「社労士試験 労働に関する一般常識 労働組合法 使用者VS労働組合の真実とは」過去問・労一-14

今回は、労働組合法を見ていきますが、その中でも、使用者と労働組合の関係について問われている過去問を集めました。

労働組合は、労働条件を少しでも上げるために会社に対して色々な要求をしていく組織ですが、

組合と会社で取り決めたことが、時として労働者の権利を侵害してしまうこともあります。

そういった労働組合と使用者がどのような関係にあるのか、判例からの出題ですが一つ一つ見て行くことにしましょう。

それでは最初の問題ですが、「ユニオンショップ協定」が論点になっています。

この協定では、労働組合と会社とで、ある決め事をしているのですが、それが有効なのかどうかが問われているのです。

 

ユニオンショップ協定と使用者の解雇義務の関係

(令和2年問4D)

「ユニオン・ショップ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されないものというべきである」から、「ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、右の観点からして、民法90条の規定により、これを無効と解すべきである(憲法28条参照)。」とするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働組合法第7条には、以下のように規定されています。

 

『(不当労働行為)

第七条 使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

一 労働者が労働組合の組合員であること、(中略)、その他これに対して不利益な取扱いをすること(中略)。

ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、

その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。』

 

つまり、労働者を雇い入れる時に所定の労働組合に入ることを条件にすることをユニオンショップ協定と言いますが、

もしその労働者がその労働組合を抜けた場合は、使用者はその者を解雇する義務があるということも制度に入っています。

しかしながら、労働者の方にも労働組合を選ぶ自由があるし、なんなら自分で労働組合を作る権利(憲法28条の勤労者の団結権)もありますから、

労働者のそういった権利を侵害する場合や、労働組合を抜けたからといって解雇することは無効である、という判例があります。

それが、「三井倉庫港湾事件」という最高裁判例です。

もう少し詳しく知りたい方はリンクを貼っておきますのでご自由にご参考になさってくださいね。

 

参考記事:三井倉庫港湾事件

 

さて、次は複数の労働組合がある時に起こりうる問題について見てみましょう。

労働組合が2つ以上ある場合に、使用者はそれらの労働組合に対してどのような姿勢で臨むべきなのでしょうか。

 

使用者の労働組合に対する差別的な取り扱いをすることについて

(平成25年問2A)

日本の労働組合の最大の特徴は、労働組合が企業別に組織されているいわゆる企業別組合である点にあり、使用者は、労働者の労働条件の変更を行う場合には、まず企業内の多数労働組合と団体交渉を行う義務を負う。

 

解説

解答:誤

「企業内の多数労働組合と団体交渉を行う義務を負う」の部分が誤りで、

使用者は、それぞれの組合に対して、中立的な態度でいることが大切で、平等に尊重するべきである、という判決が出ています。

これは、「日産自動車事件」と呼ばれる判例から出題されています。

たとえ、会社から見たら少数派の労働組合だからといって差別的な取り扱いをすることは許されないんですね。

で、労働組合がさまざまな活動をする際、会議室など会社の施設を利用を希望することもあるかと思います。

もし、労働組合が会社の施設を利用したい、と要望してきたら、会社側はそれに応じる義務はあるのでしょうか。

次の問題で見てみましょう。

 

会社には組合の施設の利用を認める義務が?

(平成24年問2D)

労働組合による企業施設の利用は、とりわけ我が国の企業別労働組合にとっては必要性が大きいものであり、使用者は、労使関係における互譲の精神に基づき、労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を、特段の事情がない限り、受忍する義務を負うとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:誤

