「社一 社労士法 紛争解決手続代理業務や補佐人についての虎の巻」過去問・社一-6

社労士法の目的条文は以下のとおりです。

「この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。」

この中にある、「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資する」ために多くの社労士は日々活動されていると思います。

しかし、不幸にも、労使の関係が悪化し、争いが起こってしまっているのも事実です。

そんな時にも労使の間に立って、解決を図るべく活動している社労士の方も大勢います。

今回は、そんな紛争解決手続代理業務や裁判についての過去問を集めてみましたので、確認していくことにしましょう。

 

紛争解決手続代理業務は他の士業もできる?

(平成26年問6D)

社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士法第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合はこの限りでないとされており、この付随業務として行うことができる事務には、紛争解決手続代理業務も含まれている。

 

解説

解答:誤

紛争解決手続代理業務は付随業務として「含まれていません」。

規定としては、社労士法第27条に、

「社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。」

とあり、「ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない」とも書いてあるのですが、これは、社会保険労務士法令2条で

一 公認会計士又は外国公認会計士が行う公認会計士法(昭和23年法律第103号)第2条第2項に規定する業務
二 税理士又は税理士法人が行う税理士法(昭和26年法律第237号)第2条第1項に規定する業務

が挙げられています。

が、この業務には、紛争解決手続代理業務は含まれていないのです。

なので、公認会計士さんや税理士さんが紛争解決手続代理業務をすることはできない、ということになります。

公認会計士法や税理士法が気になる方は下記のリンクで見てみてください。↓

 

参考記事:公認会計士法

参考記事:税理士法

 

とはいっても、紛争解決手続業務は社労士全員ができるわけではありません。

どういうことでしょう?

次の過去問で見てみましょう。

 

紛争解決手続業務ができない社労士がいるの??

(令和元年問5B)

すべての社会保険労務士は、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第6条第1項の紛争調整委員会における同法第5条第1項のあっせんの手続について相談に応じること、当該あっせんの手続の開始から終了に至るまでの間に和解の交渉を行うこと、当該あっせんの手続により成立した和解における合意を内容とする契約を締結することができる。

 

解説

解答:誤

紛争解決手続代理業務は、「すべての社会保険労務士」ができるわけではなく、「特定社会保険労務士」だけができます。

特定社労士になるためには、厚生労働大臣が定める研修を修了して、紛争解決手続代理業務試験に合格したうえに、その旨を連合会に備える社会保険労務士名簿に付記する必要があります。

ちなみに、私は特定社労士の資格は持っていません。

私はどちらかというと、「いかにもめごとを起こさないようにするか」、という方面で活動したいと思っているからです。笑

では、次は紛争の金額についての過去問をチェックしましょう。

 

特定社労士が単独で動ける金額の上限っていくら?

(平成27年問3ア)

特定社会保険労務士が単独で紛争の当事者を代理する場合の紛争の目的の価額の上限は60万円、特定社会保険労務士が弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭し紛争解決の補佐をする場合の紛争の目的の価額の上限は120万円とされている。

 

解説

解答:誤

問題文は誤りで、正解は以下のように規定されています。

  • 特定社会保険労務士単独で紛争の当事者を代理する場合の紛争の目的の価額の上限は「60万円」ではなく、「120万円」です。
  • 特定社会保険労務士が弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭し紛争解決の補佐をする場合の紛争の目的の価額の上限は「120万円」ではなく「上限はありません。」

ちなみに、問題文では特定社労士が補佐人として裁判所に出頭している旨が書かれていますが、補佐人は特定社労士に限らず、普通の社労士でも大丈夫です。

で、この補佐人についてもう少し掘り下げてみることにしましょう。

すでに、答えは上に書いてあるのですが(笑)、確認の意味で下の過去問を見てみましょう。

 

補佐人は弁護士の代わりができるの?

(令和元年問5C)

社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人に代わって出頭し、陳述をすることができる。

 

解説

解答:誤

「訴訟代理人に代わって」の部分が誤りで、補佐として、「訴訟代理人とともに」出頭して陳述する形になります。

問題文と重複しますが、規定としては以下のようになっています。

第二条の二 

「社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。

補佐人はあくまで補佐人で訴訟代理人の代わりはできないということですね。

裁判は弁護士さんの専門ですから、社労士がそこまでしゃしゃり出るのはおかしいですよね。

でも、実は、この規定には続きがあるのです。

陳述についての規定なのですが、補佐人とはいえ、社労士の存在の大きさがわかります。

 

社労士がしゃべったことは、当事者の言葉と思え!

(平成29年問3A)

社会保険労務士が、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに裁判所に出頭し、陳述した場合、当事者又は訴訟代理人がその陳述を直ちに取り消し、又は更正しない限り、当事者又は訴訟代理人が自らその陳述をしたものとみなされる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、ポイントは、「当事者又は訴訟代理人が自らその陳述をしたものとみなされます

規定では、

「2 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。」

となっているのです。

法廷でしゃべったことは、そのまま当事者や訴訟代理人の言葉として受け取ってもらえるわけですね。

もし私がそのような機会をいただいたとしたら、ちゃんと噛まずにしゃべれるか不安はありますけどね。笑

 

今回のポイント

  • 紛争解決手続代理業務は付随業務に含まれているわけではありません。
  • 特定社会保険労務士」だけが紛争解決手続代理業務ができます。
  • 特定社会保険労務士単独で紛争の当事者を代理する場合の紛争の目的の価額の上限は「60万円」ではなく、「120万円」です。
  • 特定社会保険労務士が弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として裁判所に出頭し紛争解決の補佐をする場合の紛争の目的の価額の上限は「120万円」ではなく「上限はありません。」
  • 社会保険労務士は、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができます。
  • 社会保険労務士が、補佐人として陳述した場合、当事者又は訴訟代理人が自らその陳述をしたものとみなされます。

 

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