過去問

「社労士試験 労基法 労働契約の終了について復習してみませんか?」過去問・労基-74

今回は、労働契約の終了にまつわる規定について問われた過去問を見ていきたいと思います。

具体的には、金品の返還や、解雇制限解雇予告退職時の証明といった項目になりますが、

どれも基本的な事項になりますので、この記事を読んでいただき、復習の機会になれば嬉しく思います。

それでは過去問に入っていきましょう。

最初の問題は、「金品の返還」に関するものです。

この金品の返還が、どのような手順をふまえて実行されるのかを確認していきましょう。

 

金品の返還はどのようにして行われる?

(令和2年問5オ)

使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないが、この賃金又は金品に関して争いがある場合においては、使用者は、異議のない部分を、7日以内に支払い、又は返還しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

金品の返還は、まず権利者の請求がスタートになり、請求があったときは、異議のない部分についての賃金や金品を7日以内に返還することになります。

文中で「権利者」となっているのは、労働者が不幸なことに亡くなってしまった場合に、遺産相続人などからの請求を想定しているものだからです。

では次に、金品の返還に関して、金品の範囲について問われている過去問を見てみましょう。

この過去問では、「解雇予告手当」が金品の対象なのかが論点になっていますので確認しましょう。

 

解雇予告手当は「金品の返還」の対象?

(平成30年問5A)

労働基準法第20条第1項の解雇予告手当は、同法第23条に定める、労働者の退職の際、その請求に応じて7日以内に支払うべき労働者の権利に属する金品にはあたらない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

解雇予告手当は、法20条による解雇を成立させるために事業主が支払うもので、労働の対償となる賃金ではなく、労働者の請求によって返還する「金品」に該当しません

つまり、解雇予告手当は、労働者の請求とは関係なく使用者が労働者に支払う性質のものなのです。

それでは、テーマを「解雇」に移しましょう。

次の問題では、「解雇制限」が論点になっています。

解雇制限については、法19条で

「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。」

となっています。

で、規定の中にある「やむを得ない事由」とはどんなことを指すのかが下の問題で問われていますので見てみましょう。

 

「やむを得ない事由」とは

(平成30年問5C)

使用者は、税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合には、「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」として、労働基準法第65条の規定によって休業する産前産後の女性労働者であっても解雇することができる。

 

解説

解答:誤り

「税金の滞納処分を受け事業廃止に至った」という理由は、「やむを得ない」事由には該当しないので解雇することができません。

規定をもう一度見てみると、「天災事変その他やむを得ない事由」となっていますので、「不可抗力」の事態でないと「やむを得ない事由」にはなりにくいですね。

たとえば、地震によって建物が倒壊してしまったり、火災によって工場が消失して事業の継続が不可能になってしまう場合ですね。

ただし、火災であっても、事業主の故意や重大な過失によるものは対象外となるので、問題文のように税金を滞納処分を受けることは、使用者の責任といえ、やむを得ない事由にはならないということですね。

さて、次は解雇の予告について見ていきましょう。

労働基準法の第20条では、使用者が労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前に予告をする必要があり、

30日前の予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金をを支払う必要があります(解雇予告手当の支払い)。

しかし、解雇予告の適用が除外されてしまう人もいるのですが、それはどんな人を指すのでしょうか。

 

解雇の予告期間・予告手当の対象者

(平成23年問3C)

労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、3か月の期間を定めて試の使用をされている者には適用されることはない。

 

解説

解答:誤り

試の使用期間中の者については、解雇の適用除外となっているのですが、14日を超えて引き続き使用された場合は解雇予告の適用を受けるので、問題文は誤りです。

この解雇予告の適用除外については、

  • 日日雇い入れられる者 →1ヶ月を超えて引き続き使用
  • 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者 →所定の期間を超えて引き続き使用
  • 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者 →所定の期間を超えて引き続き使用
  • 試の使用期間中の者 →14日を超えて引き続き使用

というように、4種類の者について適用除外となりますが、「→」の右側の期間を超えた場合は、解雇予告の対象となります。

では最後に、「退職時の証明」について見てみましょう。

労働者と使用者との労働契約が終了して退職した場合、使用期間や業務の種類、賃金などについて、労働者は使用者に対して証明書を請求することができます。

この退職時の証明の請求が、退職後いつまでできるのかが下の問題で問われていますので確認しましょう。

 

退職時の証明はいつまで請求できるのか

(平成29年問3C)

使用者は、労働者が退職から1年後に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由について証明書を請求した場合は、これを交付する義務はない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、使用者は退職時の証明書を交付する義務がありますので誤りです。

これは、時効が論点になっているのですが、退職手当を除く賃金の請求権5年となっていて当分の間は3年間とされていますが、

それ以外の請求権については2年間とされているので、退職時の証明の事項も2年ということになります。

ちなみに、退職手当の請求権は5年でしたね。

 

今回のポイント

  • 金品の返還は、まず権利者の請求がスタートになり、請求があったときは、異議のない部分についての賃金や金品を7日以内に返還することになります。
  • 解雇予告手当は、法20条による解雇を成立させるために事業主が支払うもので、労働者の請求によって返還する「金品」に該当しません
  • 「税金の滞納処分を受け事業廃止に至った」という理由は、天災事変その他やむを得ない事由には該当しないので解雇制限の範囲に入ります。
  • 解雇予告の適用除外については、
    • 日日雇い入れられる者 →1ヶ月を超えて引き続き使用
    • 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者 →所定の期間を超えて引き続き使用
    • 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者 →所定の期間を超えて引き続き使用
    • 試の使用期間中の者 →14日を超えて引き続き使用

    というように、4種類の者について適用除外となりますが、「→」の右側の期間を超えた場合は、解雇予告の対象となります。

  • 退職手当を除く賃金の請求権の時効5年となっていて当分の間は3年間とされていますが、それ以外の請求権については2年間とされているので、退職時の証明の事項も2年ということになります。

 

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勉強の配分については、

「定着のための繰り返し」、「苦手項目をつぶすための繰り返し」

の比重がどんどん増え、模試や答練などの新しい取り組みをなくしていきます。

つまり、新しい問題を解く必要はない、ということなのです(^^)

 

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