今回は概算保険料について保険料の算定の仕方や、申告書や保険料をどこに納めるのか、についての過去問を集めています。
これですべての論点をカバーできるわけではありませんが、知識定着の足がかりになれば幸いです。
また、概算保険料については別の記事でもまとめていますので、こちらもどうぞ。
参考記事:社労士試験勉強法 過去問攻略!「徴収法 継続事業の概算保険料と確定保険料の仕組みとは?」 徴-8
ではまず、有期事業の概算保険料の算定方法について確認していきましょう。
有期事業の場合の概算保険料の算定の仕方は?
(平成29年雇用問8オ)
平成29年4月1日から2年間の有期事業(一括有期事業を除く。)の場合、概算保険料として納付すべき一般保険料の額は、各保険年度ごとに算定し、当該各保険年度に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額の合計額に当該事業の一般保険料率を乗じて得た額となる。この場合、平成30年度の賃金総額の見込額については、平成29年度の賃金総額を使用することができる。
解説
解答:誤
有期事業の場合、継続事業のように、概算保険料の額は各保険年度ごとに算定しません。
有期事業の概算保険料の額の算定方法は、その事業のすべての期間に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額に、一般保険料率を乗じて算定した額となります。
有期事業と一口に言っても、数日で終わるものから、何年もかかるものまで規模は様々ですから「すべての期間」としておく方が都合がよさそうです。
ですが、有期事業でも一括有期事業になってくると事情は変わってきます。
次の過去問を見てみましょう。
一括有期事業になった場合の概算保険料の申告や納付の期限は?
(平成23年労災問10B)
有期事業の一括とされた事業においては、概算保険料の申告・納付の期限は、継続事業(保険年度の中途に保険関係が成立した事業及び特別加入の承認があった事業を除く。)と同様に、保険年度の6月1日を起算日として40日以内とされている。
解説
解答:正
一括有期事業になると、継続事業と同じように、概算保険料の申告・納付期限については、保険年度の6月1日を起算日として40日以内となります。
有期事業がずっと続いていくのでしたら、事業の切れ目がなくなるわけで、年度ごとに区切って概算保険料を払うようにするのもうなずけますね。
では、次は実際に概算保険料の支払い方法について確認していきますが、口座振替で支払う時の注意点です。
銀行は概算保険料申告書も受け取ってくれるの?
(平成30年雇用問9エ)
特別加入保険料に係る概算保険料申告書は、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならないところ、労働保険徴収法第21条の2第1項の承認を受けて労働保険料の納付を金融機関に委託している場合、日本銀行(本店、支店、代理店、歳入代理店をいう。以下本肢において同じ。)を経由して提出することができるが、この場合には、当該概算保険料については、日本銀行に納付することができない。
解説
解答:誤
概算保険料を口座振替で納付する場合、概算保険料申告書は日本銀行を経由することができず、納付だけになります。
概算保険料申告書を日本銀行経由で提出できるのは、現金と一緒に納付する場合です。
口座振替の場合は、銀行引き落としになるので、現金がセットになっていない申告書を受け取ってくれないのです。
納付する保険料がない場合に、確定保険料の申告書を日本銀行に出せないのと同じ理屈です。
最後に、年金事務所についての論点をチェックしておきましょう。
増加概算保険料と年金事務所の関係は?
(平成23年労災問8E)
増加概算保険料申告書は所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならないとされているが、一定の区分に従い、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいう。)、年金事務所(日本年金機構法第29条の年金事務所をいう。)又は労働基準監督署を経由して行うことができる。
解説
解答:誤
増加概算保険料申告書の提出は、年金事務所を経由して提出することができません。
年金事務所を経由して提出できるのは、
- 有期事業以外の
- 社会保険適用事業所で
- 労働保険事務組合に労働保険事務を委託しておらず、
- 一般保険料の
- 概算保険料申告書(増加概算保険料申告書ではない)を
- 6月1日から40日以内に提出する
場合です。
ちょっとややこしいですね。
で、なんで6月1日から40日以内だと提出できるのかについては、社会保険料の算定基礎届の提出期限が7月10日まで、というのと関係があるんですかね?
今回のポイント
◆有期事業の概算保険料の額の算定方法は、その事業のすべての期間に使用するすべての労働者に係る賃金総額の見込額に、一般保険料率を乗じて算定した額となります。
◆一括有期事業になると、継続事業と同じように、概算保険料の申告・納付期限については、保険年度の6月1日を起算日として40日以内となります。
◆概算保険料を口座振替で納付する場合、概算保険料申告書は日本銀行を経由することができず、納付だけになります。
◆増加概算保険料申告書の提出は、年金事務所を経由して提出することができません。
◆年金事務所を経由して提出できるのは、
- 継続事業の
- 社会保険適用事業所で
- 労働保険事務組合に労働保険事務を委託しておらず、
- 一般保険料の
- 概算保険料申告書(増加概算保険料申告書ではない)を
- 6月1日から40日以内に提出する 場合です。
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