がよくないのも確かです。

そんな年次有給休暇についての勉強方法は、「習うより慣れろ」ということで問題演習を中心に進め、テキストで確認して知識を整理すると良いと思います。

問題演習も、過去問に的を絞って何度も解くことで「型」を習得し、過去問でカバーしきれない論点をテキストで補うイメージですね。

それでは、最初の問題を見てみましょう。

年次有給休暇を取るのに理由が必要なのか、というのが論点です。

年休のそもそもの意義も合わせて確認しましょう。

 

年次有給休暇を取るのに理由がいる??

(平成26年問6B)

最高裁判所の判例は、「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨である」と述べている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

年次有給休暇をどのように使うかは労働者の自由です。

どういうことかというと、年次有給休暇の権利は、法律上当然に労働者に生ずるもので、年次有給休暇を取るときに使用者から承認を得る性質のものではないのです。

なので、労働者が年次有給休暇をどんな目的で使おうと、労基法で制限する筋合いのものではないですし、まして使用者が干渉する余地はないということですね。

先ほど、年次有給休暇の権利は法律上当然に生じると書きましたが、無条件に生じるわけではありません。

まずは雇入の日から6ヶ月間継続勤務して、その間の全労働日の8割以上出勤したら、晴れて年次有給休暇の権利が得られるわけです。

その継続勤務の取り扱いについて問われているのが次の問題になっています。

もし、今勤めている会社がなくなって新しい会社になったとき、なくなった会社に勤めていた期間はどうなるのでしょうか。

 

継続勤務の考え方とは

(平成24年問6ウ)

労働基準法第39条に定める年次有給休暇権の発生要件の1つである「継続勤務」は、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものと解される。したがって、この継続勤務期間の算定に当たっては、例えば、企業が解散し、従業員の待遇等を含め権利義務関係が新会社に包括承継された場合は、勤務年数を通算しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文の場合、企業が解散しても従業員の待遇などを含めて権利義務関係が新会社に包括承継されているので、解散した会社に勤めていた分の勤務年数は通算されることになります。

少し見方を変えますが、たとえば勤めていた会社を定年退職してから、嘱託などで再雇用された場合も、

雇用形態が変わっただけなので、新たに労働契約を交わしたとしても、実質的には労働契約が継続していると認められるので、

年次有給休暇上の継続勤務として勤務年数が通算されることになります。

さて、年次有給休暇の取り方について見てみることにしましょう。

一般的に、「有休取ります!」というと1日単位ですが、たとえば「3時間の有休取ります!」という年次有給休暇の取り方はできるのでしょうか。

次の過去問で確認しましょう。

 

年次有給休暇を時間単位に分けることができる?

(平成24年問6エ)

労働基準法第39条に定める年次有給休暇は、暦日単位で付与しなければならないため、時間単位で付与することは認められていない。

 

解説

解答:誤

年次有給休暇は、時間単位で取得することもできます。

ただ、時間単位で有休を取るやり方を運用するには、労使協定

  • 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
  • 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(ただし5日以内

などを決める必要があります。

本来は1日単位で取ることが望ましいのですが、年次有給休暇の取得を少しでも促進させる狙いもあり、時間帯年休の取得も認めているのですね。

で、時間帯年休を取っていると、有休の残日数が「◯日と△時間」というように端数が出てくると思います。

前年度から年次有給休暇を繰り越した場合、次の年度の時間帯年休は、繰り越した分も含めて5日以内となっています。

ただ、勤務形態が変更になって1日の所定労働時間が変わったとしたら、その端数の「△時間」の取り扱いはどうなるのでしょうか。

そのまま「△時間」の年次有給休暇を取ることができるのでしょうか??

 

所定労働時間が変わった時の年次有給休暇の取り扱い

(平成28年問7E)

所定労働時間が年の途中で1日8時間から4時間に変更になった。この時、変更前に年次有給休暇の残余が10日と5時間の労働者であった場合、当該労働者が変更後に取得できる年次有給休暇について、日数の10日は変更にならないが、時間数の方は5時間から3時間に変更される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

年次有給休暇は、原則1日単位なので、端数の時間も1日を基準に考えます。

どういうことかというと、問題文のように、所定労働時間が8時間から半分の4時間に変更になった場合、「10日」の部分はそのままですが、「5時間」の部分は所定労働時間の変更に合わせて半分になります。

なので「5時間」の半分は「2.5時間」ですから、後の処理として端数の0.5を切り上げて「3時間」ということになるのです。

つまり、所定労働時間が8時間から4時間に変更になった時の「10日+5時間」の年次有給休暇は「10日+3時間」となるわけです。

では最後に、年次有給休暇を取りたくても、「その日は有休取れません」という日があるのですが、

それはどんな日なのかを次の問題で見ておきましょう。

 

年次有給休暇が使えない日がある??

(平成28年問7A)

休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は年次有給休暇請求権の行使ができないと解されている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働義務がない日、つまり労働日でない日に年次有給休暇を取ることはできません。

もっというと、会社の休日に年次有給休暇を取ることもできませんし、育児休業を取ることが決まっている日に取ることもできません。

年次有給休暇の取得日数の規定を思い出して見ましょう。

「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」

赤字の部分を見てみると「十労働日」とありますよね。

つまり、年次有給休暇は、労働日に取ることで労働義務を免除してもらうものなのですね。

 

今回のポイント

  • 年次有給休暇の権利は、法律上当然に労働者に生ずるものなので、年次有給休暇をどのように使うかは労働者の自由です。
  • 企業が解散しても従業員の待遇などを含めて権利義務関係が新会社に包括承継されている場合、解散した会社に勤めていた分の勤務年数は通算されることになります。
  • 時間単位の年次有給休暇を運用するには、労使協定
    • 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
    • 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(ただし5日以内

    などを決める必要があります。

  • 時間帯年休によって生じた端数の時間について、所定労働時間が変更になった場合、変更した労働時間に比例して、端数の時間も変化します。
  • 労働義務がない日、つまり労働日でない日に年次有給休暇を取ることはできません

 

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