徴収法での口座振替での納付については、まずは、口座振替による納付ができるものとできないものを区別することがスタートかと思います。
なので、口座振替は銀行に一定の手続きが必要であるという認識を持って勉強を進められるとわかりやすいかも知れません。
記事の中でも触れていきますので気楽に読み進められてくださいね。
それでは最初の問題を見てみましょう。
この過去問は、確定保険料に関する口座振替が論点になっていますので確認していきますね。
確定保険料の不足額は口座振替できる?
(平成24年雇用問8C)
確定保険料の額から既に納付した概算保険料の額を控除した不足額の納付については、口座振替による納付の対象とならない。
解説
解答:誤り
概算保険料を精算して確定保険料を支払う場合は口座振替で納付ができます。
ただし、確定保険料でも認定決定された確定保険料は口座振替での納付ができません。
では、口座振替で納付ができるものについて、もう少し範囲を広げてみましょう。
次の問題では、概算保険料も含めた形で出題されていますが、口座振替で納付できるのでしょうか?
口座振替できる労働保険料はどれ?
(平成30年労災問10A)
口座振替により納付することができる労働保険料は、納付書により行われる概算保険料(延納する場合を除く。)と確定保険料である。
解説
解答:誤り
問題文では“延納する場合を除く“とありますが、延納する概算保険料も口座振替で納付することができます。
で、この概算保険料ですが、確定保険料と同じく認定決定の制度があります。
延納する概算保険料は口座振替できるということですが、認定決定された概算保険料も口座振替できるのでしょうか。
認定決定された労働保険料でも口座振替できる?
(平成24年雇用問8B)
いわゆる認定決定された概算保険料の納付については、口座振替による納付の対象とならない。
解説
解答:正
問題文のとおりで、概算保険料でも認定決定されたものについては口座振替で納付することができません。
ということで、概算保険料も確定保険料も認定決定されたものは口座振替がNGということになります。
イメージとして、口座振替は通常のイベントであれば対応できますが、銀行などに手続きをする必要があり時間がかかるため、
認定決定のようなイレギュラーなものには対応できないという感じでしょうか。
なので、日雇労働被保険者が対象である印紙保険料も労働者数の増減が頻繁にあるため口座振替ができないというようにも考えられそうです。(真偽の程は不明です)
次の問題は追徴金が論点になっています。
追徴金というのは、認定決定された時のいわばペナルティですが、口座振替での納付はできるでしょうか。
追徴金は口座振替で納付できる?
(平成30年労災問10E)
労働保険料の追徴金の納付については、口座振替による納付の対象とならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
では最後に、口座振替をした時の納期限についての取り扱いについて確認しましょう。
銀行などの窓口から現金で納付する場合と違い、口座振替の場合は納期限について別に規定を設けているようです。
それが何なのかを見てみますね。
口座振替の場合の納期限の取り扱い
(令和2年雇用問9B)
都道府県労働局歳入徴収官から労働保険料の納付に必要な納付書の送付を受けた金融機関が口座振替による納付を行うとき、当該納付書が金融機関に到達した日から2取引日を経過した最初の取引日までに納付された場合には、その納付の日が納期限後であるときにおいても、その納付は、納期限においてなされたものとみなされる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
歳入徴収官から納付書が届いたことにより、銀行が口座振替の納付作業をするときは、納付書が届いた日から2取引日を経過した最初の取引日までに納付された場合は、納期限までに納付したものとみなされます。
ある程度のタイムラグを見込んだ措置というふうに見ることができそうですね。
今回のポイント
- 概算保険料を精算して確定保険料を支払う場合は口座振替で納付ができます。
- 延納する概算保険料も口座振替で納付することができます。
- 概算保険料でも認定決定されたものについては口座振替で納付することができません。
- 追徴金の納付には、口座振替による納付の対象ではありません。
- 歳入徴収官から納付書が届いたことにより、銀行が口座振替の納付作業をするときは、納付書が届いた日から2取引日を経過した最初の取引日までに納付された場合は、納期限までに納付したものとみなされます。
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