就業規則については、社労士試験でも色々な角度から出題されています。
それだけ就業規則が重要視されているということなのでしょう。
なので、労基法でも重要事項として優先順位を上げて学習をする必要がありますね。
一番手っ取り早いのは、実際の会社での就業規則の運用を見てみることですね。
会社勤めをしている、もしくは以前勤めていたことがあるよ、という方はその会社をイメージして要件を当てはめてみると理解が速くなると思いますので、オススメです。
それでは最初の問題を見てみましょう。
常時10人以上の労働者を使用している使用者には就業規則を作成する義務があるのですが、その先の手続きはどうなっていたでしょうか??
就業規則を作成したときは労基署長の許可が要る??
(平成23年問5C)
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し又はその内容を変更した場合においては、所轄労働基準監督署長にこれを提出し、その許可を受けなければならない。
解説
解答:誤り
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成する義務がありますが、所轄労基署長の許可を受けるのではなく、届出をする必要があります。
この、常時10人以上というのは、事業場単位で判断します。
また、常態として10人以上という意味になるので、業務が忙しい時だけ10人を超えるような場合は、常時10人以上とはならず、就業規則の作成義務はありません。
ちなみに、就業規則を届け出るときは、過半数労働者の意見書をつける必要があります。
もし、労働者代表が、就業規則を読んで意見書への署名を拒否した場合は、労基署への届出はどうなるのでしょうか。
次の問題を見てみましょう。
意見書に労働者代表の意見がなかったら?
(令和2年問7B)
労働基準法第90条に定める就業規則の作成又は変更の際の意見聴取について、労働組合が故意に意見を表明しない場合又は意見書に労働者を代表する者の氏名を記載しない場合には、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、就業規則を受理するよう取り扱うものとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
もし過半数代表者が故意に意見を表明しないなどの場合でも、「意見を聴いた」ことを客観的に証明できれば労基署で就業規則を受理されます。
就業規則が有効になるためには、過半数労働者の同意ではなく、意見を聴くことなので、意見を聴いた事実があれば要件を満たすことになるのです。
では次に、就業規則には、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」があります。
これにはどんなものがあるのか確認しましょう。
就業規則の絶対的必要記載事項とは
(平成25年問1B)
臨時の賃金等を除く賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、労働基準法第89条において、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項となっている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
就業規則の絶対的必要記載事項には、
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇ならびに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
- 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期並びに昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
があります。
絶対的必要記載事項があるということは、相対的必要記載事項もあるということになります。
また、労基法15条の労働条件の明示と比較しておくと違いが見えてきますので、お手持ちのテキストでご確認なさってみてくださいね。
さて、就業規則には色々な事項を記載する必要がありますが、もし絶対的必要記載事項や相対的必要記載事項が抜けていた場合はどうなるのでしょうか。
そういった欠陥のある就業規則はすべて無効になってしまうのでしょうか。
次の問題を見てみましょう。
必要記載事項の要件を満たしていない就業規則はどうなるのか
(平成26年問7ウ)
労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部、又は、同条第3号の2以下の相対的必要記載事項のうち当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない就業規則は、同条違反の責を免れないものであり、労働基準法第13条に基づき、無効となる。
解説
解答:誤り
問題文の場合、無効ではなく有効ですが、
就業規則は記載に必要な要件を満たしてはじめて労基法89条を遵守したといえるので、
必要な記載のない就業規則を労基署に届け出ても89条違反となり、処罰の対象(30万円以下の罰金)になります。
さて、就業規則では制裁についての規定を定めることもあります。
制裁については、減給についての規定が労基法91条で定められています。
内容は、
「減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」
というものですが、
遅刻や早退した時に行う減給は、この制裁の規定の範囲内にすることになるのでしょうか。
次の問題で確認しましょう。
遅刻をしたときの減給は減給の制裁の範囲内にする必要がある?
(令和2年問7E)
労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も労働基準法第91条による制限を受ける。
解説
解答:誤り
問題文の場合は、91条の制裁規定の制限は受けません。
遅刻や早退をした場合、その時間は働いていないわけですから、ノーワークノーペイの原則により、そもそも賃金が発生しません。
ですので、遅刻や早退をした時間分の賃金をお給料から差し引いても問題はありません。
ですが、遅刻や早退をした時間分以上のお金を減給という形で天引きする場合、
その超えた部分は制裁と判断されるので、91条の制裁規定の適用があります。
今回のポイント
- 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成する義務がありますが、就業規則を作成・変更したときは、所轄労基署長へ届出をする必要があります。
- もし過半数代表者が故意に意見を表明しないなどの場合でも、「意見を聴いた」ことを客観的に証明できれば労基署で就業規則を受理されます。
- 就業規則の絶対的必要記載事項には、
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇ならびに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
- 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期並びに昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
があります。
- 就業規則は記載に必要な要件を満たしてはじめて労基法89条を遵守したといえるので、無効にはなりませんが、必要な記載のない就業規則を労基署に届け出ても89条違反となり、処罰の対象(30万円以下の罰金)になります。
- 遅刻や早退をした場合、その時間は働いていないわけですから、遅刻や早退をした時間分の賃金をお給料から差し引いても問題はありませんが、遅刻や早退をした時間分以上のお金を減給という形で天引きする場合、その超えた部分は制裁と判断されるので、91条の制裁規定の適用があります。
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