過去問

「社労士試験 国民年金法 脱退一時金は制度の根っこを押さえれば大丈夫です」過去問・国-66

脱退一時金は、保険料の掛け捨て防止のための制度であることを前提として意識しておくといいですね。

掛け捨て防止ということは、日本人のための制度ではなく、日本人に来た外国人の方向けのものです。

というように紐付けをしていくと理解しやすくなると思いますので試してみてください。

それでは、最初の問題を見てみましょう。

この問題は、脱退一時金を受給するための条件が論点になっていますので確認していきますね。

 

脱退一時金を受け取るためには

(令和2年問4B)

第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間を6か月以上有する日本国籍を有しない者(被保険者でない者に限る。)が、日本国内に住所を有する場合、脱退一時金の支給を受けることはできない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

先ほども述べたように、脱退一時金は日本国籍のない人が、日本を離れることになった時に、保険料を納付できず、老齢基礎年金を受け取ることもできなくなるため、掛け捨て防止の措置としてある制度です。

なので、問題文のように、日本国内に住所があるのであれば保険料を納付することができますので、脱退一時金をもらうことはできません。

では、そもそも脱退一時金を受け取るために必要とされる被保険者期間はあるのでしょうか。

その最低ラインがどこなのか、次の問題で確認しましょう。

 

脱退一時金に必要な被保険者期間

(平成29年問8C)

脱退一時金の請求について、日本国籍を有しない者が、請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数を3か月及び保険料半額免除期間の月数を6か月有する場合、この者は、当該請求に必要な保険料の納付の要件を満たしている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

脱退一時金を請求するには、第1号被保険者としての期間が6ヶ月以上必要ですが、

問題文の場合、

3ヶ月+(6ヶ月×1/2=3ヶ月)=6ヶ月

となるので要件を満たしていることになります。

このように、ちょっとした計算をさせる問題も出てきますので、冷静に取り組むようにしたいですね。

さて、脱退一時金は日本を離れることが条件になりますが、

いつまでに脱退一時金の請求をする必要があるのか、下の問題を見てみましょう。

 

脱退一時金の請求期限

(平成23年問1C)

脱退一時金の支給要件の1つとして、最後に被保険者の資格を喪失した日(同日に日本国内に住所を有していた者にあっては、その後初めて日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過していることが必要である。

 

解説

解答:誤り

脱退一時金は、資格喪失日(日本国内に住所を有しなくなった日)から2年を経過すると「請求できません」。

なので、問題文のように2年を経過しているとアウトです。

この問題に限らず、自分の知識があやふやだと「あれ?どっちだったかな?」ということもありますので、

繰り返しながら知識を自分のものにしていきましょう。

で、上記の支給要件をクリアしていても、脱退一時金の支給を受けられないこともあります。

どういうことかというと、第1号被保険者の期間が6ヶ月以上あっても、ある要件に該当すると脱退一時金を受けられないのですが、

それがどのようなものなのか次の問題を見てみましょう。

 

脱退一時金の不支給事由とは

(平成30年問10B)

障害基礎年金の受給権者であっても、当該障害基礎年金の支給を停止されている場合は、脱退一時金の支給を請求することができる。

 

解説

解答:誤り

障害基礎年金の受給権がある場合は、脱退一時金の請求ができません

規定では、

「障害基礎年金その他政令で定める給付の受給権を有したことがあるとき(には脱退一時金は支給しない)」

と規定しています。

つまり、障害基礎年金などの受給権があるのであればそちらを受給すればいいわけで、

掛け捨て防止措置の脱退一時金を支給しなくてもいいですよね。

では最後に、事例問題に触れておきましょう。

下の問題では、脱退一時金と老齢基礎年金を合わせたものになっていますので読んでみましょう。

 

脱退一時金と老齢基礎年金

(令和2年問10ウ)

日本国籍を有しない60歳の者(昭和35年4月2日生まれ)は、平成7年4月から平成9年3月までの2年間、国民年金第1号被保険者として保険料を納付していたが、当該期間に対する脱退一時金を受給して母国へ帰国した。この者が、再び平成23年4月から日本に居住することになり、60歳までの8年間、第1号被保険者として保険料を納付した。この者は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている。なお、この者は、上記期間以外に被保険者期間を有していないものとする。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていません。

問題文を読んでいると、確かに平成7年からの2年間と平成23年からの8年間を合わせて10年になるので、

一見、老齢基礎年金の支給に必要な受給資格期間(10年)を満たしているように見えますが、

脱退一時金の支給を受けると、その支給の計算の根拠になった被保険者期間は、被保険者でなかったものとみなされます

つまり、脱退一時金をもらうことで、その分の被保険者期間がリセットされてしまうのですね。

なので、問題文のケースですと第1号被保険者の期間は8年しかないため、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないことになるのです。

 

今回のポイント

  • 脱退一時金は日本国籍のない人が、日本を離れることになった時に、保険料を納付できず、老齢基礎年金を受け取ることもできなくなるため、掛け捨て防止の措置としてある制度なので、日本国内に住所があるのであれば、脱退一時金をもらうことはできません。
  • 脱退一時金を請求するには、第1号被保険者としての期間が6ヶ月以上必要です。
  • 脱退一時金は、資格喪失日(日本国内に住所を有しなくなった日)から2年を経過すると「請求できません」。
  • 障害基礎年金の受給権がある場合は、脱退一時金の請求ができません
  • 脱退一時金の支給を受けると、その支給の計算の根拠になった被保険者期間は、被保険者でなかったものとみなされます

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

問題を解いて間違えた時に、理由を分析しておくのは大切なことです。

知らなかっただけなのか、他の知識と混同したのか、

知ってたけどその知識にたどり着けなかったのか、などです。

間違えた理由を知っておくと、対策も立てやすくなります♫

 

各科目の勉強法の記事をまとめました

労働基準法から一般常識までの全科目の勉強法の記事をまとめましたのでぜひご覧ください

リンク「社労士試験 独学合格法 各科目の勉強方法の記事をまとめました!」

 

科目ごとにまとめて記事を見ることができます!

スマホでご覧になっていただいている場合は、一番下までスクロールすると、科目名が並んでいますのでご覧になりたい科目をタップいただくと、その科目だけの記事を見ることができます。

もしくは、一番右上の三本線(メニューになっています)をタップしていただいて科目名を表示させる方法もあります。

ぜひご活用ください!

関連記事

  1. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 国民年金法 併給調整」過去問・…

  2. 「社労士試験 労働に関する一般常識 今のうちに!労働契約法の懲戒や解雇…

  3. 社労士試験勉強法 過去問攻略!「労災保険法 障害(補償)給付の仕組みと…

  4. 「厚生年金法 届出に関する数字を攻略する戦略とは?」過去問・厚-26

  5. 「社労士試験 労災保険法 特別支給金」労災-148

  6. 「社労士試験 健康保険法 高額療養費の克服方法とは」過去問・健保-69…

  7. 【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 雇用保険法 被保険者に関する届…

  8. 「社一 国民健康保険法 これを読めば分かる!被保険者の要件」過去問・社…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。