私が受験勉強をしているとき、高額介護合算療養費は、できれば見てみぬふりをして通り過ぎたいほど苦手な項目でしたね。
当時は、覚えないといけない数字があるからと思っていたのですが、
たしかに数字を覚えるのはイヤでしたけども、今になって思うと「漢字が多い」のが拒否反応を起こしていたのではと思う今日この頃です。苦笑
高額介護合算療養費そのものについては、それほど深い論点ではないので、冷静に勉強できてたら、もっと効率的に学習が進んだかもしれませんね。
苦手意識を持った場合、なぜ苦手なのかを感覚ではなく、ある程度突き詰めておくと、意外と大したことのない理由だったりすることがあるので、自分と向き合うことも大切かと思います。
それでは過去問を見ていくことにしましょう。
最初の問題では、高額介護合算療養費の支給要件が論点になっているのですが、
高額介護合算療養費がどんな場合に支給されるのか確認することにしましょう。
高額介護合算療養費の支給要件
(平成30年問3B)
高額介護合算療養費は、健康保険法に規定する一部負担金等の額並びに介護保険法に規定する介護サービス利用者負担額及び介護予防サービス利用者負担額の合計額が、介護合算算定基準額に支給基準額を加えた額を超える場合に支給される。高額介護合算療養費は、健康保険法に基づく高額療養費が支給されていることを支給要件の1つとしており、一部負担金等の額は高額療養費の支給額に相当する額を控除して得た額となる。
解説
解答:誤り
健康保険法に基づく高額療養費が支給されていることは、高額介護合算療養費の支給要件になっていないので誤りです。
高額介護合算療養費は、健康保険の自己負担額や介護保険の自己負担額を足したものが、介護合算算定基準額を超えた場合に支給されますが、
高額療養費などが支給されている場合は、一部負担額からあらかじめ引いておきます。
だからといって、高額療養費の支給が介護合算療養費の支給要件になっているわけではありません。
さて、健康保険の高額介護合算療養費と同じような制度が介護保険にもある、と聞いたらあなたはどんな印象を持ちますか?
「え?それなら併給調整があるんじゃない?」
と社労士試験の勉強をしてたら思いますよね。
実際に、介護保険にも健康保険の高額介護合算療養費のような制度があるのですが、併給調整されてしまうのかどうか、次の問題で確認しましょう。
介護保険からも支給がある場合、高額介護合算療養費は?
(令和元年問3E)
高額介護合算療養費は、一部負担金等の額並びに介護保険の介護サービス利用者負担額及び介護予防サービス利用者負担額の合計額が著しく高額である場合に支給されるが、介護保険から高額医療合算介護サービス費又は高額医療合算介護予防サービス費が支給される場合には支給されない。
解説
解答:誤り
介護保険から高額医療合算介護サービス費や高額医療合算介護予防サービス費が支給される場合でも、所定の要件を満たせば高額介護合算療養費は支給されるので誤りです。
介護保険にも健康保険の高額介護合算療養費のような制度があって、健康保険と介護保険の自己負担額が高額なときに介護保険から高額医療合算介護サービス費または高額医療合算介護予防サービス費が支給されます。
ただ、介護保険から高額医療合算介護サービス費や高額医療合算介護予防サービス費が支給される場合に、健康保険の高額介護合算療養費を支給しないという規定はありません。
では、高額介護合算療養費を算定する単位について見ておきましょう。
高額介護合算療養費は、1年間の健康保険や介護保険の自己負担額を合わせた金額が対象になっていますが、どのように自己負担額がまとめられるのでしょうか。
高額介護合算療養費の算定期間
(平成25年問10オ)
高額介護合算療養費は、計算期間(前年8月1日から7月31日までの1年間)の末日において健康保険の被保険者及びその被扶養者についてそれぞれ個別に算定し支給する。
解説
解答:誤り
高額介護合算療養費は、健康保険の被保険者と被扶養者について個別に算定するのではなく、「世帯」を単位に算定されるので誤りです。
また、計算期間については、「前年8月1日から7月31日までの1年間」の記述は正しいです。
では、高額介護合算療養費の算定についてもう少し見ておきましょう。
高額介護合算療養費を算定するときは、健康保険と介護保険の自己負担額を合わせていくわけですが、
自己負担額について規定があるようで、その基準を満たさないと自己負担額として認められないのです。
どのような規定になっているのか下の問題で確認しましょう。
高額介護合算療養費の算定方法
(平成28年問3A)
70歳未満の被保険者又は被扶養者の受けた療養について、高額療養費を算定する場合には、同一医療機関で同一月内の一部負担金等の額が21,000円未満のものは算定対象から除かれるが、高額介護合算療養費を算定する場合には、それらの費用も算定の対象となる。
解説
解答:誤り
70歳未満の被保険者や被扶養者が受けた療養については、健康保険の自己負担額が21,000円未満のものは、高額介護合算療養費の算定の対象から除かれますので誤りです。
これについては、問題文にあるように、高額療養費と高額介護合算療養費の自己負担額の考え方が同じということですね。
さて、高額介護合算療養費では1年単位で自己負担額を見ていくわけですが、
たとえば高額療養費の場合、同じ月の中で協会けんぽから健康保険組合や共済に移った場合、それぞれの管掌ごとに算定されます。
なので、同じ月の中で転職などをすると高額療養費が支給される基準に達しない可能性がありますね。
では、高額介護合算療養費の場合どうなるのかを最後に確認しておきましょう。
もし途中で保険者が変更になったら、、、?
(令和2年問2B)
高額介護合算療養費に係る自己負担額は、その計算期間(前年の8月1日からその年の7月31日)の途中で、医療保険や介護保険の保険者が変更になった場合でも、変更前の保険者に係る自己負担額と変更後の保険者に係る自己負担額は合算される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
高額介護合算療養費の場合、高額療養費と違って、計算期間の途中で医療保険や介護保険の保険者が変わっても自己負担額は合算されます。
1年という期間は長いですから転職などをして保険者が変更になっても一安心というわけですね。
今回のポイント
- 健康保険法に基づく高額療養費が支給されていることは、高額介護合算療養費の支給要件になっていません。
- 介護保険から高額医療合算介護サービス費や高額医療合算介護予防サービス費が支給される場合でも、所定の要件を満たせば高額介護合算療養費は支給されます。
- 高額介護合算療養費は、前年8月1日から7月31日までの1年間について、「世帯」を単位に算定されます。
- 70歳未満の被保険者や被扶養者が受けた療養については、健康保険の自己負担額が21,000円未満のものは、高額介護合算療養費の算定の対象から除かれます。
- 高額介護合算療養費の場合、1年の計算期間の途中で医療保険や介護保険の保険者が変わっても自己負担額は合算されます。
毎日の勉強のヒントにどうぞ♫
本試験日が近づくにつれ、これまで以上に勉強時間の確保が課題になってきます。
スマホとのお付き合いを減らして3分の勉強時間を捻出できるかどうか検証してみましょう(^^)
各科目の勉強法の記事をまとめました
労働基準法から一般常識までの全科目の勉強法の記事をまとめましたのでぜひご覧ください
リンク「社労士試験 独学合格法 各科目の勉強方法の記事をまとめました!」
科目ごとにまとめて記事を見ることができます!
スマホでご覧になっていただいている場合は、一番下までスクロールすると、科目名が並んでいますのでご覧になりたい科目をタップいただくと、その科目だけの記事を見ることができます。
もしくは、一番右上の三本線(メニューになっています)をタップしていただいて科目名を表示させる方法もあります。
ぜひご活用ください!
この記事へのコメントはありません。