過去問

「社労士試験 国民年金法 遺族基礎年金の支給停止や失権の攻略法」過去問・国-62

社労士試験の受験勉強をしていたとき、年金科目で「支給停止」や「失権」が出てくると、

どれがなんだか知識がごちゃごちゃになってしまった経験があります。

何度も問題を解いてテキストで論点をその度に確認しているうちに少しずつ理解できるようになりましたが、苦手でしたね。

このように自分が苦手だな〜、と思う項目については、できるだけ毎日少しの時間でもいいので触れておくことがオススメです

何度か繰り返しているうちに「あ、そういうことか」とストンと腑に落ちる瞬間が来ますので大丈夫です

大事なことは「一度に理解しようとしないこと」です。

さて今回は、遺族基礎年金についての支給停止や失権について取り上げていますが、厚生年金の知識が問われているものも出てきます。

まだ厚生年金を勉強していない場合は、軽く読み流していただいていいですし、

厚生年金を勉強したことがあるときは、復習のつもりで気軽に見ていただければと思います。

それでは、最初の問題に入っていきましょう。

この過去問は、国民年金の遺族基礎年金と労災保険の遺族補償年金の関係が論点になっています。

これら両方の受給権がある場合は、どのような取り扱いになるのでしょうか?

 

遺族基礎年金と遺族補償年金(労災)、どっちが優先される?

(平成26年問5B)

遺族基礎年金の受給権者が、同一の支給事由により労災保険法の規定による遺族補償年金の支給を受けることができる場合、遺族基礎年金は支給停止されない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

国民年金法の遺族基礎年金と、労災保険法の遺族補償年金の両方を受給できる場合、

国民年金法の遺族基礎年金の方が優先され、労災保険法の遺族補償年金については減額されて支給されます。

どれだけ減額されるのかは、お手持ちのテキストでもご確認いただければと思いますが、

厚生労働省のホームページにも記載されてますのでリンクを貼っておきますね。

 

参考記事:労災年金と厚生年金等の調整率

 

では次に、「子」の「支給停止」についての過去問を見てみたいと思います。

子に遺族基礎年金の受給権については、生計を同じくしている親がいるときは、子の方の遺族基礎年金が支給停止になります。

支給停止なので、受給権がなくなったわけではなく、要件を満たせば支給停止は解除されるのですが、

下の問題のケースではどうなるのでしょうか。

 

子の遺族基礎年金の支給停止は解除されるのか

(平成30年問8B)

夫の死亡により妻と子に遺族基礎年金の受給権が発生し、子の遺族基礎年金は支給停止となっている。当該妻が再婚した場合、当該妻の遺族基礎年金の受給権は消滅し、当該子の遺族基礎年金は、当該妻と引き続き生計を同じくしていたとしても、支給停止が解除される。(子は18歳に達した日以後の最初の3月31日に達していないものとする)

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、子の遺族基礎年金の支給停止は解除「されません」。

子の遺族基礎年金支給停止になる要件としては、

  • 配偶者(親)が遺族基礎年金の受給権を有するとき または
  • 生計を同じくするその子のもしくはがあるとき

となっています。

なので、問題文の場合、妻が再婚して妻の遺族基礎年金の受給権がなくなったとしても、

生計同一の要件は続いているので、子の遺族基礎年金の支給停止は解除されません

では、次は親と子の両方の立場から支給停止の要件を見ていきますね。

下の問題では、厚生年金の要素も入っているので惑わされそうですが、ちょっと読んでみましょう。

 

親と子の支給停止の関係

(平成26年問10A)

厚生年金保険の被保険者である40歳の女性が死亡し、子が遺族厚生年金を受給する場合は、その死亡した被保険者により生計を維持していた40歳の夫が、被保険者の死亡した当時、死亡した被保険者の子と生計を同じくしていたとしても、子が遺族厚生年金を受給している間は、夫の遺族基礎年金は支給停止される。

 

解説

解答:誤り

子が遺族厚生年金を受給して要るからといって、夫の遺族基礎年金が支給停止されません。

実は、この逆のケースの場合は規定があって、

配偶者(夫)が遺族基礎年金の受給権がなくの方には遺族基礎年金の受給権がある場合、

配偶者に対する遺族厚生年金は支給停止になります。

遺族厚生年金の支給停止は、遺族基礎年金の状況次第で決まるというわけです。

この問題は、上記の論点をすり替えたものと言えそうですね。

さて、ここからは「」の遺族基礎年金の「失権」について見ていきたいと思います。

まずは下の問題を読んでみましょう。

 

「子」の遺族基礎年金についての失権事由

(平成30年問2C)

離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったときは、当該子の有する遺族基礎年金の受給権は消滅する。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

「子」が遺族基礎年金の受給権を失権する事由として、まず「子」にしかないものとして

  • 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったとき
  • 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く
  • 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く
  • 20歳に達したとき

となっています。

しかし、遺族基礎年金の失権の事由はこれだけではありません。

最後にもう一問見てみましょう。

 

「子」の遺族基礎年金についての失権事由 その2

(令和元年問2B)

遺族基礎年金の受給権者である子が、死亡した被保険者の兄の養子となったとしても、当該子の遺族基礎年金の受給権は消滅しない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、子の遺族基礎年金の受給権は消滅します。

下に記載する失権事由は、子だけでなく配偶者にも共通するものなのですが、

  • 死亡したとき
  • 婚姻をしたとき
  • 養子となったとき(直系血族または直径姻族の養子となったときを除く)

は、遺族基礎年金の受給権は消滅します。

 

今回のポイント

  • 国民年金法の遺族基礎年金と、労災保険法の遺族補償年金の両方を受給できる場合、国民年金法の遺族基礎年金の方が優先され、労災保険法の遺族補償年金については減額されて支給されます。
  • 子の遺族基礎年金支給停止になる要件としては、
    • 配偶者(親)が遺族基礎年金の受給権を有するとき または
    • 生計を同じくするその子のもしくはがあるとき

    となっています。

  • 配偶者(夫)が遺族基礎年金の受給権がなくの方には遺族基礎年金の受給権がある場合、配偶者に対する遺族厚生年金は支給停止になります。
  • 「子」にしかない失権の事由として
    • 離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者の子でなくなったとき
    • 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く
    • 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるときを除く
    • 20歳に達したとき

    があります。

  • 子と配偶者に共通する失権事由としては、
    • 死亡したとき
    • 婚姻をしたとき
    • 養子となったとき(直系血族または直径姻族の養子となったときを除く)

    となっています。

 

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