社労士試験の安衛法で派遣労働者に関する出題がちょくちょく見られます。
派遣労働者は、雇用されているのは派遣元であっても、実際に働いている場所は派遣先の事業所なので、
どれがどっちの責任になるのか論点が色々あるため出題しやすいのかもしれませんね。
なので、この記事をきっかけに復習をしていただけましたら嬉しく思います。
それでは早速問題に入っていきましょう。
最初の問題は、安全衛生管理体制で考えたときに、派遣労働者の数が派遣元と派遣先のどちらに入るのかが論点になっていますので見てみましょう。
派遣元事業者が常時使用する労働者数を算出する場合は
(平成30年問8A)
派遣元事業者は、派遣労働者を含めて常時使用する労働者数を算出し、それにより算定した事業場の規模等に応じて、総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医を選任し、衛生委員会の設置をしなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
- 総括安全衛生管理者
- 衛生管理者
- 産業医
の選任や衛生委員会の設置に関しては、派遣労働者は、派遣元と派遣先の両方の事業場での労働者の人数にカウントされるので、
派遣労働者を含めて常時使用する労働者数を算出する必要があります。
上記の中に安全管理者が入っていないことを意識しておきたいですね。
ちなみに、安全管理者は派遣先の方だけにカウントされることになっています。
では、まず派遣労働者が派遣元に雇われた時に行われる、雇入れ時の安全衛生教育を見ておきましょう。
派遣労働者が派遣元の会社に入社した時というのは、安全衛生に関しての知識がほとんどないかもしれませんので教育を行う必要があるわけです。
ということで雇入れ時の安全衛生教育を行う際、派遣元と派遣先のどちらが行うことになっているのか見てみましょう。
雇入れ時の安全衛生教育は誰がする?
(平成27年問9B)
派遣就業のために派遣される労働者に対する労働安全衛生法第59条第1項の規定に基づくいわゆる雇入れ時の安全衛生教育の実施義務については、当該労働者を受け入れている派遣先の事業者に課せられている。
解説
解答:誤り
雇入れ時の安全衛生教育は派遣先ではなく、派遣元の事業者が行うことになっています。
雇入れ時の安全衛生教育は、内容としては専門的なものではなく、
たとえば「正しい服装」についてや、「ヒヤリ・ハット活動」など基本的な内容になっているので、
派遣元の事業者が派遣労働者に教育する形になっているんですね。
しかし、実際に派遣先で働き始めると、働く環境は派遣先によって変わってきます。
なので、どういったものが危険なのかも派遣先により異なってくるわけです。
ということで、労働者の安全と健康を守るための措置について誰が行うのか、次の問題を読んでみましょう。
健康障害を防止するための措置はどっちがする?
(平成30年問8D)
派遣就業のために派遣され就業している労働者に関する機械、器具その他の設備による危険や原材料、ガス、蒸気、粉じん等による健康障害を防止するための措置は、派遣先事業者が講じなければならず、当該派遣中の労働者は当該派遣元の事業者に使用されないものとみなされる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
事業者には、
- 機械・器具・爆発性の物・発火性の物などからの危険を防止するための「危険防止措置」
- 原材料・ガス・放射線・計器監視などの作業などから起こる健康障害を防止するための「健康障害防止措置」
を講じる必要がありますが、
派遣労働者についても、派遣先の事業者が上記の措置を講じなければなりません。
「派遣さんはウチの社員じゃないから知らないよ」というわけにはいかないということですね。
上記の措置は安衛法第20条と22条にあたりますので、どのような内容かお手持ちのテキストなどでご確認なさってみてくださいね。
さて、派遣先の中には、労働者にとってケガなどにつながる危険な作業や、健康を害する有害な業務もあったりします。
そのような中で派遣労働者が働くには、それなりの教育が必要になってきます。
その教育のことを(危険・有害業務に関する)「特別教育」と呼んでいますが、
この特別教育の実施義務があるのは派遣元と派遣先のどちらの事業者でしょうか。
危険・有害業務についての特別の教育の実施義務は?
(平成27年問9C)
派遣就業のために派遣され就業している労働者に対する労働安全衛生法第59条第3項の規定に基づくいわゆる危険・有害業務に関する特別の教育の実施義務については、当該労働者を派遣している派遣元の事業者及び当該労働者を受け入れている派遣先の事業者の双方に課せられている。
解説
解答:誤り
特別教育は双方の事業者ではなく、派遣先の事業者に実施義務があります。
先ほども述べたとおり、危険の内容や度合いは派遣先によってバラバラですので、
労働者を危険から守るためには、現場にマッチした教育が必要となります。
なので特別教育は派遣先が行うことになっているんですね。
では最後に、派遣と健康診断の関係について確認しましょう。
下の問題では、一般健康診断と特殊健康診断が論点になっていますが、実施義務はどのように規定されているのでしょうか。
一般健康診断と特殊健康診断の違い
(平成27年問9D)
派遣就業のために派遣され就業している労働者に対して行う労働安全衛生法に定める医師による健康診断については、同法第66条第1項に規定されているいわゆる一般定期健康診断のほか、例えば屋内作業場において有機溶剤を取り扱う業務等の有害な業務に従事する労働者に対して実施するものなど同条第2項に規定されている健康診断も含めて、その雇用主である派遣元の事業者にその実施義務が課せられている。
解説
解答:誤り
有害な業務に従事する労働者を対象にした「特殊健康診断」は派遣先の事業者が、雇入れ時・配置替え・6月以内ごとに行う必要があります。
一般健康診断については、派遣元の事業者が行います。
今回のポイント
- 総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医の選任や衛生委員会の設置に関しては、派遣労働者は、派遣元と派遣先の両方の事業場での労働者の人数にカウントされるので、派遣労働者を含めて常時使用する労働者数を算出する必要があります。
- 雇入れ時の安全衛生教育は派遣先ではなく、派遣元の事業者が行うことになっています。
- 事業者には、
- 機械・器具・爆発性の物・発火性の物などからの危険を防止するための「危険防止措置」
- 原材料・ガス・放射線・計器監視などの作業などから起こる健康障害を防止するための「健康障害防止措置」
を講じる必要があります
- 特別教育は、派遣先の事業者に実施義務があります。
- 有害な業務に従事する労働者を対象にした「特殊健康診断」は派遣先の事業者が、雇入れ時・配置替え・6月以内ごとに行う必要があり、一般健康診断は派遣元の事業者が行います。
毎日の勉強のヒントにどうぞ♫
ノートやテキストに知識を書き写す時は、
一旦頭の中で記憶してから書くようにすると定着度が変わります。
情報をそのまま書き写しても作業で終わってしまいますが、
知識を一度頭の中に入れてから書くようにするとアウトプットに変わります(^^)
各科目の勉強法の記事をまとめました
労働基準法から一般常識までの全科目の勉強法の記事をまとめましたのでぜひご覧ください
リンク「社労士試験 独学合格法 各科目の勉強方法の記事をまとめました!」
科目ごとにまとめて記事を見ることができます!
スマホでご覧になっていただいている場合は、一番下までスクロールすると、科目名が並んでいますのでご覧になりたい科目をタップいただくと、その科目だけの記事を見ることができます。
もしくは、一番右上の三本線(メニューになっています)をタップしていただいて科目名を表示させる方法もあります。
ぜひご活用ください!
この記事へのコメントはありません。