過去問

「徴収法 早わかり!時効と書類の保存のポイント!」過去問・徴-35

時効については、令和2年度の法改正で言い回しが変更になっているので過去問演習を中心に勉強を進めてこられている場合は、本試験場で不安にならないよう、チェックしておきましょう。

今回集めた過去問では、法改正後の表現になっていますので、まだなじみがない場合は何度か読んで慣れておくといいですね。

書類の保存期間については、3年と4年の2種類だけですので、まだ覚えていない場合はこれを機にやっつけちゃいましょう。

最初の問題は、労働保険料などの徴収金について、それを徴収したり、還付を受ける権利についての時効についての論点になっています。

 

徴収や還付の権利の時効

(平成23年雇用問10B)

労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から5年を経過したときは、時効によって消滅する。(問題文を一部補正しています)

 

解説

解答:誤

労働保険料などの徴収金徴収したり、還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から「5年」ではなく、「2年」を経過したときは時効によって消滅します。

出題当時の問題文は、「労働保険料(中略)を徴収し、又はその還付を受ける権利は、5年を経過したときは、時効によって消滅する。」となっていましたので、起算時が明記された形になりますね。

では、法改正に関する表現の違いについても含めてもう1問、時効についての過去問を見てみましょう。

 

納入告知書で新たな時効?

(平成28年雇用問10ウ)

政府が行う労働保険料その他労働保険徴収法の規定による徴収金の徴収の告知は、時効の更新の効力を生ずるので、納入告知書に指定された納期限の翌日から、新たな時効が進行することとなる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、納入告知書に指定された納期限の翌日から、「新たな時効が進行」する形になります。

つまり、政府が労働保険料などの徴収金告知督促は、時効の更新の効力が生じる(法41条2項)、と規定していますので、政府が出す納入告知書に記載された納期限の翌日から新たに時効が進行する形になります。

で、法改正では、「時効中断の効力」との記載が、「時効の更新の効力」と変わりました。

選択式で出題される可能性もありますから、「あ、そんな改正あったな」ということで頭の隅に置いておくと良いでしょう。

さて、次は書類の保存期限について、丸々大問の形で出題されているものがありましたので、こちらで確認しましょう。

 

書類の保存期限一覧

(平成22年雇用問9)

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則(以下「労働保険徴収法施 行規則」という。)第 70条においては、労働保険徴収法及び労働保険徴収法施 行規則による書類の保存期間を定めているが、次の書類と保存期間の組合せのうち、誤っているものはどれか。

A 日雇労働被保険者を使用した場合に事業主が備え付けておく印紙保険料の納付に関する帳簿:保存期間3年

B 雇用保険の被保険者に支払う賃金からその者の負担すべき一般保険料の額に相当する額を控除する場合に、当該控除額を記載した帳簿で、事業主が備え付けておく一般保険料控除計算簿:保存期間3年

C 労働保険事務組合が備え付けておく労働保険料等徴収及び納付簿:保存 期間3年

D 概算・確定保険料申告書の事業主控:保存期間4年

E 労働保険事務組合が備え付けておく雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿:保存期間4年

 

解説

解答:D

概算・確定保険料申告書の事業主控の保存期間は、3年です。

これらの書類の保存期間で4年なのは一つだけで、「雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿」がそれにあたりますので、4年のものだけ覚えておいて、あとは3年、と割り切れば良いでしょうね。

で、そもそもそれらの書類の保存期間を定めておくのは、政府が必要に応じて「〇〇の書類を提出してちょうだい」と言えるようにするためです。

最後の問題は、書類の提出や出頭に関する規定についての論点になっています。

 

過去に事務組合「だった」ところには出頭を命じることはできる?

(令和元年雇用問10D)

行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、労働保険の保険関係が成立している事業主又は労働保険事務組合に対して、労働保険徴収法の施行に関して出頭を命ずることができるが、過去に労働保険事務組合であった団体に対しては命ずることができない。

 

解説

解答:誤

過去に労働保険事務組合「だった」ところに対しても出頭を命ずることができます。

その根拠になっている規定を下に記載しますね。

 

(報告等)
法42条
行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体に対して、この法律の施行に関し必要な報告文書の提出又は出頭を命ずることができる

と規定されていますので、問題文のケースでも出頭を命ずることができるのですね。

 

今回のポイント

  • 労働保険料などの徴収金徴収したり、還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年」を経過したときは時効によって消滅します。
  • 政府が労働保険料などの徴収金告知督促は、時効の更新の効力が生じる(法41条2項)、と規定していますので、政府が出す納入告知書に記載された納期限の翌日から新たに時効が進行する形になります。
  • 書類の保存期間で4年なのは、雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿だけです。
  • 行政庁は、保険関係が成立し、もしくは成立していた事業の事業主または労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体に対して、この法律の施行に関し必要な報告文書の提出又は出頭を命ずることができます

 

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