過去問

「社一 国民健康保険法 これを読めば分かる!被保険者の要件」過去問・社一-7

国民健康保険は、会社に勤めている時に入っている健康保険や国民健康保険組合に加入していない時に入る、都道府県や市町村が保険者となって運営している医療保険の制度ですが、

社労士試験においても、国民健康保険法は毎年と言っていいほどよく出題されています。

まず押さえるべきは、健康保険法との違いです。

たとえば、国民健康保険の適用除外であったり、保険料を滞納するとどういうことになるのか、などを確認しておきましょう。

今回は、国民健康保険の被保険者の要件に関する過去問を中心に集めてあります。

最初の問題は、国民健康保険の被保険者になるのはどういった人たちなのか、別の言い方をすると、適用除外になるのはどんな場合なのかを確認しましょう。

 

都道府県の区域内に住んでいる人はすべて国民健康保険の被保険者??

(平成23年問9D)

国民健康保険法では、都道府県の区域内に住所を有する者はすべて、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする、と規定している。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:誤

都道府県の区域内に住所を有する者は、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とされるのが原則です。

ただし、適用除外に該当する場合には、国民健康保険の被保険者とはなりません。

その適用除外になる場合とは、

  • 健康保険法や船員保険法の被保険者や被扶養者
  • 国家公務員共済組合法や共済組合法などの共済組合の組合員
  • 後期高齢者医療制度の被保険者
  • 生活保護法による保護を受けている世帯に属している人
  • 国民健康保険組合の被保険者

などとなっています。

全部を覚えるのはなかなか大変と思いますが、赤字の部分から押さえていくと、残りはなんとなく分かると思います。

国民健康保険は他の公的な医療制度に加入していない人が入るものですからね。

さて、国民健康保険の被保険者は、先ほど述べたとおり、都道府県の区域内に住所を有する者がその区域内の国民健康保険に入るのですが、たとえば親元を離れて下宿をしている学生などはどうなるのでしょうか。

やはり下宿をしている区域の国民健康保険に入るのでしょうか?

 

下宿している学生の住所の取り扱いはどうなる?

(平成25年問7C)

修学のため一の市町村又は特別区(以下「市町村」という。)の区域内に住所を有する被保険者であって、修学していないとすれば他の市町村の区域内に住所を有する他人と同一の世帯に属するものと認められるものは、国民健康保険法の適用については、当該他の市町村の区域内に住所を有するものとみなし、かつ、当該世帯に属するものとみなす。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

つまり、下宿をしていなければそこの区域に住んでいるわけではないので、もともと住んでいた家のある区域の国民健康保険の被保険者になる、というわけです

基本的に、保険料は世帯主から徴収しますので、学生本人からよりも世帯主から徴収した方が確実に保険料を集められそう、という理由で親元の区域の被保険者にしているのかもしれませんね。笑

では、引越しなどをして住んでいた区域から出る場合などに被保険者の資格の喪失日がいつになるのかをチェックしましょう。

これにも例外がありますので合わせて押さえておきましょうね。

 

国民健康保険の資格喪失日は?

(平成25年問7D)

都道府県等が行う国民健康保険の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有しなくなった日(その日に他の都道府県の区域内に住所を有するに至ったときを除く。)又は国民健康保険法第6条(第9号及び第10号を除く。)に規定される都道府県等が行う国民健康保険の被保険者の適用除外事由のいずれかに該当するに至った日から、その資格を喪失する。

 

解説

解答:誤

都道府県の区域内に住所を有しなくなった日や、国民健康保険法第6条(適用除外)に該当した場合は、その日ではなく、「翌日」に資格喪失します。

ただ、その日」に資格を喪失する場合もあって、

  • 都道府県の区域内に住所を有しなくなった日に他の都道府県の区域内に住所を有するに至ったときや、

適用除外になっても、

  • 生活保護法による保護を受けている世帯に属する者
  • 国民健康保険組合の被保険者

に該当した時は「その日」に資格を喪失します。

さて、会社に勤めていれは健康保険の保険料は会社がお給料から天引きして払ってくれますが、国民健康保険となると、世帯主が保険料を納める必要があります。

でも、いろいろな事情で保険料を滞納してしまうこともあるでしょう。

保険料を滞納してしまった場合はどうなるのでしょうか。

その流れを次の過去問で見てみましょう。

 

保険料を滞納して被保険者証を返還すると?

