「雇用保険法 過去問で読み解く被保険者の本質とは」過去問・雇-38

雇用保険法の被保険者については、具体例をあげて「この人は被保険者になりますか?」という問題が多いですね。

正直な話、一つ一つの例を覚えていくのは大変ですし、キリがないです。

ではどうすればいいのかというと、過去問演習を通じて雇用保険法上の被保険者はどういった人がなるのか、という本質を身につければ多少の応用問題にも対応できるのではないでしょうか。

つまり、雇用保険の被保険者になれるのは「労働者」なのです。

「ん?なに当たり前のこと言っているの?」

と言われそうですが、

問題文を読んで「労働者性」がどれだけあるのかを読み取ることができれば正解できます。

早速見ていきましょう。

 

NPO法人の役員は被保険者になれない?

(平成30年問2D)

特定非営利活動法人(NPO法人)の役員は、雇用関係が明らかな場合であっても被保険者となることはない。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は「雇用関係が明らかな場合」であれば被保険者になることがあります。

業務取扱要領20351には、

「農業協同組合、漁業協同組合等の役員は、雇用関係が明らかでない限り被保険者とならない。 その他の法人又は法人格のない社団若しくは財団(例えば、特定非営利活動法人(NPO法人)) の役員は、雇用関係が明らかでない限り被保険者とならない。」

とあります。

裏を返せば、雇用関係が明らかであれば被保険者になりうるということですね。

ここでのキーワードは、「雇用関係」です。

雇用されていれば、すなわち「労働者」ということですから、雇用関係で先ほど述べた「労働者性」を判断しているのですね。

こちらの取扱要領については下にリンクを貼っておきますので、ご自由にご参考になさってくださいね。

 

参考記事:業務取扱要領 P17 20351(1)(へ)

 

もう少し「雇用関係」を論点にした問題を見てみましょう。

実はもう答えが出ているのですが(苦笑)、まあ見てみましょう。

 

協同組合の役員はどう?

(平成27年問1A)

農業協同組合、漁業協同組合の役員は、雇用関係が明らかでない限り雇用保険の被保険者とならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、農業協同組合、漁業協同組合の役員は、「雇用関係」が明らかでない限り雇用保険の被保険者とはなりません。

実は先ほどの業務取扱要領に記載されています。笑

しかし、ここでも「雇用関係」がネックになっていることが分かりますね。

次は学生さんのケースを確認しましょう。

学生さんの本文はあくまでも学業なので、普通は雇用保険の被保険者にはなりません。

ですが、一定の条件が認められれば「労働者性」が増してくるのです。。。

 

学生であっても雇用保険法が適用されるのは

(平成25年問1B)

学校教育法第1条、第124条又は第134条第1項の学校の学生又は生徒であっても、卒業を予定している者であって、適用事業に雇用され、卒業した後も引き続き当該事業に雇用されることとなっているものは、雇用保険法が適用される。

 

解説

解答:正

問題文のケースでは雇用保険法が適用されます。

学生さんでも雇用保険法が適用されるものとしては以下の場合になります。

  1. 卒業を予定している者であって、適用事業に雇用され、卒業した後も引き続き当該事業に雇用されることとなっているもの
  2. 休学中の者
  3. 定時制の課程に在学する者
  4. 前3号に準ずる者として職業安定局長が定めるもの

色々な理由はありますが、学業から働くことにウエイトが移っている感じがしますね。

なので、学生さんでも労働者としての色が濃くなってきた場合は雇用保険法が適用されて被保険者になるんですね。

さて、働いている人が外国人の場合はどうなるのでしょうか。

やはり「労働者性」が考慮されるのでしょうか。

 

外国人であっても被保険者になれる?

(平成25年問1D)

日本国に在住する外国人が、期間の定めのない雇用として、適用事業に週に30時間雇用されている場合には、外国公務員又は外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者を除き、国籍(無国籍を含む。)のいかんを問わず被保険者となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

雇用保険の目的が、失業した時に、生活と雇用の安定を図ることなので、母国側の失業補償制度の適用を受けていないのであれば、国籍を問わず被保険者になります。

ちなみに、下記は業務取扱要領20352に記載されているのですが、労働者性がどれだけあるのか参考になればと思います。

ワーキング・ホリデー制度による入国者は、主として休暇を過ごすことを目的として入国し、その休暇の付随的な活動として旅行資金を補うための就労が認められるものであることから、被保険者とならない。」

いかがでしょう。

休暇で来日している人は被保険者とならず、問題文のように適用事業に週30時間雇用されている外国人は被保険者になるということですね。

なんとなく掴めてきたと思いませんか?

こちらの業務取扱要領20352もリンクを貼っておきますのでご興味のある方はどうぞ。

 

参考記事:業務取扱要領 P24 20352(2)ホ在日外国人

 

では最後に、下の問題を読んでみて問題文の主人公にどれだけ「労働者性」があるのか推測してみましょう。

 

被保険者になるための本質とは

(平成30年問2E)

身体上若しくは精神上の理由又は世帯の事情により就業能力の限られている者、雇用されることが困難な者等に対して、就労又は技能の習得のために必要な機会及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする社会福祉施設である授産施設の職員は、他の要件を満たす限り被保険者となる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

就業能力の限られている人や雇用されることが困難な人を集めているのが授産施設なのですね。

で、

「就業能力の限られている人」「職員」

というところまで読み取ることができれば、

素直に「他の要件を満たす限り被保険者となる」という記載も納得できると思います。

ちなみに、「就業能力の限られている人」や「雇用されることが困難な人」は授産施設に「作業員」として来ているそうで、「作業員」の方は原則として被保険者にはなりません。

こちらも先述した、業務取扱要領20351に記載があります。

一応、下にリンクを貼っておきますね。

 

参考記事:業務取扱要領 P21 20351 ヌ 授産施設の作業員

 

ただ、何度も申し上げるようですが、例を一つ一つ覚えるというよりは、「労働者性」がどれだけあるのか、という視点で見ることにことによって、被保険者の本質を押さえるようにしましょうね。

 

今回のポイント

  • 問題文を読んで「労働者性」がどれだけあるのかを読み取ることができればOKです。
  • 農業協同組合、漁業協同組合等の役員は、雇用関係が明らかでない限り被保険者となりません。また、 その他の法人又は法人格のない社団若しくは財団(例えば、特定非営利活動法人(NPO法人)) の役員は、雇用関係が明らかでない限り被保険者となりません。
  • 学生さんでも雇用保険法が適用されるものとしては以下の場合になります。
    1. 卒業を予定している者であって、適用事業に雇用され、卒業した後も引き続き当該事業に雇用されることとなっているもの
    2. 休学中の者
    3. 定時制の課程に在学する者
    4. 前3号に準ずる者として職業安定局長が定めるもの
  • 雇用保険の目的が、失業した時の生活と雇用の安定を図ることなので、母国側の失業補償制度の適用を受けていないのであれば、国籍を問わず被保険者になります。

 

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