過去問

「社労士試験 社会保険に関する一般常識 国民健康保険法の概要を再チェック!」過去問・社一-34

今回は、国民健康保険法を取り上げたいと思います。

国民健康保険法の勉強をしている時期は、健康保険法の学習をすでに一通り行なっていることが多いので、ある程度馴染みがある状態で勉強できるかもしれません。

なので、健康保険法と違う特徴を意識しながら学習を進められると良いと思います。

ただ、学習のボリュームがそこそこあるものの、社会一般の一部に過ぎませんのであまり深入りしないように気をつけたいですね。

それでは、問題に入っていきたいと思います。

1問目の過去問は、国民健康保険団体連合会が論点になっています。

国民健康保険団体連合会がどのように設立されるのか見てみましょう。

 

国民健康保険団体連合会とは

(令和元年問6C)

都道府県若しくは市町村(特別区を含む。)又は組合は、共同してその目的を達成するため、国民健康保険団体連合会を設立することができる。(「組合」とは「国民健康保険組合」のことです)

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

国民健康保険団体連合会を設立しようとするときは、都道府県知事の認可が必要で、現在、国民健康保険団体連合会は、各都道府県に1つずつ設立されていて、診療報酬の審査支払業務などを行なっています。

では、被保険者の方に目を向けてみましょう。

国民健康保険の被保険者はどのような人々が対象になっているのか次の問題で確認しますね。

 

国民健康保険の被保険者

(平成23年問9D)

国民健康保険法では、都道府県の区域内に住所を有する者はすべて、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする、と規定している。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:誤り

国民健康保険の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有する者が対象になりますが、適用除外の要件に該当する場合は国民健康保険の被保険者になりません。

たとえば、健康保険法の被保険者や被扶養者、公務員共済の組合員、私立学校教職員共催制度の加入者をはじめ、

後期高齢者医療制度の被保険者や国民健康保険組合の被保険者も適用除外となります。

さて、次は国民健康保険独特の制度を見ておきましょう。

健康保険法では、被保険者の保険料は事業主がお給料から天引きして納付するので滞納は起きにくいですが、

国民健康保険法では世帯主が保険料を納付する仕組みになっているので、中には保険料を滞納する世帯も出てきます。

国民健康保険の保険料を滞納すると、市町村は世帯主に対して被保険者証の返還を求めることになっていて、

被保険者証が返還されると、市町村は「被保険者資格証明書」を交付します。

この被保険者資格証明書の交付を受けているときに病院で診察などを受けた場合、その費用がどうなるのか見てみましょう。

 

被保険者資格証明書の交付を受けていると、、、

(令和元年問6A)

市町村(特別区を含む。)及び国民健康保険組合は、世帯主又は組合員がその世帯に属する被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている場合において、当該被保険者が保険医療機関又は指定訪問看護事業者について療養を受けたときは、当該世帯主又は組合員に対し、その療養に要した費用について、療養費を支給する。

 

解説

解答:誤り

被保険者資格証明書の交付を受けている場合に保険医療機関などで療養を受けたときは、療養費ではなく、特別療養費が支給されます。

この場合、保健医療機関の窓口で費用をいったん全額支払い、その後に市町村に申請することで自己負担分を除いた部分の支払いを受けることができるのですが、

保険料滞納分を差し引いて支払われることがあるのです。

つまり、滞納した保険料を少しでも回収するための仕組みと言えそうですね。

で、保険給付や保険料などの処分について不服があるときは、健康保険法と同じく審査請求ができるのですが、

「どこに」審査請求をするのかを見ておきましょう。

 

保険給付の処分に不服があるときは

(令和元年問6E)

保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む。)又は保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金(同法附則第10条第1項に規定する療養給付費等拠出金及び事務費拠出金を除く。)に関する処分に不服がある者は、国民健康保険審査会に審査請求をすることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

国民健康保険法における保険給付や保険料などの処分に不服があるときは、国民健康審査会審査請求をすることができます。

ちなみに、健康保険法では、被保険者の資格標準報酬保険給付の処分に不服がある時は社会保険審査官に審査請求しますが、

保険料の賦課などの処分に不服がある時は、社会保険審査会に審査請求するのでしたね。

そのあたりの違いもこの機会に確認されておくといいですね。

それでは最後に「提起」について見ておきましょう。

下の過去問では、どのタイミングで提起できるのかについて問われていますので、読んでみてくださいね。

 

提起をするには、、、?

(平成29年問6B)

国民健康保険の保険料に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

提起は、国民健康保険審査会の審査請求に対する裁決を経た後でなければできないことになっています。

ちなみに、健康保険法では、被保険者の資格標準報酬保険給付については、社会保険審査官の裁決を経た後でなければ提起できませんが、

保険料の賦課などの処分の場合は、社会保険審査会の審査請求をしなくても直接提起することができます。

 

今回のポイント

  • 都道府県もしくは市町村または組合は、共同してその目的を達成するために国民健康保険団体連合会を設立することができ、国民健康保険団体連合会を設立しようとするときは、都道府県知事の認可が必要です。
  • 国民健康保険の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有する者が対象になりますが、適用除外の要件に該当する場合は国民健康保険の被保険者になりません。
  • 被保険者資格証明書の交付を受けている場合に保険医療機関などで療養を受けたときは、療養費ではなく、特別療養費が支給されます。
  • 国民健康保険法における保険給付や保険料などの処分に不服があるときは、国民健康審査会審査請求をすることができます。
  • 提起は、国民健康保険審査会の審査請求に対する裁決を経た後でなければできないことになっています。

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

音声講義を利用しているなら、できるだけ速度を上げて聴くことをオススメします。

少しずつ速度を上げれば耳も慣れていきますので大丈夫です。

これで時短ができれば他の勉強にあてることができて一石二鳥です♫

 

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