「労基法 時間外や休日の労働にからむ36協定や坑内労働の考え方」過去問・労基-48

時間外労働休日労働で社労士試験に出てくるのは36協定についての問題が多いですね。

それに坑内労働などの問題もからんでくることがありますので、押さえたい知識の量がちょっと増えますね。

ですが、たとえば36協定成立の手順の確認をしていき、その後に協定の効力をチェックするなどして順を追って理解していくようにすれば頭の中に入りやすいかと思います。

なので、体系的に押さえるには問題演習だけでなく、テキストで確認することも大切になってきますね。

では最初の問題を見てみましょう。

「36協定」について、その協定の効力はどの段階から有効になるのかが論点になっています。

つまり、労働者に時間外労働を命じることができるのはいつからなのでしょうか。

 

36協定の効力はどの段階から有効に?

(平成24年問5E)

労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定は、これを所轄労働基準監督署長に届け出てはじめて使用者が労働者に適法に時間外労働又は休日労働を行わせることを可能とするのであって、法定労働時間を超えて労働させる場合、単に同協定を締結したのみでは、労働基準法違反の責めを免れない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

36協定は、協定を結んだだけでは効力はなく、所轄労基署長に届け出てはじめて有効になります。

なので、協定で定めた有効期間の開始日を過ぎてから労基署に提出した場合、その36協定届は、労基署が受け付けた日以降有効になりますので、受付日以前に時間外労働があると違法ということになるのです。

では、36協定で定めることのできる時間外労働の限度時間はどうなっているのでしょうか。

 

36協定に定める時間外労働の限度時間は?

(令和2年問6C)

労働基準法第36条第3項に定める「労働時間を延長して労働させることができる時間」に関する「限度時間」は、1か月について45時間及び1年について360時間(労働基準法第32条の4第1項第2号の対象期間として3か月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)とされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

時間外労働限度時間の原則は、

「1か月について45時間及び1年について360時間

となっています。

で、問題文にある、労働基準法第32条の4第1項第2号(1年単位の変形労働時間)を採用していて、対象期間が3ヶ月を超えている場合の時間外労働時間の限度は、

1か月について42時間及び1年について320時間

です。

なぜ1年単位の変形労働時間制の方が限度時間が短いのかというと、変形労働時間制を運用しているということは、

業務が忙しい時には法定労働時間を超えて所定労働時間を設定することができる(1日10時間、1週52時間まで)ので、

必然的に時間外労働時間は減るはずだからです。

さて、36協定を結べば労働者に時間外労働をしてもらうことができるわけですが、

労働者にしてみれば、過半数代表者が協定したにしても残業をすることに納得できない人もいるかもしれません。

ということで、36協定を結べば労働者は残業する必要があるのかどうか見てみましょう。

 

36協定が有効でも労働者は残業に応じる義務はない?

(平成27年問6ウ)

労働基準法第32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨を定めていたとしても、36協定は私法上の権利義務を設定する効果を有しないため、当該就業規則の規定の内容が合理的なものであるか否かにかかわらず、労働者は労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負わないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:誤り

36協定を締結して所轄の労基署に届け出た場合、就業規則の内容が合理的なものであれば、労働者は労働契約に定めている労働時間を超えて労働する義務を負います

ちなみに36協定は、時間外労働を禁止している労働基準法の規定を免除してもらうためのものに過ぎませんので、時間外労働を労働者に命じるには、労働契約や就業規則などでルール付けされていることが必要です。

なので、その就業規則などで時間外労働を規定しているのであれば、労働者は残業を拒むことは基本的にできません。

さて、次は坑内労働と時間外・休日労働の関係について見ておきましょう。

坑内労働は、他の一般的な労働と違って、「健康上特に有害な業務」になっているので、労働時間の延長は2時間を超えることができません。

では、次の問題のように、1日のうちに坑内労働と一般の労働が混ざっている場合、労働時間の限度はどうなるのでしょうか。

 

坑内労働とその他の業務を同じ日にした時の限度時間はどうなる

(平成29年問4B)

坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務(以下本問において「坑内労働等」という。)の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならないと規定されているが、坑内労働等とその他の労働が同一の日に行われる場合、例えば、坑内労働等に8時間従事した後にその他の労働に2時間を超えて従事させることは、本条による協定の限度内であっても本条に抵触する。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、法36条(坑内労働における2時間の限度時間)には抵触しません。

つまり、2時間の延長の部分は坑内労働のみの労働時間でカウントしますので、事務作業など一般の仕事もしている場合の労働時間は、36協定で定めた基準を超えなければ大丈夫です。

なので、

  • 坑内労働 → 1日についての法定労働時間数(変形労働時間制の場合は所定労働時間)+2時間を超えていなければオーケー
  • 坑内労働等以外の業務 →  36協定で定めた時間内ならオーケー

ということになります。

では最後に、坑内労働を休日に行う場合を見てみましょう。

休日は基本的に時間外労働の概念がない(手当は休日割増と夜間割増だけ)ので、先ほどの「労働時間+2時間」が適用になるのかどうか、というのが次の問題の論点です。

 

坑内労働を休日にする場合の労働時間の限度は

(平成29年問4C)

坑内労働等の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならないと規定されているが、休日においては、10時間を超えて休日労働をさせることを禁止する法意であると解されている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

論点になっている「労働時間+2時間」の解釈は、基本的には「法定労働時間+2時間」という意味になるので、つまるところ休日の坑内労働は「10時間まで」ということになります。

なので、休日だからといって際限なく働かせていいわけではないのです。

 

今回のポイント

  • 36協定は、協定を結んだだけでは効力はなく、所轄労基署長に届け出てはじめて有効になります。
  • 時間外労働限度時間の原則は、「1か月について45時間及び1年について360時間となっています。
  • 36協定を締結して所轄の労基署に届け出た場合、就業規則の内容が合理的なものであれば、労働者は労働契約に定めている労働時間を超えて労働する義務を負います
  • 坑内労働 → 1日についての法定労働時間数(変形労働時間制の場合は所定労働時間)+2時間を超えていなければオーケー
  • 坑内労働等以外の業務 →  36協定で定めた時間内ならオーケー
  • 坑内労働の限度時間である「労働時間+2時間」は、基本的には「法定労働時間+2時間」という意味になるので、休日の坑内労働は「10時間まで」ということになります。

 

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