(令和元年問9B)

国民健康保険に加入する50歳の世帯主、45歳の世帯主の妻、15歳の世帯主の子のいる世帯では、1年間保険料を滞納したため、世帯主は、居住する市から全員の被保険者証の返還を求められ、被保険者証を返還した。この場合は、その世帯に属する被保険者全員に係る被保険者資格証明書が交付される。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、「被保険者全員に」「被保険者資格証明書」が交付されるわけではありません。また、15歳の子については、「有効期間を6月とする被保険者証」が交付されることになります。

つまり、保険料を1年間滞納すると

  1. 市町村から被保険者証の返還を求められるので被保険者証を返還する
  2. 市町村より、世帯主に対して「被保険者資格証明書」が交付される

ただし、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者(いわゆる高校を卒業するまでの人)がいるとき、その者に対しては、有効期間を6月とする被保険者証が交付されます。

どういうことかというと、高校卒業までの人に対しては、人道的な意味から有効期間はあるものの、被保険者証を渡すのでケガや病気をしたらきちんと病院に行ってね、ということなんですね。

では、それ以外の「被保険者資格証明書」を交付された人が病院に行ったらどうなるのかを最後にチェックしておきましょう。

被保険者資格証明書を使って療養を受けたらどうなる?

(令和元年問6A)

市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)及び国民健康保険組合(以下本問において「組合」という。)は、世帯主又は組合員がその世帯に属する被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている場合において、当該被保険者が保険医療機関又は指定訪問看護事業者について療養を受けたときは、当該世帯主又は組合員に対し、その療養に要した費用について、療養費を支給する。

 

解説

解答:誤

被保険者資格証明書の交付を受けている人が療養を受けた場合、「療養費」ではなく、「特別療養費」が支給されることになります。

順番としては、

  1. 被保険者証がないので、とりあえず病院などの窓口で医療費を「全額」支払います。
  2. 後日、市町村に「特別療養費」の支給申請をします。
  3. 市町村から「特別療養費」が支給されます。

ただ、特別療養費を支給する時に、滞納している保険料を差っ引いてから支給する場合があります。

まあ、当然といえば当然かもしれませんが。苦笑

 

今回のポイント

  • 都道府県の区域内に住所を有する者は、適用除外になる場合を除いて、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とされるのが原則です。
  • 国民健康保険の適用除外になる場合とは、
    • 健康保険法や船員保険法の被保険者や被扶養者
    • 国家公務員共済組合法や共済組合法などの共済組合の組合員
    • 後期高齢者医療制度の被保険者
    • 生活保護法による保護を受けている世帯に属している人
    • 国民健康保険組合の被保険者

    などとなっています。

  • 就学のために世帯を離れて住んでいる場合は、もともと住んでいた家のある区域の国民健康保険の被保険者になります。
  • 都道府県の区域内に住所を有しなくなった日や、国民健康保険法第6条(適用除外)に該当した場合は、「翌日」に資格喪失します。
  • 保険料を1年間滞納すると
    1. 市町村から被保険者証の返還を求められるので被保険者証を返還する
    2. 市町村より、世帯主に対して「被保険者資格証明書」が交付される ことになります。
  • ただし、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者(いわゆる高校を卒業するまでの人)がいるとき、その者に対しては、有効期間を6月とする被保険者証が交付されます。
  • 被保険者資格証明書の交付を受けている人が療養を受けた時は、「特別療養費」が支給されます。

 

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