「雇用保険法 一人で学べる傷病手当(求職者給付)の規定」過去問・雇-30

傷病手当は、一般被保険者に対する求職者給付で、社労士試験でよく出題されている手当です。

というのも、この傷病手当が「いつからもらえるのか」、「どれだけもらえるのか」など出題しやすい論点が色々あり、中には、他の論点と混同してしまいそうなものもあるからです。

ですが、一つ一つきちんと押さえていけば決して難しいものではありませんので、これから過去問を見ていくことにしましょう。

 

求職の申込をする前でも傷病手当はもらえる?

(平成22年問5E)

受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭して求職の申込みを行う前に、疾病又は負傷によって職業に就くことができない状態になった場合でも、そのような状態が30日以上継続したことについて公共職業安定所長の認定を受ければ、傷病手当を受給することができる。

 

解説

解答:誤

傷病手当は、求職の申込みをした「で、疾病又は負傷のために職業に就くことができないときに、疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができない日について支給されます。

この問題文は、受給期間の延長」の論点と混同しやすいですね。

受給期間の延長は、離職日の翌日から、病気やケガ、出産などの理由で、受給期間内に働くことができない状態が30日以上続いた場合に適用されるものです。

傷病手当は、あくまでも求職者給付なので、求職の申込をした「後」が対象になるんですね。

さて、傷病手当は、失業中に、病気やケガで職業に就けない状態のときに支給されますが、そもそも「労働の意思及び能力」がない場合はどうなるのでしょう。

「労働の意思及び能力」というキーワードは、雇用保険上の「失業」の定義に出て来るもので、基本手当や傷病手当を含む求職者給付は「失業」している人に支給されるものです。

ここで「失業」の定義を確認しておくと、

「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。

と規定されています。

では、「労働の意思又は能力がない人」が病気やケガを負った場合、傷病手当は支給されるのでしょうか。。。

 

「労働の意思又は能力がない」人が傷病になったら、、、?

(平成28年問2ア)

労働の意思又は能力がないと認められる者が傷病となった場合には、疾病又は負傷のため職業に就くことができないとは認められないから、傷病手当は支給できない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

傷病手当は、あくまで「疾病又は負傷のため」に職業に就くことができないときに支給されるもので、「労働の意思又は能力がない」人には傷病手当が支給されることはありません。

なので、場合によっては傷病とは認められず、労働する能力がないとみなされて傷病手当が出ない可能性もあるということですね。

ちなみに、本問は取扱要領から出題されていて、問題文は要領からそのまま出題されています。

気になる方はリンクを貼っておきますのでご確認いただければと思います。

 

参考記事:取扱要領 P330 53002(2)傷病手当の支給対象者 (ハ)

 

さて、傷病手当を支給してもらうためには、ハローワークに傷病であったことの認定を受ける必要があるのですが、それは、いつ手続きをすればいいのでしょうか。

次の過去問で確認しましょう。

 

傷病の認定はいつ受ければいい?

(平成28年問2オ)

傷病の認定は、天災その他認定を受けなかったことについてやむを得ない理由がない限り、職業に就くことができない理由がやんだ日の翌日から起算して10日以内に受けなければならない。

 

解説

解答:誤

傷病の認定は、「理由がやんだ日の翌日から起算して10日以内」ではなく、「理由がやんだ後における最初の支給日まで」に受ける必要があります。

ただし、天災その他認定を受けなかったことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでないとされています。

ちなみに、支給日というのは、口座振込受給資格者の場合は、支給日の直前の失業の認定日ということになります。

では次は、傷病手当の金額についてチェックしましょう。

 

傷病手当の金額は?

(平成22年問5D)

傷病手当の日額は、当該受給資格者の基本手当の日額に100分の90を乗じて得た金額であり、支給される日数は、同人の所定給付日数から当該受給資格に基づき既に基本手当を支給した日数を差し引いた日数が限度となる。

 

解説

解答:誤

傷病手当の日額は、「基本手当の日額に100分の90を乗じて得た金額」ではなく、「基本手当の日額に相当する額」となります。

つまり、傷病手当1日分=基本手当1日分というわけです。

で、傷病手当を支給する日数は、所定給付日数から既に基本手当を支給した日数を差し引いた日数ですので、問題文後半は正しいです。

では最後に、延長給付の基本手当を受給していても傷病手当が支給されるのかを確認しましょう。

 

延長給付を受給中でも傷病手当はもらえる?

(平成28年問2ウ)

広域延長給付に係る基本手当を受給中の受給資格者が疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができない場合、傷病手当が支給される。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、傷病手当は支給されません。

先ほどの問題にもありましたが、傷病手当は疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができない日について支給されます。

ですが、問題文にある「延長給付に係る基本手当」というのは、本来の基本手当は使い切ってしまって延長給付に突入してしまっているということですよね。

なので、傷病手当に充てる分の基本手当は残っていない、ということになり、延長給付に係る基本手当を受給中の受給資格者については、傷病手当が支給されないのです。

ということは、問題文にある広域延長給付に限らず、訓練延長給付など他の延長給付についても同様に傷病手当は支給されないということになります。

 

今回のポイント

  • 傷病手当は、求職の申込みをした「で、疾病又は負傷のために職業に就くことができないときに、疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができない日について支給されます。
  • 傷病手当は、あくまで「疾病又は負傷のため」に職業に就くことができないときに支給されるもので、「労働の意思又は能力がない」人には傷病手当が支給されることはありません。
  • 傷病の認定は、「理由がやんだ後における最初の支給日まで」に受ける必要があります。
  • 傷病手当の日額は、「基本手当の日額に相当する額」となります。
  • 延長給付に係る基本手当を受給中の受給資格者については、傷病手当が支給されません。

 

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