労働保険事務組合については、社労士試験でよく出題されていますが、事務組合についての問題は得意ですか?
私は受験勉強をしているとき(今でもそうですが)事務組合についてのイメージがなく、勉強が思うように進まなかったですね。
なので、とにかく勉強する頻度を増やし、言葉に馴染むようにしました。
馴染みがないのであれば、自分から馴染むようにすればいいですよね。笑
なので、繰り返し学習を進めることで少しでも苦手意識をなくすのが王道と思います。
それでは最初の問題を見てみましょう。
労働保険事務組合の認可を受けるのは法人しかだめなのか、という論点になっていますので確認しましょう。
労働保険事務組合となる団体は法人でないとダメ?
(平成29年雇用問10C)
労働保険事務組合の認可を受けようとする事業主の団体又はその連合団体は、事業主の団体の場合は法人でなければならないが、その連合団体の場合は代表者の定めがあれば法人でなくともよい。
解説
解答:誤
労働保険事務組合の認可を受けようとする「事業主の団体」・「その連合団体」は法人でなくても大丈夫です。
ただ、法人ではない場合は、「代表者の定めがあること」、「団体等の事業内容」など団体性が明確であることが必要です。
ちなみに、労働保険事務組合の認可を受けるための要件として、本来の事業目的をもって活動した運営実績が2年以上あることが必要です。
では、労働保険事務組合の認可はどこが出すのかを次の過去問で確認しましょう。
労働保険事務組合の認可などを行うのはどこ?
(平成28年雇用問8D)
労働保険事務組合の認可及び認可の取消しに関する権限を行使し、並びに業務廃止の届出の提出先となっているのは、厚生労働大臣の委任を受けた所轄都道府県労働局長である。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
労働保険事務組合の認可などをするのは厚生労働大臣ですが、その権限は都道府県労働局長に委任されています。
で、どの労働局長に認可申請を行うのかというと、労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長になります。
ちなみに、認可の取消の権限も都道府県労働局長に委任されています。
で、めでたく認可がおりると労働保険事務組合の業務ができるわけですが、事務組合の主な仕事は、
- 概算保険料や確定保険料などの労働保険料の申告や納付
- 雇用保険の被保険者に関する届出
- 保険関係成立の届出 など
となっていますので、事業主の負担はかなり軽くなるでしょうね。
また、公共職業安定所などの政府側も、労働保険事務組合へ事業主に関する連絡もすることでしょう。
その政府側の通知の効果について出題されたことがありますので、次の問題を見てみましょう。
労働保険組合に通知がなされたら、、、
(平成25年雇用問8B)
公共職業安定所長が雇用保険法第9条第1項の規定による労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認をしたときの、委託事業主に対してする通知が、労働保険事務組合に対してなされたときは、当該通知は当該委託事業主に対してなされたものとみなされる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
規定では、
「政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付については、
これを労働保険事務組合に対してすることができる。
この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなす」
となっています。
政府にしたら二度手間はかけたくないでしょうし、労働保険事務組合は事業主から委託されているわけですから、事務組合に通知したらそれでいいよね、ってなりますね。
なので、もし事業主が労働保険料を納付しないときは、政府は労働保険事務組合に督促をすることで事業主への督促に代えることになるわけですね。
この流れでお金の流れを見てみることにしましょう。
事業主が労働保険料を滞納している時の政府の対応が次の問題の論点になっています。
事業主が労働保険事務組合にお金を渡したらもう大丈夫??
(平成29年雇用問10E)
委託事業主が労働保険料その他の徴収金の納付のため金銭を労働保険事務組合に交付したときは、当該委託事業主は当該徴収金を納付したものとみなされるので、当該労働保険事務組合が交付を受けた当該徴収金について滞納があり滞納処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合においても、当該委託事業主は、当該徴収金に係る残余の額を徴収されることはない。
解説
解答:誤
問題文の場合、事業主は政府から残りの徴収金を徴収されることになります。
労働保険事務組合は、事業主から委託を受けて労働保険料などの納付も行うわけですが、あくまでも預かったお金の範囲でしか責任を持つことができません。
問題文のように、2万円の労働保険料を納付する必要があるのに、事業主が事務組合に1万円しか渡さなかったとしたら、事務組合は1万円の範囲で責任を果たすことになります。
残りの1万円については、政府は事業主から徴収することになります。
では最後に、労働保険事務組合が業務を廃止するときの手続きについて確認することにしましょう。
下の問題で気をつけなければならないのは、数字と届出の名称です。
労働保険事務組合がもし業務を廃止するときは
(平成23年労災問9D)
労働保険事務組合が、労働保険事務の処理に係る業務を廃止しようとするときは、60日前までに、労働保険事務等処理委託解除届を当該労働保険事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出することによって行わなければならない。
解説
解答:誤
労働保険事務組合が業務を廃止するときは、「60日前」までに、労働保険事務等処理委託解除届ではなく、「労働保険事務組合業務廃止届」を都道府県労働局長に提出する必要があります。
ちなみに、労働保険事務組合が業務を廃止するときに、委託されている事業主に対して同意や承認などを得る必要はありません。
今回のポイント
- 労働保険事務組合の認可を受けようとする「事業主の団体」・「その連合団体」は法人でなくても大丈夫です。
- 労働保険事務組合の認可などをするのは厚生労働大臣ですが、その権限は都道府県労働局長に委任されています。
-
政府は、労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付については、これを労働保険事務組合に対してすることができ、この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなします。
- 事業主が労働保険事務組合に労働保険料などのお金を渡しても、その金額に不足がある場合は、政府は事務組合からではなく、事業主から徴収することになります。
- 労働保険事務組合が業務を廃止するときは、「60日前」までに、「労働保険事務組合業務廃止届」を都道府県労働局長に提出する必要があります。
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