今回は死亡一時金についての過去問を集めてみました。
要件の数はそれほど多くないのですが、社労士試験ではちょくちょく出題されています。
気をつける点は支給要件における他の年金とのカラミです。
◯◯年金の支給を受けていたことがあると死亡一時金は支給されない、などですね。
では早速見ていくことにしましょう。
遺族基礎年金と死亡一時金の関係は?
(平成28年問2A)
死亡一時金は、遺族基礎年金の支給を受けたことがある者が死亡したときは、その遺族に支給されない。なお、本問において死亡した者は、遺族基礎年金以外の年金の支給を受けたことはないものとする。
解説
解答:誤
問題文の場合、遺族基礎年金の支給を受けたことがある人が死亡した場合でも、所定の要件を満たしていれば、その遺族に死亡一時金が支給されます。
死亡一時金の支給要件では、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けたことがある人が死亡した場合には、死亡一時金は支給されません。
ちなみに、死亡一時金について遺族基礎年金が論点になるのは、
たとえば夫が死亡したときにその遺族が遺族基礎年金を受け取れる場合には、死亡一時金は支給されない、ということです。
死亡一時金は、掛け捨て防止の役割があるので、遺族基礎年金が支給される状態なのであれば死亡一時金は要らないよね、となるのです。
では、もし寡婦年金が受給できるとしたらどうなんでしょうか。
やはり死亡一時金は受け取れないのでしょうか。
寡婦年金と死亡一時金が両方受給できるとしたら、、、
(平成24年問4オ)
夫の死亡により、寡婦年金と死亡一時金の受給要件を同時に満たした妻に対しては、寡婦年金が支給される。ただし、夫の死亡日の属する月に寡婦年金の受給権が消滅したときは、この限りでない。
解説
解答:誤
寡婦年金と死亡一時金の受給要件を同時に満たした場合は、どちらを受給するのか選ぶことができます。
つまり、「選択」するわけですね。
寡婦年金も掛け捨て防止の役割があるので、年金か一時金のどちらか選べるということなんでしょうかね。
たとえば、夫を亡くした妻が64歳だったら寡婦年金をもらえるのは65歳までなので、死亡一時金でもらっておいた方がお得な場合もあるかも知れませんね。
さて、次は死亡一時金がもらえる遺族の範囲について確認しておきましょう。
下の過去問がズバリ聞いています。
死亡一時金を受け取れる遺族の範囲
(平成22年問10A)
死亡一時金を受けることができる遺族は、死亡した者の配偶者、子、父母、祖父母または兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものである。
解説
解答:誤
上記の問題文では「孫」が抜けています。
普通に読んでいたら見逃さないかもしれませんが、本試験場でザーッと読んでたらひょっとすると読み飛ばしてしまうかもしれませんね。
簡単な文章ほど気をつけておきたいものです。
で、次は死亡一時金の金額についてなのですが、死亡一時金は定額になっていて、第1号被保険者の被保険者期間数によってもらえる金額が違います。
全部覚える必要はないと思いますので、一番安い金額と一番高い金額、月数をまずは押さえておきましょう。
死亡一時金の額は?
(平成26年問2E)
死亡一時金の額は、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての保険料納付済期間の月数が300か月以上ある場合については、一律に32万円である。
解説
解答:誤
死亡一時金の額が32万円なのは保険料納付済期間の月数が「420か月以上」となります。
ちなみに、一番安い金額は、「36月以上180月未満」の「12万円」です。
で死亡一時金には、ある一定の要件を満たすと加算される仕組みになっています。
それは生前納付していた付加保険料なのですが、どういう仕組みになっているのでしょうか。
死亡一時金に付加保険料分が加算?
(平成29年問7A)
死亡日の前日における付加保険料に係る保険料納付済期間が3年以上である者の遺族に支給される死亡一時金の額には、8,500円が加算される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
付加保険料の納付期間が3年以上の場合、死亡一時金には8500円が加算されることになっています。
付加保険料は1月につき200円ですから、3年納付すると7200円ですので、死亡一時金に加算されるのは掛け捨て防止の措置と言えるかもしれませんね。
今回のポイント
- 遺族基礎年金の支給を受けたことがある人が死亡した場合でも、所定の要件を満たしていれば、その遺族に死亡一時金が支給されます。
- 寡婦年金と死亡一時金の受給要件を同時に満たした場合は、どちらを受給するのか選ぶことができます。
- 死亡一時金を受けることができる遺族は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものとなります。
- 死亡一時金の額が32万円なのは保険料納付済期間の月数が「420か月以上」となります。
- 付加保険料の納付期間が3年以上の場合、死亡一時金には8500円が加算されることになっています。
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