このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、労災保険法の「障害(補償)給付」について見ていきたいと思います。
障害(補償)給付は、業務災害か通勤災害によってケガや病気になり、その症状が「治ゆ」して一定の障害等級に該当すると支給されます。
この障害(補償)給付について社労士試験ではどのように出題されているのか読んでみましょう。
障害等級表に当てはまらない障害の場合はどうする?
(平成30年問6A)
厚生労働省令で定める障害等級表に掲げるもの以外の身体障害は、その障害の程度に応じて、同表に掲げる身体障害に準じて障害等級を定めることとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
障害補償給付の障害は、障害等級表に当てはめて判断しますが、中には表に当てはまらないものも出てきます。
そんな場合は、その障害の程度に応じて障害等級表にある障害に準じて等級を決めることになります。
では、業務災害が起きたときに障害が2つ生じた場合にどうなるのかを見てみましょう。
2つ分の障害に応じた給付を受けられるのでしょうか。
身体障害が2つある場合の取り扱い
(令和2年問6D)
障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級については、同一の業務災害により身体障害が「2つ」ある場合で、一方の障害が第14級に該当するときは、重い方の身体障害の該当する障害等級による。(問題文を補正しています。)
解説
解答:正
問題文のとおりです。
原則として、同一の業務災害で身体障害が2つ生じたとき、片方の障害が14級の場合は、重い方の身体障害が該当する等級になります。
つまり、重い方だけの等級になってしまうということですね。
しかし、13級以上の身体障害が2つ以上ある場合は、「併合繰り上げ」が行われます。
具体的には、
- 13級以上に該当する身体障害が2以上あるとき →重い方の障害を1級繰り上げ
- 8級以上に該当する身体障害が2以上 →重い方の障害を2級繰り上げ
- 5級以上に該当する身体障害が2以上 →重い方の障害を3級繰り上げ
ということになります。
さて、次は障害(補償)一時金について見てみましょう。
障害(補償)一時金は、言葉のとおり一時金の支給なので、受給してしまうとそれで終わりになります。
しかし、現実問題として、障害の程度が変化することも出てくる可能性があります。
その場合、給付はどうなるのでしょうか。
障害補償一時金を受けた者の障害の程度が重くなったら、、、
(平成30年問6B)
障害補償一時金を受けた者については、障害の程度が自然的経過により増進しても、障害補償給付の変更が問題となることはない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
障害(補償)一時金は、障害の程度が自然的に変化しても障害等級の変更が行われることはありません。
障害(補償)年金の場合は、自然的に障害の程度に変更があった場合は、等級が変更されます。
では最後に、ケガや病気が再発したときに障害(補償)年金はどうなるのでしょう。
そのまま受給しながら、療養(補償)給付を受けることができるのでしょうか?
ケガや病気が再発したら障害補償年金はどうなる?
(平成30年問6D)
同一の負傷又は疾病が再発した場合には、その療養の期間中は、障害補償年金の受給権は消滅する。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
ケガや病気が再発した場合、障害(補償)年金を受給することができなくなります。
障害(補償)給付の支給要件が、「治ゆ」していることが条件なので、ケガや病気が治っていないということになると、失権してしまうんですね。
なので、要件に該当すれば傷病(補償)年金か休業(補償)給付を受給できる可能性があります。
今回のポイント
- 障害補償給付の障害は、障害等級表に当てはめて判断しますが、表に当てはまらない場合は、その障害の程度に応じて障害等級表にある障害に準じて等級を決めることになります。
- 原則として、同一の業務災害で身体障害が2つ生じたとき、片方の障害が14級の場合は、重い方の身体障害が該当する等級になり、重い方だけの等級になってしまいますが、13級以上の身体障害が2つ以上ある場合は、「併合繰り上げ」が行われます。
- 障害(補償)一時金は、障害の程度が自然的に変化しても障害等級の変更が行われることはありませんが、障害(補償)年金の場合は、自然的に障害の程度に変更があった場合は、等級が変更されます。
- ケガや病気が再発した場合、障害(補償)年金を受給することができなくなります。
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