過去問

「社労士試験 雇用保険法 傷病手当(求職者給付)の虎の巻」過去問・雇-61

雇用保険の傷病手当は、ともすると健康保険法の傷病手当金と混同してしまいそうになりますね。

ですが、傷病手当は基本手当と並んでれっきとした求職者給付になりますので、区別しておきたいですね。

なので、問題文を読んでいて健康保険法の傷病手当金の考え方に引っ張られないようにしましょう。

それでは最初の問題を見てみたいと思います。

この過去問は傷病手当の支給要件について問われています。

どういった場合に傷病手当が支給されるのか見ていきましょう。

 

傷病手当の支給要件

(令和2年問4E)

求職の申込みの時点においては疾病又は負傷にもかかわらず職業に就くことができる状態にあった者が、その後疾病又は負傷のため職業に就くことができない状態になった場合は、他の要件を満たす限り傷病手当が支給される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

傷病手当は、

  • 受給資格者が離職後公共職業安定所に出頭して、求職の申込みをしたにおいて、
  • 疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に
  • 基本手当の受給期間内の基本手当の支給を受けることができないとき

に支給されます。

で、継続して15日以上疾病や負傷の状態にある場合が条件となっています。

ポイントは、求職の申し込みをした後に疾病や負傷したというところです。

これをふまえて次の問題を見てみましょう。

 

疾病や負傷が離職前から続いている場合は、、、

(令和2年問4A)

疾病又は負傷のため職業に就くことができない状態が当該受給資格に係る離職前から継続している場合には、他の要件を満たす限り傷病手当が支給される。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、「疾病又は負傷のため職業に就くことができない状態が当該受給資格に係る離職前から継続している」となっているので、傷病手当は支給されません。

ちなみに、傷病手当の支給日は、疾病や負傷のために職業に就くことができない理由がやんだ後に最初に基本手当を支給すべき日に支給されます。

なので、健康保険の傷病手当金のように、たとえば1ヶ月に1回請求できるわけではないということですね。

さて、原則としては求職の申込の前に疾病や負傷の状態になっていると傷病手当は支給されないのですが、

ただ、下の問題のようにすべてに原則が適用されるわけではないようです。

 

つわりや切迫流産の場合は?

(令和2年問4C)

つわり又は切迫流産(医学的に疾病と認められるものに限る。)のため職業に就くことができない場合には、その原因となる妊娠(受胎)の日が求職申込みの日前であっても、当該つわり又は切迫流産が求職申込後に生じたときには、傷病手当が支給されない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、傷病手当が支給される可能性はあります。

つわり又は切迫流産のため職業に就くことができない場合に、妊娠の日が求職の日よりであっても

つわりや切迫流産が求職の申込後である場合は傷病手当が支給される可能性があります。

そもそも妊娠って疾病でもなんでもないですもんね。

このように、傷病手当は求職の申込の日が基準になっていますが、

求職の申込みの後であっても傷病手当が支給されないケースもあります。

それはどのような場合なのか下の問題を見てみましょう。

 

求職の申込みの取り消しを行なった後に病気になったら

(令和2年問4B)

有効な求職の申込みを行った後において当該求職の申込みの取消し又は撤回を行い、その後において疾病又は負傷のため職業に就くことができない状態となった場合、他の要件を満たす限り傷病手当が支給される。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、傷病手当は支給されません。

そもそも「求職の申込み」というのは、離職後にハローワークに出頭して受給資格者になるための手続きです。

その求職の申し込みを取り消したり撤回をするということは、受給資格者でなくなるということです。

傷病手当は求職者給付の一環ですから、受給資格者でなくなったら傷病手当はおろか基本手当も受給できなくなりますね。

では最後に、延長給付と傷病手当について見てみましょう。

延長給付というのは、所定給付日数を超えて基本手当が支給される制度ですが、

下の問題のように訓練延長給付を受給しているときに、病気になったりして訓練を受けることができなくなった場合、

傷病手当は支給されるのでしょうか。

 

延長給付と傷病手当の関係

(令和2年問4D)

訓練延長給付に係る基本手当を受給中の受給資格者が疾病又は負傷のため公共職業訓練等を受けることができなくなった場合、傷病手当が支給される。

 

解説

解答:誤り

延長給付にかかる基本手当を受給している受給資格者については傷病手当は支給されません

傷病手当というのは、基本手当の日額に相当する額が支給され、傷病手当を受けると、手持ちの基本手当の日数も減ります

つまり、傷病手当は基本手当の日数を使って支給されるわけですね。

なので、延長給付で所定給付日数を超えているということは、基本手当も残っていない状態なので、

傷病手当も支給されない、ということになります。

 

今回のポイント

  • 傷病手当は、
    • 受給資格者が離職後公共職業安定所に出頭して、求職の申込みをしたにおいて、
    • 疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に
    • 基本手当の受給期間内の基本手当の支給を受けることができないとき

    に支給されます。

  • つわり又は切迫流産のため職業に就くことができない場合に、妊娠の日が求職の日よりであってもつわりや切迫流産が求職の申込後である場合は傷病手当が支給される可能性があります。
  • 延長給付にかかる基本手当を受給している受給資格者については傷病手当は支給されません

 

毎日の勉強のヒントにどうぞ♫

「プチ復習のススメ」

問題を1問解いたら、テキストを1ページ読んだら、

「つまりこれは・・・」とどんな内容だったか単語1個でもいいので振り返ってみましょう。

その場で整理してまとめることで、理解度がグンとアップしますよ(^^)

 

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