「使用者は、(中略)企業の物的施設の利用を(中略)受忍する義務を負う」ことはありません。

これは、「国鉄札幌運転区事件」という判例からの出題ですが、

こちらの事件では、賃上げや減員反対を謳ったビラを会社の許可なく、会社のロッカーに貼付したことで、会社側が戒告処分にしたため裁判になったものです。

判決では、組合活動をするのに会社側が当然に施設の利用を認める理由はない、ということになりました。

問題文を読んでいると、いかにも正しそうな感じがしますけどね。苦笑

では逆に、使用者が労働組合に対して不当労働行為になるケースを見ておきましょう。

不当労働行為というのは、組合員の団結権などを使用者が侵害する行為を指します。

 

使用者の労働組合に対する不当労働行為とは

(平成24年問2E)

労働組合に対する使用者の言論が不当労働行為に該当するかどうかは、言論の内容、発表の手段、方法、発表の時期、発表者の地位、身分、言論発表の与える影響などを総合して判断し、当該言論が組合員に対し威嚇的効果を与え、組合の組織、運営に影響を及ぼすような場合は支配介入となるとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

これは、「プリマハム事件」という最高裁判例からの出題です。

労働組合が賃上げの要求をすべく、ストライキを計画していたそうなのですが、

会社側が労働組合を誹謗するような内容の声明文を掲示したことにより、

組合員がストライキから脱落してしまい、ストライキを断念することになったため、不当労働行為ということで裁判になったのです。

判決では、使用者の言論が労働組合の運営に対して威嚇的効果を与え、支配介入になる場合は不当労働行為になる、としました。

それでは最後に、労働組合と使用者との間で取り交わす「労働協約」についての過去問を見てみましょう。

労働者に不利益な内容の労働協約が締結された時に、その協約は労働者に及ぶのかについて問われています。

 

労働者に不利益な労働協約は有効?

(平成28年問2E)

労働条件を不利益に変更する内容の労働協約を締結したとき、当該協約の規範的効力が労働者に及ぶのかについて、「同協約が締結されるに至った以上の経緯、当時の被上告会社の経営状態、同協約に定められた基準の全体としての合理性に照らせば、同協約が特定の又は一部の組合員を殊更不利益に取り扱うことを目的として締結されたなど労働組合の目的を逸脱して締結されたもの」とはいえない場合は、その規範的効力を否定すべき理由はないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

労働者の労働条件を不利益に変更する労働協約が締結されたとしても、

協約が締結されるまでの経緯や会社の経営状態などから判断して合理性があり、

労働組合の目的を逸脱して締結されたものでなければ組合員に効力が及ぶことになります。

こちらも「朝日火災海上保険事件」という最高裁の判例からの出題で、これまでの業務が別の会社に引き継がれたため、

労働条件の調整がされていったのですが、定年の年齢が新しい会社の規定により引き下げられることになり、その旨の労働協約が締結されました。

それを不服として裁判になったのですが、結局は上記のように、労働協約は有効ということになったのです。

労働条件の引き下げについては、労働契約法で「就業規則による労働契約内容の変更」もあります。

労使が話し合う労働協約と違って、就業規則は会社側が一方的に変更できるので、

労働条件が不利益に変更される場合は色々と要件が規定されていますので、よろしければ労働契約法の第9条と第10条を確認してみてください。

 

参考記事:労働契約法

今回のポイント

  • 労働者には、労働組合を選ぶ自由や、自分で労働組合を作る権利(憲法28条の勤労者の団結権)を侵害したり、労働組合を抜けたからといって解雇することは無効とする判例があります。
  • 使用者は、それぞれの組合に対して、中立的な態度でいることが大切で、平等に尊重するべきである、という判決があります。
  • 労働組合が活動をするために、会社側が当然に施設の利用を認める義務はありません。
  • 使用者の言論が労働組合の運営に対して威嚇的効果を与え、支配介入になる場合は不当労働行為になります。
  • 労働者の労働条件を不利益に変更する労働協約が締結されたとしても、協約が締結されるまでの経緯や会社の経営状態などから判断して合理性があり、労働組合の目的を逸脱して締結されたものでなければ組合員に効力が及ぶことになります。

 

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