過去問

「社労士試験 労基法 労働時間についてもう一度キモを確認しましょう」過去問・労基-63

労働時間は労働基準法を考える上で一番大切な要素の一つです。

なので、社労士試験でも「時間」を論点にした問題は山ほど出題されていますね。

ということで、「労働時間」についての考え方は労基法の一番根っこにあたる部分になりますから、しっかり理解しておきたいですね。

労働時間でキーワードになるのは「指揮命令下」ですが、問題を解きながらその感覚を掴んでいきましょう。

それでは最初の問題に入っていきますね。

1問目は、「労働」とは労働者がどのような状態に置かれているのかが論点になっています。

キモは先ほどご紹介したキーワードです。

 

「労働」の定義とは

(平成26年問5D)

労働基準法第32条にいう「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはしない。したがって、例えば、運転手が2名乗り込んで交替で運転に当たる場合において運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠をとっているときであってもそれは「労働」であり、その状態にある時間は労働基準法上の労働時間である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

一番のポイントは、その時間が使用者の「指揮命令下」にあるかどうかで判断されます。

問題文のように、たとえ運転手の横で仮眠を取っていたとしても、

運転手が体調不良で運転できなくなった場合に交代しなければならない、といった場合、

これは休憩ではなく手待ち時間になりますから、休息や仮眠の時間も労働時間ということになります。

それでは、労働時間の考え方について扱った過去問をもう少し見ておきましょう。

次の問題は、研修時間が労働時間になるかどうかが論点になっていますが、

労働時間になるかどうかはどのように判断しているでしょう。

 

労働時間に該当するかどうかの基準

(平成26年問5B)

労働者が使用者の実施する教育、研修に参加する時間を労働基準法上の労働時間とみるべきか否かについては、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いの有無や、教育・研修の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより本人の業務に具体的な支障が生ずるか否か等の観点から、実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断すべきものである。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働時間になるかどうかは、使用者の指揮命令下にあるかどうかということでした。、

問題文のケースでは、研修が本人の自由な意思ではなく、使用者が強制している要素があるかどうかが判断基準になります。

なので、研修に参加しなかった場合に、人事評価に響いたり、業務に支障が出るようであれば、

その研修時間は労働時間に該当する可能性が高くなります。

このように、労働時間は使用者の指揮命令下にあるかどうかで判断されるわけでですが、

使用者側から見た場合、労働時間に関する管理が求められる形になります。

次の問題では使用者に求められていることについて見ていきましょう。

 

使用者の労働時間に関する責務

(平成25年問3D)

労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかであり、使用者が行う始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法としては、使用者が自ら現認することにより確認し、適正に記録すること又はタイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し記録することが求められている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働者の始業時間や就業時間の記録方法としては、タイムカードなど客観的な記録を使用者が確認して記録することが求められています。

このように、労働者がどれだけの時間働いたのかを使用者が把握することは労働者の健康を守ることにもつながりますし、

時間外割増賃金を適正に支払う基本資料になりますのでとても大切なことです。

世間的には、残念ながらタイムカードはおろか出勤簿も置いていない事業場を見受けますので、

社労士が活躍する場所はまだまだあると思います。笑

さて、先ほどの問題では使用者が労働時間を適正に把握することが求められていましたが、

そもそも時間の概念として、労働基準法上の「1日」の考え方についてどうなっているのか下の問題で確認しておきましょう。

 

労基法上の「1日」って?

(令和元年問6A)

労働基準法第32条第2項にいう「1日」とは、午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいい、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とする。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、労基法上の「1日」は暦日のことを指します。

ですが、朝から働き始めて残業で日付が変わった場合でも、労働日としては2日とはならず、働き始めた日の「1労働日」にまとめられます。

もし、日付が変わって労働時間がリセットされてしまったら、時間外労働の割増賃金の計算が実態に合わなくなってしまいますもんね。

では最後に、1日の中に本業と副業で複数の事業場で働く場合の労働時間の考え方を見ておきましょう。

視点としては、①同じ事業主で違う事業場、②事業主も事業場も違う、といったケースが考えられますがどのようになるのでしょうか。

 

副業と労働時間の関係

(平成26年問5A)

労働基準法上の労働時間に関する規定の適用につき、労働時間は、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も、通算される。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働時間は、事業主が違っている事業場で労働する場合も通算されることになります。

いまは副業が推奨されているご時世になっていますが、

一つ目の事業場で法定労働時間である8時間働いた後に別の事業場で働く場合は、

法律上はその時点で割増賃金が発生することになりますね。

 

今回のポイント

  • 労働時間に当たるかどうかは、その時間が使用者の「指揮命令下」にあるかどうかで判断されます。
  • 研修時間で考えた場合、研修が本人の自由な意思ではなく、使用者が強制している要素があるかどうかが判断基準になります。
  • 労働者の始業時間や就業時間の記録方法としては、タイムカードなど客観的な記録を使用者が確認して記録することが求められています。
  • 労基法上の「1日」は、午前0時から午後12までの暦日のことを指します。
  • 労働時間は、事業主が違っている事業場で労働する場合も通算されることになります。

 

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