過去問

「社労士試験 労働に関する一般常識 白書から読み解く、女性の雇用における現実」過去問・労一-22

今回の白書は、男女共同参画白書から出題された平成29年の問題を取り上げたいと思います。

男女共同参画白書というのは、男女共同参画社会基本法に基づいて毎年作成されているもので、

男女がどれだけ平等に社会に参加しているかというものを扱っています。

言いかえると、女性がどれだけ社会進出できているかという指標とも言えるかと思いますので見ていくことにしましょう。

 

問題文 平成29年問4

我が国の女性の雇用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、本問は、「平成28年版男女共同参画白書(内閣府)」を参照しており、当該白書又は当該白書が引用している調査による用語及び統計等を利用している。

 

男性と女性における一般労働者の給与水準の格差は?

(選択肢A)

一般労働者(常用労働者のうち短時間労働者以外の者)における男女の所定内給与額の格差は、長期的に見ると縮小傾向にある。男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は、平成27年に80を超えるようになった。

 

解説

解答:誤り

80を超えるようになった、という記述は誤りです。

長期的に見た時に縮小傾向にあるのは正しいですが、令和2年度版の白書のデータで見ても74.3となっています。

では次に、過去1年の間に転職をしたりした人のうち、自分で商売を立ち上げた人がどれだけいるのか見てみましょう。

 

起業家になった女性の割合は?

(選択肢B)

過去1年間に職を変えた又は新たに職についた者のうち、現在は自営業主(内職者を除く。)となっている者(起業家)に占める女性の割合は、当該白書で示された直近の平成24年時点で約3割である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

この問題は、起業家になった人のうち、女性がどれだけいるかというもので、

昭和57年には42%となっていたものが平成9年から平成24年(30.3%)にかけて減少傾向にありました。

しかし、平成29年には34.2%と再び上昇しました。

スマホなどインターネットの環境が整備されて起業しやすくなったこともあるんでしょうかね。

逆に、と言ってはなんですが、働きたいと思いながら仕事を探していない女性もいます。

どうして仕事を探していないのか、その理由が次の問題の論点になっていますので見てみましょう。

 

働きたい気持ちはあっても求職をしていない理由とは?

(選択肢C)

平成27年における女性の非労働力人口のうち、1割強が就業を希望しているが、現在求職していない理由としては「出産・育児のため」が最も多くなっている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

これは平成27年、令和元年ともに同じ理由になっています。

令和元年のデータでは、約1割弱の女性が就業を希望していますが、

求職をしていない理由として一番多いのが「出産・育児のため」で、31.1%となっています。

ちなみに、次に多いのが「適当な仕事がありそうにない」の28.4%です。

やはり、家族の一大イベントである出産・育児と仕事の両立が、男女共同参画社会のテーマの一つになる気がしますね。

とは言っても、専業主婦がおられる世帯と共働き世帯を比較したら、どのような傾向にあるのか気になりますね。

共働き世帯数がどのように変化をしているのか、次の問題で確認していきましょう。

 

共働き世代は増えているの?

(選択肢D)

夫婦共に雇用者の共働き世帯は全体として増加傾向にあり、平成9年以降は共働き世帯数が男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を一貫して上回っている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、平成9年以降は共働き世帯数が専業主婦世帯を逆転して令和元年に至るまで上昇傾向にあります。

この上昇スピードは、平成24年ごろから加速していて、1週間の就業時間が35時間未満であるパートに就業する妻が増加していることが要因となっています。

では最後に、少しずつではありますが、男女が平等に社会に参画する社会の実現に進んでいるなか、

世界基準で見たときに、日本がどれだけ男女平等社会が進んでいるのかを確認しておきましょう。

 

世界で見た時の日本における男女平等の実現度は?

(選択肢E)

世界経済フォーラムが2015(平成27)年に発表したジェンダー・ギャップ指数をみると、我が国は、測定可能な145か国中100位以内に入っていない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

ジェンダー・ギャップ指数というのは、経済や教育、健康、政治の分野での男女平等度を表す指数で、世界経済フォーラムが毎年発表しています。

それによると日本の順位は、平成27年で145カ国中、101位で、令和元年のデータでは153カ国中、121位となっています。

ちなみに、1位はアイスランド、2位はノルウェー、3位フィンランドと北欧の国が独占していますね。

 

今回のポイント

  • 一般労働者における男女の所定内給与額の格差は、長期的に見ると縮小傾向にある。男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は、令和元年度の白書では74.3となっています。
  • 起業家になった人のうち、女性がどれだけいるかというもので、昭和57年には42%となっていたものが平成9年から平成24年(30.3%)にかけて減少傾向にありましたが、平成29年には34.2%と再び上昇しました。
  • 令和元年のデータでは、約1割弱の女性が就業を希望していますが、求職をしていない理由として一番多いのが「出産・育児のため」で、31.1%となっています。
  • 平成9年以降は共働き世帯数が専業主婦世帯を逆転して令和元年に至るまで上昇傾向にあります。
  • ジェンダー・ギャップ指数というのは、経済や教育、健康、政治の分野での男女平等度を表す指数で、世界経済フォーラムが毎年発表しています。それによると日本の順位は、平成27年で145カ国中、101位で、令和元年のデータでは153カ国中、121位となっています。

 

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