受験勉強をしているとき、「労働保険事務組合」と言われてもあまりピンときませんでした。苦笑
その当時は、総務を担当していましたが、あまり関わることがなかったのでイメージできなかったんですね。
なので、勉強をしていても味気なかったのを覚えています。
労働保険事務組合で押さえておきたいのは、事務組合でできる業務とできない業務の切り分けですね。
こちらについての過去問もありますので後ほど確認しましょう。
最初の問題は、労働保険事務組合が法人でないとだめなのかどうか、という論点になっています。
早速見ていくことにしましょう。
労働保険事務組合は法人でないとだめ?
(平成29年雇用問10C)
労働保険事務組合の認可を受けようとする事業主の団体又はその連合団体は、事業主の団体の場合は法人でなければならないが、その連合団体の場合は代表者の定めがあれば法人でなくともよい。
解説
解答:誤
「事業主の団体の場合は法人でなければならない」というところが誤りです。
労働保険事務組合というのは、それ単体で存在しているというよりは、商工会議所や事業協同組合など事業主が集まった既存の団体と同じ組織です。
で、その事業主の集まった組織が労働保険事務組合として業務を行うためには、厚生労働大臣の認可が必要になるわけですが、別に法人でないとダメ、という要件はありません。
ただ、法人でない組織の場合は、代表者の定めをしておく必要があるほか、規約などでその組織の内容が分かるものがないといけません。
ただのグループ、というだけでは労働保険事務組合の認可はもらえないということですね。
では、委託をしたいと思っている事業主側から見てみましょう。
自分の会社の労働保険の事務を委託するために、労働保険事務組合を探す時に何か条件があるのでしょうか。
自分の会社のある都道府県内にある事務組合でないといけないのでしょうか。
こちらは、令和2年度の法改正の対象になっていますのでチェックしておきましょう。
委託する労働保険事務組合は、同じ都道府県内にある必要がある?
(平成29年雇用問10A)
労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる事業主は、当該労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所をもつ事業の事業主に限られる。
解説
解答:誤
委託したい事業主と労働保険事務組合は同じ都道府県にある必要はありません。
以前は、事務組合がある都道府県に隣接している都道府県の事業主の数が全体の20%以下であれば、隣の都道府県の事業主の委託を受けることができました。
たとえば東京都にある事務組合が、神奈川県に事務所がある事業主の委託を受けようとする場合、委託を受けている東京都の事業主の数が全体の80%以上ないと引き受けることができなかったのです。
でも、令和2年度から法改正によりそういった地域の制限がなくなりましたので、問題文は誤りということになります。
さて、めでたく労働保険事務組合に労働保険の事務を委託できるようになりましたが、何でもかんでも事務組合に事務処理をお願いできるわけではありません。
次の過去問で委託できない業務を確認しましょう。
労働保険事務組合に委託できないものはどれ?
(平成23年雇用問8)
労働保険徴収法第33条第!項の規定により、事業主が労働保険事務組合に委託して処理させることができると定められている労働保険事務として、次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 雇用保険被保険者資格取得届を所轄公共職業安定所長に提出する事務
B 印紙保険料納付状況報告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出する
事務
C 雇用保険の適用事業所の設置の届書を所轄公共職業安定所長に提出する
事務
D 労災保険の任意加入申請書を所轄都道府県労働局長に提出する事務
E 労災保険の中小事業主等の特別加入申請書を所轄都道府県労働局長に提
出する事務
解説
解答:B
印紙保険料に関するものは、労働保険事務組合に委託することができません。
印紙保険料の業務は、所轄公共職業安定所長から雇用保険印紙購入通帳の交付を受けたり、印紙を郵便局から買ったりと、いろいろ細かいことが多いので委託業務から外されているのかも分かりませんね。
もしくは、普通の雇用形態ではなく、日雇労働被保険者を雇っているんだから、それくらいの事務は自分でやってよね、ということかもしれません。。。
さて、事業主が労働保険事務組合に委託できない業務についてもう一問チェックしましょう。
事務組合が処理できない事務
(令和元年雇用問9D)
労働保険事務組合は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、労災保険の保険給付に関する請求の事務を行うことができる。
解説
解答:誤
労災保険の保険給付に関する請求の事務は委託することができません。
先ほど、印紙保険料に関する事務は事務組合に委託できない、とお話ししましたが、それ以外に、労災保険や雇用保険の保険給付に関する請求等の事務も委託することができません。
労働保険事務組合ができる労働保険事務はおおよそ、
- 概算保険料、確定保険料などの申告及び納付
- 保険関係成立届、任意加入の申請、雇用保険の事業所設置届の提出
- 雇用保険の被保険者に関する届出等の事務
といった、届出の業務までの内容になっています。
つまり、保険給付の請求の業務までは委託できない、ということになっているのですね。
では最後に、二元適用事業の場合の委託届の流れについて確認しておきましょう。
下の問題では、都道府県労働局長に労働保険事務等処理委託届を提出するのにどこを経由するのか、ということが問われています。
二元適用事業からの届書の提出ルートは?
(令和元年雇用問9B)
労働保険事務組合は、労災保険に係る保険関係が成立している二元適用事業の事業主から労働保険事務の処理に係る委託があったときは、労働保険徴収法施行規則第64条に掲げられている事項を記載した届書を、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長を経由して都道府県労働局長に提出しなければならない。
解説
解答:誤
二元適用事業の場合、労働保険事務等処理委託届を提出する時は、所轄公共職業安定所長を経由することはできず、
事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して、事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出するという流れになっています。
今回のポイント
- 労働保険事務組合の認可を受けようとする事業主の団体又はその連合団体は、法人でなくても大丈夫ですが、代表者の定めをしておくなど、団体性が証明できることが必要です。
- 委託したい事業主と労働保険事務組合は同じ都道府県にある必要はありません。
- 印紙保険料に関するものは、労働保険事務組合に委託することができません。
- 労災保険や雇用保険の保険給付に関する請求等の事務も委託することができません。
-
二元適用事業の場合、労働保険事務等処理委託届を提出する時は、事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して、事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出するという流れになっています。
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