年金給付の支払についての論点は、支払時期から未支給分の請求、内払までいろいろとあります。
これらの論点は他の科目にも共通しているところがあるので、最終的には横断的に整理するのが良いでしょうね。
まず1科目ずつ学習しておいて、横断学習の時に相違点をチェックすると効率が良いかもしれません。
では最初の問題を見てみましょう。
年金の支給、停止の時期についての確認です。
年金の支給や停止はいつから?
(平成24年問2C)
年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、また、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月から支給しない。
解説
解答:誤
年金の支給は、支給すべき事由が生じた月の「翌月」から始め、停止すべき事由が生じた月の「翌月」から支給しないことになっています。
なので、支給も停止も「翌月」から適用されるということですね。
で、終期の方はといえば、権利が消滅した「月」まで支給し、停止すべき事由が消滅した「月」まで支給しない、ということです。
まとめると、年金の支給は、
- 年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終わります。
- その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しません。
では次は障害厚生年金の支給開始月についての過去問です。
上記の規定の例外のような論点になっていますが、果たして正しいのでしょうか。
障害厚生年金の支給月について
(平成28年問6A)
障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合の障害厚生年金は、原則として障害認定日の属する月の翌月分から支給される。ただし、障害認定日が月の初日である場合にはその月から支給される。
解説
解答:誤
「障害認定日が月の初日である場合にはその月から支給される」というような規定はありません。
障害厚生年金も先ほど述べたように、「年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から」支給されますので、
原則として障害認定日の属する月の翌月分から支給開始となります。
さて、今度は未支給の保険給付の請求についての論点に移ります。
保険給付の受給権者が死亡したときに、まだ支給しなかった保険給付がある時に、請求できる人はどのような人々でしょうか。
確認してみましょう。
未支給の保険給付の支給を請求できる人は?
(平成30年問9C)
保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者であれば、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりで、未支給の保険給付の請求ができるのは、
「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族」となっています。
ちなみに、「3親等内の親族」が入っているのは、国民年金と厚生年金だけです。
で、上記の親族の中に「子」が入っていますが、「遺族厚生年金」の未支給分の請求と「子」に絡む過去問を見ておきましょう。
いわゆる「子」と「継母」はテーマになっています。
「実子」でなかったとしても、、、
(令和元年問9A)
夫の死亡により、前妻との間に生まれた子(以下「夫の子」という。)及び後妻に遺族厚生年金の受給権が発生した。その後、後妻が死亡した場合において、死亡した後妻に支給すべき保険給付でまだ後妻に支給しなかったものがあるときは、後妻の死亡当時、後妻と生計を同じくしていた夫の子であって、後妻の死亡によって遺族厚生年金の支給停止が解除された当該子は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
「子」は問題文中の「夫」の子であることには間違いありませんが、「後妻(継母)」とは血のつながりはありません。
その後妻が死亡したときに実子ではない「子」が遺族厚生年金の未支給分の請求ができるのか、という問題でしたが「請求できます」。
規定としては、
「保険給付の受給権者が死亡した場合において、死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻(後妻であっても)であったときは、
その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であった者(夫)の子であって、
その者の死亡によって遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、未支給の保険給付にかかる子とみなす。」
となっています。
(カッコ)の部分は補足で入れさせていただきました。
さて、最後に未支給の保険給付を受ける人が2人以上いた時の規定を確認しておきましょう。
同順位が二人以上いる時はどうやって支給する?
(平成23年問2A)
保険給付の受給権者の死亡に係る未支給の保険給付がある場合であって、当該未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、当該同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給する。
解説
解答:誤
「同順位者の数で按分した額をそれぞれに支給」ではなく、「1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす」という規定になっています。
こうでもしないと、お役所がそれぞれの人に支給していては手続きが大変ですから、一括で一人の人に支給して、あとはご自由に分けてねとしたほうが楽ですよね。
今回のポイント
- 年金の支給は、支給すべき事由が生じた月の「翌月」から始め、停止すべき事由が生じた月の「翌月」から支給しないことになっています。
-
保険給付の受給権者が死亡した場合において、死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻(後妻であっても)であったときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であった者(夫)の子であって、その者の死亡によって遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、未支給の保険給付にかかる子とみなされます。
- 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなします。
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