今回は、老齢厚生年金の加給年金額について取り扱った過去問を集めました。
加給年金額については社労士試験では何度も出題されており、頻出項目と言えると思いますので重点的に押さえたいですね。
では早速問題を見ていくことにしましょう。
最初の過去問は加給年金額の金額が論点になっていますので確認していきますね。
老齢厚生年金の加給年金額の額は?
(令和2年問1E)
老齢厚生年金の加給年金額の加算の対象となる妻と子がある場合の加給年金額は、配偶者及び2人目までの子についてはそれぞれ224,700円に、3人目以降の子については1人につき74,900円に、それぞれ所定の改定率を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)である。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
老齢厚生年金の加給年金額は、権利取得時に生計を維持していた配偶者と子に加算されますが、金額は以下のとおりです。
- 配偶者 → 224,700円 × 改定率
- 2人目までの子 → 224,700円 × 改定率
- 3人目以降の子 → 74,900円 × 改定率
ちなみに、老齢厚生年金の加給年金額の対象は「配偶者と子」ですが、障害厚生年金の場合は「配偶者だけ」です。
では、子の方はどうなるのかというと、障害基礎年金の方で加算されます。
ということで、老齢厚生年金の加給年金額に話を戻しますが、配偶者に対して特別加算が行われるのですが、その仕組みについて次の問題で確認しましょう。
配偶者特別加算額の仕組みとは
(平成25年問10B)
昭和9年4月2日以降に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される配偶者の加給年金額に加算される特別加算の額は、昭和16年4月2日生まれの受給権者よりも昭和18年4月2日生まれの受給権者の方が高額になる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
老齢厚生年金の配偶者に対する加給年金額への特別加算は、老齢厚生年金の受給権者の生年月日によって金額が変わってくるのですが、
老齢厚生年金の受給権者の年齢が若くなるほど金額は高くなります。
ただ、昭和18年4月2日以後に生まれた受給権者については同額です。
ここで注意しておきたいのは、年齢によって金額が変わるのって国民年金の振替加算にもありましたね。
振替加算は老齢厚生年金の配偶者が65歳になって老齢基礎年金をもらえるようになったときに支給されますが、
こちらは、配偶者の年齢が若いほど金額が安くなるんでしたね。
テキストを見て確認しておきましょう。
では、今度は加給年金額が支給されなくなるケースについて見てみましょう。
次の問題では、子についての加給年金額を取り扱っているのですが、どうなるのでしょうか?
加給年金額の不支給事由って、、、
(平成27年問9C)
子に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その加給年金額の対象者である子が養子縁組によって当該老齢厚生年金の受給権者の配偶者の養子になったときは、その翌月から当該子に係る加給年金額は加算されないこととなる。
解説
解答:誤り
問題文のように、配偶者の養子になっても加給年金額の加算が止まることはありません。
配偶者や子の加給年金額の加算がなくなるパターンを見ておきましょう。
【共通】
- 死亡したとき
- 受給権者による生計維持の状態がやんだとき
【配偶者】
- 配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき
- 配偶者が、65歳に達したとき
【子】
- 子が、養子縁組によつて受給権者の配偶者以外の者の養子となったとき
- 養子縁組による子が、離縁をしたとき
- 子が、婚姻をしたとき
- 子(障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子を除く。)について、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき
- 障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子を除く。)について、その事情がやんだとき
- 子が、20歳に達したとき
となっています。
これらは、一言一句暗記できないまでも、問われたときイメージできるようにしておきましょう。
さて、次の問題では配偶者の加給年金額の支給停止について取り扱っていますので見てみましょう。
上記は、いわば加給年金の加算の権利がなくなってしまうのに対し、下の支給停止は、要件に該当している間、支給を停止されるというものです。
配偶者の加給年金額の支給停止要件
(平成26年問5C)
加給年金額の対象となる配偶者が障害等級3級の障害厚生年金を受給している場合であっても、加給年金額は支給停止されない。
解説
解答:誤り
問題文の場合、加給年金額は支給停止されます。
配偶者の加給年金額が支給停止になる要件として、
- 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る)
- 障害厚生年金
- 障害基礎年金 などの受給権があるとき
となっています。
障害等級に違いはないので、問題文の場合は加給年金額が支給停止になるわけです。
ただ、障害の状態が変わって、障害厚生年金の受給権者でなくなった場合、所定の要件を満たしていれば、再び加給年金額が加算されることになります。
では最後に下の問題を確認しておきましょう。
問題文の論点は、配偶者が老齢基礎年金の繰上げ支給を受けることになった場合の取り扱いについて問われています。
はたして、加給年金額はどうなるのでしょう。
配偶者が老齢基礎年金の支給繰上げをすることになったら?
(平成28年問5A)
配偶者に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その対象となる配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者については65歳に達したものとみなされ、加給年金額に相当する部分が支給されなくなる。
解説
解答:誤り
配偶者が「繰上げ支給の老齢基礎年金」を受けることになっても加給年金額が支給停止になる旨の規定はありません。
配偶者の老齢基礎年金については、配偶者が65歳になっても振替加算という形で支給されるので、繰上げ支給の老齢基礎年金が支給停止にならないのかもしれませんね。(真実は知りませんが苦笑)
今回のポイント
- 老齢厚生年金の加給年金額は、権利取得時に生計を維持していた配偶者と子に加算されますが、金額は以下のとおりです。
- 配偶者 → 224,700円 × 改定率
- 2人目までの子 → 224,700円 × 改定率
- 3人目以降の子 → 74,900円 × 改定率
- 老齢厚生年金の配偶者に対する加給年金額への特別加算は、老齢厚生年金の受給権者の生年月日によって金額が変わってくるのですが、老齢厚生年金の受給権者の年齢が若くなるほど金額は高くなります。
- 配偶者の加給年金額が支給停止になる要件として、
- 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る)
- 障害厚生年金
- 障害基礎年金 など
となっています。
- 配偶者が「繰上げ支給の老齢基礎年金」を受けることになっても加給年金額が支給停止になる旨の規定はありません。
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