「労働一般 労働契約法 無理なく理解できる労働契約の考え方」過去問・労一-5

労働一般で労働契約法がよく出題されるのはご存知のとおりのことと思います。

今回は、労働契約法の中から「労働契約」にまつわる過去問を集めてみました。

労働契約の締結ということは、雇用の一番最初のイベントですから一番肝心なところでもありますね。

まずは、労働契約法における労働者の定義の確認からしておくことにしましょう。

 

労働者の定義はどうなってる?

(平成24年問1A)

労働契約法における「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいうとされており、これに該当すれば家事使用人についても同法は適用される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働契約法では、家事使用人にも適用されます。

一方、労働基準法の規定では、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。」となっていますので、ちゃんと区別しておかなければなりませんね。

ちなみに、労働契約法で適用除外になるのは、

  • 国家公務員及び地方公務員
  • 使用者が同居の親族のみを使用する場合

となります。

次の過去問は、労働条件や労働契約の内容について、労働者に理解してもらうためにどういったケースを想定しているのか、についての論点になっています。

あとでトラブルにならないためにどうすればいいのかという視点で見てみるといいかもしれません。

 

労働契約の内容の理解について

(令和元年問3A)

労働契約法第4条第1項は、「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにする」ことを規定しているが、これは労働契約の締結の場面及び変更する場面のことをいうものであり、労働契約の締結前において使用者が提示した労働条件について説明等をする場面は含まれない。

 

解説

解答:誤

「含まれない」ではなく、労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするのは、労働契約の締結の前も含まれます

もともと、労働契約法第4条1項では、

「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。」

と規定していますが、

通達での補足では、

法第4条第1項は労働契約の締結において使用者が提示した労働条件について説明等をする場面や、労働契約が締結又は変更されて継続している間の各場面広く含まれるものであること。(後略)」

としています。

つまり、労働条件や労働契約の内容は、労働契約を結ぶ前にもちゃんと説明して、労働者にきちんと理解してもらいなさい、と言っているのです。

なんでこのようなことを言うのかというと、その通達によれば、

契約内容について労働者が十分理解しないまま労働契約を締結又は変更、後にその契約内容について労働者と使用者との間において認識の齟齬が生じ、これが原因となって個別労働関係紛争が生じているところである」

ということなのです。

後で言った言わないの話にならないように、最初にきちんとしておくのが大切ということですね。

この通達については、下にリンクを貼っておきますのでご自由にご参考になさってくださいね。

「4 労働契約の内容の理解の促進(法第4条関係)」のところに記載があります。

 

参考記事:労働契約法の施行について」の一部改正について 基発1228第17号 基発0810第2号

 

さて、先ほど「言った言わない」の話をしましたが、それを防ぐための方法についての過去問を見てみることにしましょう。

 

労働契約の内容の確認について

(平成26年問1E)

労働契約法第4条第2項は、労働者及び使用者は、期間の定めのある労働契約に関する事項を含む労働契約の内容について、できる限り書面によって確認するものとする旨、定めている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、

「労働者及び使用者は、期間の定めのある労働契約に関する事項を含む労働契約の内容について、できる限り書面によって確認する」

としています。

ちなみに、期間の定めのある労働契約を含んでいるのは、上記の通達によると、

「期間の定めのある労働契約が締結される際に、期間満了時において、更新の有無や更新の判断基準等があいまいであるために個別労働関係紛争が生じていることが少なくない

となっているからなのです。

ですから、雇用契約書や労働条件通知書などの書面で労働条件を明らかにしておくことが大切なのですね。

さて次は、「正社員」と「多様な正社員」との間の労働契約の均衡についてのお話です。

労働契約法第3条2項では、

「労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。」

と規定されているのですが、これが正社員と多様な正社員には適用されないのかどうか、という問題になっています。

ちなみに、多様な正社員というのは、勤務地や職務、勤務時間の範囲が、一般的な正社員と比べて限定的になっている正社員のことを指します。

 

労働契約の均衡は多様な正社員には適用されない?

(平成27年問1A)

労働契約法第3条第2項では、労働契約は就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきとしているが、これには、就業の実態が異なるいわゆる正社員と多様な正社員の間の均衡は含まれない。

 

解説

解答:誤

労働契約法第3条2項の労働契約の「均衡」は、いわゆる正社員と多様な正社員の間にも適用されます。

で、通達によると、

多様な正社員を含む労働者の納得感を高め、その意欲や能力の発揮を図る等の観点から、多様な正社員といわゆる正社員の間の処遇の均衡を図ることが重要である

となっています。

つまり、労働契約法は労使の間のゴタゴタをどうしたら避けられるだろうか、という考えですので、一律に基準を設けることは難しいとしながらも、労使で話し合ってできるだけ納得性の高いものにして欲しいと記載されています。

この通達も下にリンクを貼っておきますのでご自由にご参考になさってくださいね。

「2 均衡処遇について」のところに記載があります。

 

参考記事:多様な正社員に係る「雇用管理上の留意事項」等について( 平成26年7月30日 基発0730第1号)

 

では最後に、労働契約と安全配慮義務についての過去問を見ておきましょう。

労働条件はできるだけ書面にしておくことが望ましいことは、先ほどの問題にあったとおりですが、すべての条件を書くことはなかなか難しいでしょう。

しかし、安全配慮は安心して働くためには大切なことです。

もし、労働契約に安全配慮について触れられていない場合はどうなるのでしょうか。。。

 

安全配慮の項目が労働契約にないときは??

(平成30年問3イ)

使用者は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、安全配慮義務を負う。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働契約法の第5条には、

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

とあります。

それに加えて通達には、

「通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労働に従事するものであることから、(中略)、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は、労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているもの」

と記載されています。

つまり、使用者が労働者に「ここでこんな仕事をしなさい」と指示を出す以上、使用者は労働者がケガをしないように配慮するのは当然だ、と言っているわけですね。

言われてみれば当然のことなのですが、民法の規定にないので労働契約法で規定をした、ということだそうです。

こちらの通達については下記のものになります。

P.9の「5 労働者の安全への配慮(法第5条関係)」に記載がありますので、ご興味のある方はご覧ください。

 

参考記事:労働契約法の施行について(基発0810第2号 平成24年8月10日)

 

今回のポイント

  • 労働契約法では、家事使用人にも適用されます。
  • 労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするのは、労働契約の締結の前も含まれます
  • 労働者及び使用者は、期間の定めのある労働契約に関する事項を含む労働契約の内容について、できる限り書面によって確認する、と規定されています。
  • 労働契約法第3条2項の労働契約の「均衡」は、いわゆる「正社員」と「多様な正社員」の間にも適用されます。
  • 使用者は、労働契約に伴い、信義則上当然に、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする必要があります。

 

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