『社労士試験 国民年金法 老齢基礎年金の「繰上げや繰下げ」はそれぞれの違いを比べよう』過去問・国-56

今回の記事は、老齢基礎年金の「繰上げ」「繰下げ」について取り扱った過去問を集めてみました。

それぞれの要件を押さえる必要はあるのですが、たとえば減額率と増額率の違いを確認するなど、

繰上げと繰下げの違いを意識しながら勉強すると、丸暗記するよりも効率的に知識として定着しやすいのでオススメです。

なので、繰上げにあって繰下げにないもの、のような視点で比較してみるのも良いと思いますよ。

それでは最初の問題を見てみましょう。

老齢基礎年金の繰下げについてについての過去問なのですが、支給要件について取り扱っていますので確認するとしましょう。

 

任意加入していた人は老齢基礎年金の繰下げができない?

(令和2年問5A)

60歳以上65歳未満の期間に国民年金に任意加入していた者は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることは一切できない。

 

解説

解答:誤り

老齢基礎年金の繰下げの場合、国民年金の任意加入をしていたからといって繰下げの申出ができない旨の規定はないので、

問題文の場合は所定の要件を満たせば、老齢基礎年金の繰下げの申出をすることができます。

所定の要件というのは、

  • 66歳になるまでに老齢基礎年金の請求をしていない
  • 65歳になったときと、65歳から66歳になるまでに、付加年金以外の国民年金の他の年金給付や、老齢厚生年金以外の厚生年金の保険給付を受けていない

ということになります。

つまり、他の年金を受けていては老齢基礎年金の繰下げはできないということですね。

ちなみに、問題文にある、「任意加入」でできないのは繰下げではなく、「老齢基礎年金の繰上げ」ですね。

では、次はその「繰上げ」について目を向けてみましょう。

老齢基礎年金の繰上げは、任意加入被保険者は対象外ですが、逆に、繰上げをすることで失うものもあるようです。

次の問題では、寡婦年金について取り上げているのですがどうなるのでしょうか。。。

老齢基礎年金を繰上げすると寡婦年金はどうなる?

(平成26年問1C)

寡婦年金の受給権を有する者が支給繰上げの請求をし、老齢基礎年金の受給権を取得すると、寡婦年金の受給権は消滅する。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を得た場合、寡婦年金の受給権は消滅してしまいます。

支給停止ではなく、受給権が「消滅」してしまいますので注意しましょう。

なぜかというと、老齢基礎年金の繰上げをするということは、本来は65歳になってからもらえる老齢基礎年金を前倒しで受給するということなので、

繰上げの請求をしたことで、年金的には「あなたは65歳になりました」とみなされるわけです。

寡婦年金は、65歳までしか受給できませんので、老齢基礎年金の繰上げをすると、受給権がなくなってしまうということになるんですね。

「65歳になった」ということでは、「事後重症の障害基礎年金」も関係してきます。

事後重症の障害基礎年金は65歳に達する日の前日までに請求する必要がありますので、「65歳とみなされる」老齢基礎年金の繰上げをしてしまうと、事後重症の障害基礎年金も受給できなくなるわけですね。

さて、老齢基礎年金の繰上げを請求して受給できることになった場合、老齢基礎年金の額は減額されて支給されます。

他の人より早く年金をもらうんだから金額が減るのはガマンしてね、ということなのですが、どの程度減額されるのかを次の問題で見てみましょう。

 

老齢基礎年金を繰上げした場合の減額率

(平成29年問6E)

64歳に達した日の属する月に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすると、繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数が12となるので、当該老齢基礎年金の額は、65歳から受給する場合に比べて8.4%減額されることになる。

 

解説

解答:誤り

老齢基礎年金の繰上げをした場合、減額率は「5/1000×繰上げした月数」ということになります。

なので、問題文の場合、「5/1000×12(繰上げした月数)=0.06 →6%」ということになりますので問題文は誤りです。

ちなみに、問題文にある「8.4%」というのは「5/1000」ではなく「7/1000」で計算した値になるのですが、この「7/1000」は老齢基礎年金の繰下げをしたときの率です。

老齢基礎年金の繰下げは、本来であれば65歳でもらえる老齢基礎年金をガマンして後でもらう制度ですので、ご褒美として繰上げの時よりも率を上げてあるんですね。

繰上げするときよりも率が悪いと誰も繰下げしてくれませんもんね。

では、繰下げについて実際に増額率を計算してみましょう。

 

繰下げ支給の場合の増額率は?

(平成23年問1B)

65歳に達した日に老齢基礎年金の受給権を取得した者(昭和16年4月2日以後に生まれた者に限る。)の当該年金額は、68歳に達した日に支給繰り下げの申出をしたときは、25.2%増額され、70歳に達した日に支給繰り下げの申出をしたときは、42.0%増額される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

68歳に繰下げをしたということは、65歳から3年経っているわけですので「3×12=36ヶ月」になりますから、

増額率は「7/1000×36=25.2%」、

70歳に繰下げをした場合は、65歳から5年経過してますんで、「5×12=60ヶ月」ということになり、

「7/1000×60=42.0%」となりますので問題文は正しいです。

ただ、70歳になったときにちゃんと老齢基礎年金の繰下げの申出をしていればいいのですが、

「忘れてた」ということがあるかもしれません。

最後に、「繰下げと70歳」についての取り扱いについて確認しておきましょう。

 

老齢基礎年金の繰下げと「70歳」の関係

(平成27年問3C)

65歳で老齢基礎年金の受給権を取得した者(昭和18年4月2日生まれ)が72歳のときに繰下げ支給の申出をした場合は、当該申出のあった日の属する月の翌月分から老齢基礎年金の支給が開始され、増額率は42%となる。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、「申出のあった日」ではなく、「平成26年4月1日」に繰下げ支給の申出があったとみなされます。

原則としては、70歳より後に老齢基礎年金の繰下げをした場合は、「70歳に達した日」に支給繰下げの申出があったとみなされて、

70歳に達した日の属する月の翌月から老齢基礎年金の支給が開始される、という取り扱いになります。

ただし、平成26年4月1日前に70歳に達した人については、繰下げの申出日は「平成26年4月1日」とされています(経過措置)。

ですが、この経過措置まで押さえていなくても、原則の「70歳に達した日に支給繰下げの申出」を思い出せれば問題は解けますね。

 

今回のポイント

  • 老齢基礎年金の支給繰下げの要件は、
    • 66歳になるまでに老齢基礎年金の請求をしていない
    • 65歳になったときと、65歳から66歳になるまでに、付加年金以外の国民年金の他の年金給付や、老齢厚生年金以外の厚生年金の保険給付を受けていない

    です。

  • 老齢基礎年金の繰上げは、任意加入被保険者は対象外です。
  • 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を得た場合、寡婦年金の受給権は消滅し、事後重症の障害基礎年金も受給できません
  • 老齢基礎年金の繰上げをした場合、減額率は「5/1000×繰上げした月数」ということになります。
  • 老齢基礎年金の繰下げをしたときの増額率は、「7/1000×繰下げした月」です。
  • 70歳より後に老齢基礎年金の繰下げをした場合は、「70歳に達した日」に支給繰下げの申出があったとみなされて、70歳に達した日の属する月の翌月から老齢基礎年金の支給が開始される、という取り扱いになります。

 

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