過去問

「社労士試験 雇用保険法 雇用保険法における適用事業の取扱説明書」過去問・雇-53

適用事業」という言葉は他の法律でもよく聞かれますので、他の法律と知識を混同しないことが重要ですね。

なので、最終的には横断学習で知識を整理しておく必要がありますが、

まずは、問題演習とテキストでの確認で理解を深めるようにするのがオススメです。

それでは早速見ていきましょう。

最初の問題では、「都道府県知事⇆適用事業」という、ちょっと馴染みのない組み合わせについての論点です。

さて、都道府県知事は適用事業所とどのように関わっているのでしょうか。

 

都道府県知事はどこの事業所を管轄している?

(令和元年問4A)

雇用保険に関する事務(労働保険徴収法施行規則第1条第1項に規定する労働保険関係事務を除く。)のうち都道府県知事が行う事務は、雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業の事業所の所在地を管轄する都道府県知事が行う。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

雇用保険の事務の一部(たとえば能力開発事業)は都道府県知事が行うことができるのですが、管轄は適用事業の事業所の所在地となっています。

さて、適用事業の事業主は、たとえば新たに被保険者が増える場合、資格取得の届出をする必要がありますが、

その事業主が複数の事業所を持っているときの取り扱いについて確認しましょう。

つまり、ある営業所で従業員が増えたときに、本社が資格取得の届出ができるのかどうか次の過去問で見てみましょう。

 

届出は必ずそこの事業所がしなければならない?

(平成30年問7ア)

適用事業の事業主は、雇用保険の被保険者に関する届出を事業所ごとに行わなければならないが、複数の事業所をもつ本社において事業所ごとに書類を作成し、事業主自らの名をもって当該届出をすることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

資格取得届や喪失届などの届出は、その事業所ごとに処理をする必要があるのですが、

これは、

その事業所の所在地を管轄している公共職業安定所に届出してね

という意味です。

なので、書類の作成自体は、たとえば本社で一括して行って提出することは大丈夫です。

適用事業所といっても、営業マンしか配置されていなかったら書類を作成するの大変ですもんね。

ところで、先ほどの問題はどちらも「適用事業所」の場合の取り扱いでしたが、もし、適用事業と暫定任意適用事業が両方ある場合

適用事業としてのルールはどうなっているのか、次の問題で確認しましょう。

 

適用事業と暫定任意適用事業が両方あるときの取り扱い

(平成30年問7イ)

事業主が適用事業に該当する部門と任意適用事業に該当する部門を兼営している場合、それぞれの部門が独立した事業と認められるときであっても、すべての部門が適用事業となる。

 

解説

解答:誤

問題文のように、事業主が適用事業と暫定任意適用事業の両方を経営しているときは、一概にすべての部門を適用事業にするわけではなく、

  • それぞれの部門が独立した事業 → 適用部門のみが適用事業
  • 一方がもう一方の一部門で、それぞれの部門が独立した事業でなく、メインの業務が適用事業のとき → 事業主の行う事業全体が適用事業

という取り扱いになります。

それでは次は、「暫定任意適用事業」の定義について見ていきましょう。

雇用保険法では、労働者を1人でも雇用していれば適用事業所になるのが原則なのですが、原則があるということは例外もあるということです。

その例外というのがどういうケースなのか次の問題で見て見ましょう。

 

暫定任意適用事業の定義

(平成25年問1A)

常時5人未満の労働者を雇用する農林の事業は、法人である事業主の事業を除き、当分の間、任意適用事業とされている。

 

解説

解答:誤

農林水産個人経営の事業で、常時5人未満の労働者を雇用している場合は暫定任意適用事業になるのですが、

個人経営でない場合は、「法人」だけでなく、

国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業」

も暫定任意適用事業から除かれます。

つまり、常時5人未満の労働者を雇用していても、国の事業であれば適用事業になるということですね。

ちなみに、労災保険の場合は、国の直営事業、非現業の官公署の事業については労災保険が適用されませんでしたね。

さて、先ほどから「常時5人未満」という要件が出ていますが、この「5人」というのはどのようにカウントされるのでしょう。

たとえば、1週間の所定労働時間が20時間未満の人の場合は適用除外になるので、雇用保険法の適用を受けません

このような人も含めて「雇用している労働者数」として数えるのでしょうか?

 

暫定任意適用事業の定義 その2

(平成30年問7ウ)

雇用保険法の適用を受けない労働者のみを雇用する事業主の事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業を除く。)は、その労働者の数が常時5人以下であれば、任意適用事業となる。

 

解説

解答:誤

基本的に「雇用している労働者数」をカウントするときは、雇用保険法の適用を受けない人も含めて計算するのですが、

問題文のように、雇用保険法の適用を受ける人が1人もいない場合は、その人数に関わらず適用事業にはなりません

なので、「その労働者の数が常時5人以下であれば」の部分が間違いというわけです。

 

今回のポイント

  • 雇用保険の事務の一部(たとえば能力開発事業)は都道府県知事が行うことができますが、管轄は適用事業の事業所の所在地となっています。
  • 資格取得届や喪失届などの届出は、その事業所ごとに処理をする必要があるのですが、これは、その事業所の所在地を管轄している公共職業安定所に提出するという意味ですが、書類の作成自体は、たとえば本社で一括して行って提出しても大丈夫です。
  • 事業主が適用事業と暫定任意適用事業の両方を経営しているときは、
    • それぞれの部門が独立した事業 → 適用部門のみが適用事業
    • 一方がもう一方の一部門で、それぞれの部門が独立した事業でなく、メインの業務が適用事業のとき → 事業主の行う事業全体が適用事業

    という取り扱いになります。

  • 農林水産個人経営の事業で、常時5人未満の労働者を雇用している場合は暫定任意適用事業になるのですが、個人経営でない場合は、「法人」だけでなく、「国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業」も暫定任意適用事業から除かれます。
  • 基本的に「雇用している労働者数」をカウントするときは、上記のような雇用保険法の適用を受けない人も含めて計算するのですが、問題文のように、雇用保険法の適用を受ける人が1人もいない場合は、その人数に関わらず適用事業にはなりません。

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