「労災保険法 業務災害の事例問題を攻略するちょっとしたコツ」過去問・労災-26

今回は業務災害についての過去問の中でも、事例問題を取り扱ったものを集めてみました。

事例問題と聞くとギョッとしてしまうかもしれません。

かくいう私も、「本試験で事例問題が出たらイヤだなぁ」、と思っていました。

でも、どうやって克服したかというと、やっぱり過去問なんですね。

過去問を繰り返し解いていくうちに、法則性というか、こうやって考えればいいんだ、というのがわかって、それ以降、業務災害の事例問題は怖くなくなりました。

今回は、過去問を通して、事例問題の考え方を確認していきたいと思います。

まず、業務災害の定義をチェックしておきましょう。

業務災害として認められるためには、「労働者の業務上の事由による負傷、疾病、障害または死亡」であることが条件になります。

その「業務上」というのがどういう状態なのかというと、「労働者が事業主の支配下にある状態(業務遂行性」で、「傷病等が業務との間に相当因果関係が存在(業務起因性」しているかどうか、ということになります。

なんだか分かったような分からない表現になってしまいましたが、

つまりは、「仕事時間中に」、「仕事をしていたらケガをしちゃった」ということです笑。

では早速過去問を見ていきたいと思いますが、最初はウォーミングアップということで、上記の規定に関する過去問を見ておきましょう。

 

業務起因性の定義とは?

(平成26年問7D)

労働者が業務に起因して負傷又は疾病を生じた場合に該当すると認められるためには、業務と負傷又は疾病との間に相当因果関係があることが必要である。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

ポイントは、業務起因性が認められるためには「相当因果関係」が必要ということですね。

その業務起因性が認められるには、事業主の支配下にあること(業務遂行性)が条件でしたね。

次はいよいよ事例問題に触れてみることにしましょう。

 

食堂に行くために道路を横断していたら、、、

(平成26年問1A)

自動車運転手が、長距離定期貨物便の運送業務の途上、会社が利用を認めている食堂前に至ったので、食事のために停車し食堂へ向かおうとして道路を横断中に、折から進行してきた自動車にはねられて死亡した災害は業務上とされている。

 

解説

解答:正

問題文のケースは、業務災害になります。

このような事例問題には、問題文に「業務上」か「本人の意思」かが書いてあることが多いです。

やはり、問題文を作成する以上、正誤の判断に困るようなあやふやな表現では困るわけですね。

上記の問題文の場合、食事のために食堂へ向かっていたわけですが、「会社が利用を認めている食堂」ということが書いてありますね。

わざわざ「会社が認めている」と書いてあるわけですから、「業務上」であることを印象付けたいんだと思います。

このような要領で問題文を見ていくと、正誤の判断材料になったりします。

では次の問題を見てみましょう。

 

眼鏡を取りに行く途中にケガをしちゃいました

(平成27年問3A)

勤務時間中に、作業に必要な私物の眼鏡を自宅に忘れた労働者が、上司の了解を得て、家人が届けてくれた眼鏡を工場の門まで自転車で受け取りに行く途中で、運転を誤り、転落して負傷した場合、業務上の負傷に該当する。

 

解説

解答:正

問題文のケースも業務災害になります。

この問題文で注目したいのは、作業に必要な私物の眼鏡」ですね。

作業に必要なわけですから、私物とはいえ、業務を遂行する上で必要な道具なわけです。

おまけに、「上司の了解を得て」いるわけですから、疑いようがないですね。笑

このように、よく読んでみると、結構丁寧に問題文を作ってくれているケースもあるわけですね。

 

休憩時間中でも業務遂行性が認められることはある、、、が?

(平成28年問2B)

炭鉱で採掘の仕事に従事している労働者が、作業中泥に混じっているのを見つけて拾った不発雷管を、休憩時間中に針金でつついて遊んでいるうちに爆発し、手の指を負傷した場合、業務上の負傷と認められる。

 

解説

解答:誤

今回のケースは業務災害とは認められません。

たしかに、休憩中であっても事業施設内にある限りは業務遂行性が認められることがあるのですが、ここで注目したいのが、

「休憩時間中に針金でつついて遊んでいるうちに

なんですね。

「遊んでいて」ケガをしていたのなら「仕事をしていて」ケガをしたという業務起因性は認められませんよね。

だんだん感覚が掴めてきた気がしませんか?

このままどんどん行っちゃいましょう!

 

会社の行事の最中にケガをしてしまいました

(平成27年問3B)

会社の休日に行われている社内の親睦野球大会で労働者が転倒し負傷した場合、参加が推奨されているが任意であるときには、業務上の負傷に該当しない。

 

解説

解答:正

今回のケースも業務災害とは認められません。

休日とはいえ、会社の行事である野球大会に参加していてケガをしたのですから、業務災害にしてもらっても良さそうなものですが、ここでのキーワードは、

「参加が推奨されているが任意

です。

強制ではなく、「本人の意思」で参加しているので事業主の支配下(業務遂行性)にあるとは言えないですね。

なので、今回は業務災害にはなりません。

このような考え方は、労働基準法にもありましたね。

労働時間に該当するかどうかは、「使用者の指揮命令下にあるかどうか」で判断する、といったところです。

たとえば、作業着に着替える時間は労働時間になるかどうか(三菱重工長崎造船所事件)で、始業時間前であっても、ここでこの服装に着替えなさい、と会社から言われて、

逆らうと懲戒処分になる可能性もある、ということであれば、「使用者の指揮命令下」にあると判断されて労働時間に該当するというケースですね。

なので、事業主の支配下にあるかどうかというのがキモなところが共通します。

ちょっと脱線してしまいましたが最後の過去問に行きましょう。

 

作業中のケガではあるにしても、、、

(平成29年問1D)

会社が人員整理のため、指名解雇通知を行い、労働組合はこれを争い、使用者は裁判所に被解雇者の事業場立入禁止の仮処分申請を行い、労働組合は裁判所に協議約款違反による無効確認訴訟を提起し、併せて被解雇者の身分保全の仮処分を申請していたところ、労働組合は裁判所の決定を待たずに被解雇者らを就労させ、作業中に負傷事故が発生した。この場合、業務外として取り扱われる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

なんだか長ったらしい文章ですが、ここにも注目すべきポイントがあります。

それは、

「労働組合は裁判所の決定を待たずに被解雇者らを就労させ」

です。

つまり、会社側が「被解雇者の事業場立入禁止の仮処分申請」をしているところに、労働組合側が提起しているとはいえ、「勝手に」仕事をさせた形になってしまっています。

これでは、事業主の支配下にある(業務遂行性)とは言えません。

漢字ばかりの長文で読みにくいですが、その中に出題者のメッセージがある、ということですね。

 

今回のポイント

いかがだったでしょうか。

事例問題で「業務遂行性」や「業務起因性」といった抽象的なことを言われてもピンとこないかもしれませんが、

問題文をよく読んでみるとキーワードが書いてあるケースが多いのです。

なので、本試験場で緊張しているところで、いかに冷静にキーワードを読みとれるかが大切になってくるのですね。

そのためにも過去問を何度も繰り返して、問題文の読み方、解き方を身につけることができれば、本試験でも実力を発揮できることでしょう。

ただ、過去問は、何度か解いていると解答を覚えてしまい、惰性になりがちですが、正誤だけを反対するのではなく、「なぜその解答になるのかを確認」することが大事なんですね。

ですので、「飽き」に負けることなく、武道でいうところの「型」を身につけるつもりで繰り返し問題演習をしていくようにしましょう。

 

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