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「健康保険法 今さら聞けない任意継続被保険者の要件」過去問・健保-28

〜「健康保険法 今さら聞けない任意継続被保険者の要件」健保-28〜

会社を退職すると、他の会社に転職していない限りは国民健康保険の被保険者になる、配偶者などの被扶養者になるといった選択肢がありますが、本人が希望して健康保険法上の被保険者として残りたい場合は、任意継続被保険者を選ぶことも可能です。

国民健康保険の場合は、被扶養者の概念がないので、一人一人被保険者になる必要がありますが、任意加入保険者だと、それまで入っていた健康保険と同じように被扶養者をそのまま入れることができます。

ただし、保険料を折半してくれる会社がないので、保険料は全額自己負担になりますけどね。

社労士試験では、任意継続被保険者になるための要件や、資格喪失について出題されています。

それでは、過去問を見ていくことにしましょう。

 

任意継続被保険者になることができない人は?

(平成28年問6B)

適用事業所に使用されなくなったため、被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して2か月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者は、保険者に申し出て、任意継続被保険者になることができる。ただし、船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等である者は任意継続被保険者となることができない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

カッコ書きばかりで頭が混乱しそうですが、任意継続被保険者になれないのは以下の人です。

  • 被保険者の資格を喪失した者 →  日雇特例被保険者はアウト
  • 喪失の日の前日まで継続して2か月以上被保険者であった者 → 日雇特例被保険者、任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員はアウト
  • 船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等である者は、そもそも任意継続被保険者となることができません。

また、「喪失の日の前日まで継続して2か月以上被保険者であった者」の「2か月以上」の数字は押さえておきましょう。

次は、任意継続被保険者の資格要件について、少し視点を変えた過去問がありましたのでご紹介しますね。

 

所定労働時間が減って資格喪失した人は任意継続被保険者にはなれない?

(令和元年問9ア)

被保険者の1週間の所定労働時間の減少により資格喪失した者が、事業所を退職することなく引き続き労働者として就労している場合には、任意継続被保険者になることが一切できない。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、任意継続被保険者に一切なることができないわけではありません。

任意継続被保険者となることができるのは、

  • 適用事業所に使用されなくなった者

または、

  • 適用除外に該当するに至ったため被保険者の資格を喪失した一定の者です。

ここで規定を確認しましょう。

法3条 4 この法律において「任意継続被保険者」とは、適用事業所に使用されなくなったため、又は第一項ただし書に該当するに至ったため被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して二月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいう。ただし、船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等である者は、この限りでない。

となっています。

第一項ただし書」というのが、いわゆる「被保険者の適用除外の規定」です。

たとえば、「1週間の所定労働時間が20時間未満」とか、「報酬が88,000円未満」などですね。

なので、問題文は「1週間の所定労働時間の減少により資格喪失」とありますので、「第一項ただし書」の適用除外に該当すれば、任意加入被保険者になれる可能性がある、ということですね。

ちなみに、問題文にある、「任意継続被保険者になることが一切できない。」の「一切」と過激な表現をしている問題文は要注意です。

誤りの問題である可能性が高くなりますので、注意しておくと良いでしょう。

次は、資格取得の申出についての過去問です。

問題文に「法律の不知」という言葉が出てきますが、これは「その法律を知らなかった」ということです。

 

知らないものは知らないですが、、、?

(平成25年問1B)

任意継続被保険者の資格取得の申出は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内にしなければならないが、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても受理することができる。なお、判例によると「法律の不知」によるという主張は、この場合の正当な理由にあたらないものと解されている。

 

解説

解答:正

問題文のように、「法律の不知」ということでは正当な理由には当たりません。

知らないものは知りようがないので、酷なような気もしますが、

申請を受け付ける側にしてみれば、「知らんかってん」の一言で済まされては、「20日以内」という期限は意味がなくなってしまいますよね。

まあ、たとえば協会けんぽでは以下のようなお知らせがありますので、「法律の不知」はある程度防いでくれていると思います。苦笑

 

参考記事:「退職後の健康保険のご案内」

 

さて、次は資格喪失についての過去問です。

保険料を納めなかった時は、いつ資格喪失するんでしょうか。

 

保険料を納付しなかったらいつ資格喪失する?

(平成27年問5E)

任意継続被保険者が、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったときは、納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めた場合を除き、督促状により指定する期限の翌日にその資格を喪失する。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、任意継続被保険者の資格喪失は、「督促状により指定する期限の翌日」ではなく、「納付期日の翌日」となります。

ここで、任意継続被保険者がどんな時に資格喪失するのか規定を見てみましょう。

(任意継続被保険者の資格喪失)
第38条 任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第四号から第六号までのいずれかに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。
一 任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したとき。
二 死亡したとき。
 保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)。
四 被保険者となったとき。
五 船員保険の被保険者となったとき。
六 後期高齢者医療の被保険者等となったとき。

問題文は「三」のケースにあたりますね。

ちなみに、四〜六のいずれかの被保険者になった場合には「その日」に任意継続被保険者の資格を喪失しますので押さえておきましょう。

では最後に、任意継続被保険者の資格喪失について事例問題を確認しておきましょう。

上記の資格喪失の規定をもう一度見た上で下の過去問を確認しましょう。

 

被扶養者になったら任意継続被保険者の資格を喪失する?

(平成26年問10C)

4月1日に任意継続被保険者となった女性が、健康保険の被保険者である男性と同年10月1日に婚姻し、その女性が、夫の健康保険の被扶養者となる要件を満たした場合には、その日に任意継続被保険者の資格を喪失する。

 

解説

解答:誤

任意継続被保険者が健康保険の被扶養者になっても、任意継続被保険者の資格は喪失しません。

上記の規定ではそのようなことは書いていませんもんね。

では、どうやったら資格喪失できるんでしょう??

上記の規定を見たところ、「2年経過」するのを待つか、「保険料を納付しない」くらいでしょうか。。。

 

今回のポイント

  • 任意継続被保険者になれないのは以下の人です。
    • 被保険者の資格を喪失した者 →  日雇特例被保険者はアウト
    • 喪失の日の前日まで継続して2か月以上被保険者であった者 → 日雇特例被保険者、任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員はアウト
    • 船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等である者は、そもそも任意継続被保険者となることができません。
  • 被保険者の適用除外に該当すれば、任意加入被保険者になれる可能性があります。
  • 「法律の不知」ということでは正当な理由には当たらず、被保険者の資格を喪失した日から20日以内に申出をしなければ任意継続被保険者になることはできません。
  • 保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったときはその日の翌日資格を喪失します。
  • 任意継続被保険者が健康保険の被扶養者になっても、任意継続被保険者の資格は喪失しません。

 

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