「労災保険法 支給制限や差し止めを理解するための取扱説明書」過去問・労災-34

「支給制限」や「差し止め」でややこしいのは、どんなときにどんな制限をくらうのかが分かりにくいところです。

「故意」とか「重大な過失」にはじまり、「療養の指示に従わない」、「受診命令に従わない」までなど色々な要件によって、保険給付を「支給しない」から「差し止める」までのランクがあるので整理しにくいかもしれません。

ただ、落ち着いて文章を繰り返し読んでいると、だんだん腑に落ちてくると思いますが、テキストで読むというよりは、過去問演習で要件を思い出しながら少しずつ覚えていく方が早いと思います。

それではさっそく見ていきましょう。

 

「故意に」事故を起こしたときは、、、

(平成26年問3E)

業務遂行性が認められる災害であっても、労働者が故意に自らの死亡の直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は保険給付を行わない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

業務遂行性が認められる災害でも、「故意に」自らの死亡の「直接の原因となった事故」を生じさせたときは、保険給付が行われません

故意」の場合は、「全部または一部」ではなく、「行われない」のです。

次は、「故意の犯罪行為」についての論点です。

 

「故意の犯罪行為」の場合の保険給付は?

(平成26年問3D)

業務遂行性が認められる災害であっても、労働者が故意の犯罪行為により自らの死亡を生じさせた場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、労働者が

  • 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は
  • 正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、

負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、

政府は、保険給付の全部又は一部行わないことができます。

故意の犯罪行為というのは、たとえば、トラックの運転手が、到着時刻に間に合わせようとしてスピード違反をして走っているところに事故が起きた、なんてケースが考えられますね。

スピード違反をしているのは分かっているわけですから「故意の犯罪行為」ということになります。

この場合は、「全部または一部」の支給制限になります。

さて、次の支給制限は、先述した「正当な理由がなくて療養に関する指示に従わない」場合の過去問を見ておきましょう。

 

療養に関する指示に従わなくて回復を妨げたら?

(平成26年問3C)

業務起因性の認められる負傷であっても、被災した労働者が正当な理由なく療養に関する指示に従わないことにより負傷の回復を妨げた場合は、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

正当な理由なく「療養に関する指示に従わない」場合は、「全部または一部」の支給制限になります。

もう一度規定を見ておきますと、本問に該当するのは赤字の部分になります。

「労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部行わないことができる

どういう理由で療養に関する指示に従わないのかはわかりませんが(笑)、障害の程度を増進させることで年金ゲットを狙っているのでしょうか。。。

次の過去問は、結論から言ってしまうと「差し止め」についての問題です。

 

正当な理由がなく「出頭命令」に従わなかったら?

(平成24年問4D)

政府は、保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由なく、行政の出頭命令に従わないときは、保険給付の支給決定を取り消し、支払った金額の全部又は一部の返還を命ずることができる。

 

解説

解答:誤

「全部又は一部の返還を命ずることができる」のではなく、正当な理由なく、行政の出頭命令に従わないときは、保険給付の支払いを一時差し止めることができます。

「差し止め」の場合は、差し止める理由がなくなれば保険給付はさかのぼって支給されますので、比較的軽い処置になりますね。

では最後に、「受診命令」に従わないときはどうなるのか確認しておきましょう。

 

医師の診断を受けるように命令されたのに従わなかったら?

(平成25年問2B)

政府は、保険給付に関して必要であると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができ、その者が命令に従わないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、受診命令に従わない場合は、保険給付の支払いを一時差し止めることができます。

つまり、「行政の出頭命令に従わない」とき、「受診命令に従わない」場合は、保険給付の一時差し止めになるのですね。

 

今回のポイント

  • 故意に」自らの死亡の「直接の原因となった事故」を生じさせたときは、保険給付が行われません
  • 労働者が
    • 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は
    • 正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、

    負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、

    政府は、保険給付の全部又は一部行わないことができます。

  • 行政の出頭命令に従わない」とき、「受診命令に従わない」場合は、保険給付の一時差し止めになります。

 

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