面接指導については、令和2年度の社労士試験で大問で出題されましたね。
働き方改革が叫ばれている現在において、労働者の健康を守る制度であるということで重要視されたのかもしれませんね。
一口に面接指導といっても、面接指導には次の人々に対して行われることになっています。
- 長時間労働者
- 研究開発業務従事者
- 高度プロフェッショナル制度対象労働者
また、上記位以外にも、ストレスチェックの結果に基づいて行われる面接指導もありますね。
今回は令和2年度の社労士試験問題を取り上げて見ましたので一つ一つ見ていくことにしましょう。
長時間労働者に対する面接指導の要件
(令和2年問8A)
事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり60時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合は、面接指導を行わなければならない。
解説
解答:誤
問題文の場合、「1月当たり60時間を超え」ではなく、「1月当たり80時間を超え」が正解です。
これは長時間労働者に対する面接指導の要件になるのですが、
- 休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における
- その超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、
- 疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合、
事業者は面接指導を行う必要があります。
キーワードは、「月80時間超」、「疲労の蓄積」、「申出」ですね。
ちなみに、「疲労の蓄積」とは言っても、他人からはなかなか見えにくいものですよね。
なので、面接指導の申出をした段階で「疲労の蓄積がある人」とするそうです。
次は、研究開発に携わっている労働者の面接指導について見てみましょう。
先ほどの長時間労働の面接指導とは要件が違っているところに注目です。
研究開発業務の場合の面接指導の要件とは
(令和2年問8B)
事業者は、研究開発に係る業務に従事する労働者については、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超えた場合は、労働者からの申出の有無にかかわらず面接指導を行わなければならない。
解説
解答:誤
研究開発業務の場合は、「1月当たり80時間を超えた場合」ではなく、「1月当たり100時間を超えた場合」に、労働者からの申出に関わらず面接指導をする必要があります。
先ほどの長時間労働の面接指導の時と違って、「100時間超」と「労働者からの申出は関係ない」ところがポイントになりますね。
では3つ目の高度プロフェッショナル制度の対象者に対する面接指導を確認しましょう。
研究開発とは要件が違うところがあるようです。
高度プロフェッショナル制度の対象者に対する面接指導
(令和2年問8C)
事業者は、労働基準法第41条の2第1項の規定により労働する労働者(いわゆる高度プロフェッショナル制度により労働する労働者)については、その健康管理時間(同項第3号に規定する健康管理時間をいう。)が1週間当たり40時間を超えた場合におけるその超えた時間が1月当たり100時間を超えるものに対し、労働者からの申出の有無にかかわらず医師による面接指導を行わなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
高度プロフェッショナル制度の対象者に対する面接指導の場合は、
- 健康管理時間が1週間当たり40時間を超えた場合における
- その超えた時間が1月当たり100時間を超えるものに対し
- 労働者からの申出の有無にかかわらず
面接指導を行わなければなりません。
研究開発業務の時と違うのは「健康管理時間」ですね。
健康管理時間というのは「事業場内にいた時間」と「事業場外で労働した時間」の合計のことです。
ここで、面接指導を行う基準になっている労働時間について、事業者が把握するべき労働者の種類について確認しておきましょう。
労働者の種類によっては、事業者が把握するべき対象から外れているものもあるようです。
事業者が労働時間の把握をするべき労働者の範囲
(令和2年問8D)
事業者は、労働安全衛生法に定める面接指導を実施するため、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間の状況を把握しなければならないが、労働基準法第41条によって労働時間等に関する規定の適用が除外される労働者及び同法第41条の2第1項の規定により労働する労働者(いわゆる高度プロフェッショナル制度により労働する労働者)はその対象から除いてもよい。
解説
解答:誤
「労働基準法第41条によって労働時間等に関する規定の適用が除外される労働者」、いわゆる「管理監督者」については、事業者は労働時間の把握を行う必要があります。
事業者が労働時間の把握をするべき対象としては、通常の労働者はもちろん、研究開発業務従事者や、事業場外労働のみなし労働時間制の適用者、裁量労働制の適用者、管理監督者などです。
ただ、高度プロフェッショナル制度により労働する労働者はその対象から除かれています。
では最後に、面接指導の記録の保存期間について確認しておくことにしましょう。
面接指導の記録の保存期間は?
(令和2年問8E)
事業者は、労働安全衛生法に定める面接指導の結果については、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを保存しなければならないが、その保存すべき年限は3年と定められている。
解説
解答:誤
面接指導の結果の記録を保存する期間は「3年」ではなく、「5年」です。
これは、健康診断の結果の記録も同じですね。
今回のポイント
- 面接指導には次の人々に対して行われることになっています。
- 長時間労働者
- 研究開発業務従事者
- 高度プロフェッショナル制度対象労働者
- 長時間労働者に対する面接指導の要件は
- 休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における
- その超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、
- 疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合となっています。
- 研究開発業務の場合は、「1月当たり80時間を超えた場合」ではなく、「1月当たり100時間を超えた場合」に、労働者からの申出に関わらず面接指導をする必要があります。
- 高度プロフェッショナル制度の対象者に対する面接指導の場合は、
- 健康管理時間が1週間当たり40時間を超えた場合における
- その超えた時間が1月当たり100時間を超えるものに対し
- 労働者からの申出の有無にかかわらず行う必要があります。
- 事業者が労働時間の把握をするべき対象としては、通常の労働者はもちろん、研究開発業務従事者や、事業場外労働のみなし労働時間制の適用者、裁量労働制の適用者、管理監督者などですが、高度プロフェッショナル制度により労働する労働者はその対象から除かれています。
-
面接指導の結果の記録を保存する期間は「5年」です。
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