社労士試験 労基法 5分でわかる!労働条件への不当な介入のポイント」過去問・労基-56

今回は、労働条件へ介入してくるさまざまな要素について取り扱った過去問を集めました。

たとえば、「労働の強制」や「他人の就業への介入」、「前借金と賃金の相殺」など労働者の労働条件をおびやかすものですね。

労働基準法では、そういったものを排除する規定があり、社労士試験でもそれを論点にした出題がなされていますので見ていくことにしましょう。

最初の問題は、強制労働を禁止した法5条に関する過去問になっています。

労働者を不当に拘束して労働者の意思に反して労働を強制させることを禁じていますが、この「不当」というのはどのように規定されているのでしょうか。

 

不当に拘束とはどんな状態?

(令和2年問4B)

労働基準法第5条に定める「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」の「不当」とは、本条の目的に照らし、かつ、個々の場合において、具体的にその諸条件をも考慮し、社会通念上是認し難い程度の手段をいい、必ずしも「不法」なもののみに限られず、たとえ合法的であっても、「不当」なものとなることがある。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

問題文にある法5条は、

「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」

と規定されています。

で、精神または身体の自由を「不当に」拘束するというのは、たとえ合法的な手段であっても社会通念上、理解を得られにくい手段は「不当」になることがあります

たとえば、実際に暴力は振るわれないものの、大声で怒鳴られたり、腕をまくって今にも殴りかかられそうな態度だったため労働をせざるを得なかったりするようなことです。

次に、労基法第6条の「中間搾取の排除」についての過去問に進みますね。

法6条では、

「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」

と定められていますが、

この「利益」次の問題の論点になっていますので見てみましょう。

 

法6条における利益とは?

(令和2年問4C)

労働基準法第6条に定める「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「利益」とは、手数料、報償金、金銭以外の財物等いかなる名称たるかを問わず、また有形無形かも問わない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

業として他人の就業に介入して利益を得る、というのは、

たとえば職業紹介事業のことを指しますが、厚生労働大臣の許可を受ければ有料職業紹介事業ができるようになります。

この厚生労働大臣の許可というのが「法律に基づいて許される場合」になりますね。

で、「利益」を得るというのは金銭に限らず有形無形も問わない、ということになっています。

なので、法律の網を潜って無許可で他人の就業に介入することを防いでいるわけですね。

では、もし他人の就業に介入して利益を得た場合、処罰の対象はどうなっているのでしょうか

次の問題で確認しましょう。

 

他人の就業に介入して利益を得て処罰されるのはだれ?

(平成26年問1B)

労働基準法第6条は、業として他人の就業に介入して利益を得ることを禁止しており、その規制対象は、使用者であるか否かを問わないが、処罰対象は、業として利益を得た法人又は当該法人のために実際の介入行為を行った行為者たる従業員に限定される。

 

解説

解答:誤

法6条の処罰の対象は、従業員に限定されません。

第6条に定める「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「何人」は、

他人の就業に介入して利益を得た者で、それは事業主に限定されているわけではなく、

個人や団体、公人、私人も問われません

なので、問題文のように介入行為をした従業員だけに限定されるものではありません。

さて、次は「前借金相殺の禁止」についての過去問を見てみましょう。

この規定は、働くことを前提にお金を貸し、賃金と借金を相殺することで借金の返済に充てることを禁止したものです。

ひと昔前によく見られた形態ですが、労働者を不当に拘束することにつながるので、今は禁止されています。

では、この「賃金との相殺」に例外はないのでしょうか?

 

どんな場合でも賃金との相殺はアウト?

(平成28年問2D)

労働者が、実質的にみて使用者の強制はなく、真意から相殺の意思表示をした場合でも、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

 

解説

解答:誤

問題文の場合は債権と賃金を相殺しても差し支えありません。

ポイントは、

実質的にみて使用者の強制はなく、真意から相殺の意思表示をした場合

です。

本来であれば、労働者が賃金を全額受け取った上で、

労働者からあらためて使用者に借金を返済するのが筋ですが、

お金のやり取りが面倒だということで、

労働者が相殺の意思表示を本心から願っている場合はOKということですね。

ただ、第3者から見た場合、労働者の本意なのかどうか判断できない場合はやめておいた方がいいかもしれませんね。

では最後に、「賃金の相殺」に関して別の角度から出題されているものがありますので、こちらをチェックしておきましょう。

 

労働者の親権者が使用者からお金を借りるのは、、、?

(平成25年問6E)

労働契約を締結する際に、労働者の親権者が使用者から多額の金銭を借り受けることは、人身売買や労働者の不当な足留めにつながるおそれがあるため、当該労働者の賃金と相殺されるか否かを問わず、労働基準法第17条に違反する。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、「労働者の賃金と相殺されるか否かを問わず」法17条に違反するわけではありません。

法17条では、あくまでも前借金を賃金と相殺することを禁じているだけで、

労働者の親権者が使用者から勝手にお金を借りることまで禁じてはいません。

いかにも正しそうな問題ですが、「〜されるか否かを問わず」というように限定的な表現をしている問題には注意するようにしましょう。

 

今回のポイント

  • 強制労働を禁止する法5条の、精神または身体の自由を「不当に」拘束するというのは、たとえ合法的な手段であっても社会通念上、理解を得られにくい手段は「不当」になることがあります。
  • 法6条で定めている、「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「利益」とは、金銭かどうかを問わず、また有形無形かも関係ありません。
  • 第6条に定める「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「何人」は、他人の就業に介入して利益を得た者で、それは事業主に限定されているわけではなく、個人や団体、公人、私人も問われません
  • 前借金相殺の禁止」の規定は、実質的にみて使用者の強制はなく、労働者が真意から相殺の意思表示をした場合には適用されません。

 

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