社会保険審査官及び社会保険審査会法については、審査官や審査会についての問題、審査請求、再審査請求についての問題に分かれています。
審査請求・再審査請求については、健康保険法など他の法律でも勉強できますので、社会保険審査官や審査会に的を絞るのもいいかもしれませんね。
限られた時間で勉強をするわけですから、できるだけ効率的に進めたいところです。
それでは最初の問題に入っていきましょう。
社会保険審査官についての過去問ですが、どのような基準で任命されるのか、が論点になっています。
社会保険審査官の任命要件は?
(平成29年問6A)
社会保険審査官は、人格が高潔であって、社会保障に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命することとされている。
解説
解答:誤
社会保険審査官は、問題文のような規定はなく、厚生労働省の職員のうちから厚生労働大臣が任命します。
厚生労働省の職員の方々ですから、人選に「学識経験を有する者」というのは違和感がありますね。
(元々本職とされている方々ですし)
問題文の要件は、社会保険審査会の委員長や委員についての要件です。
つまり、規定では、
「(社会保険審査会の)委員長及び委員は、人格が高潔であつて、社会保障に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、厚生労働大臣が任命する。」
と定められています。
このように、社労士試験では要件を入れ替えて出題されることがありますから注意が必要ですね。
ところで、審査請求は本人でなくても代理人がすることもできるのですが、その代理人がどこまでの権限を持つことができるのでしょうか。
次の過去問で確認しましょう。
代理人はどこまでの手続きをすることができる?
(令和2年問9B)
審査請求は、代理人によってすることができる。代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
代理人は、
- 審査請求は、代理人によってすることができる
- 審査請求に関する一切の行為をすることができる
- 審査請求の取下げについても特別の委任を受けた場合に限りすることができる
ということになっています。
なので、審査請求をする本人は代理人に全部任せることができるイメージですね。
こちらの論点については、他の年にも視点を変えて出題されていますので、そちらの問題も読んでみましょう。
代理人はどこまでの手続きをすることができる? その2
(平成24年問9C)
審査請求は、代理人によってすることができる。代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する行為をすることができる。ただし、審査請求の取下げは審査請求人のみが行うことができる。
解説
解答:誤
審査請求の取り下げについては、審査請求人のみが行うことができるのではなく、特別の委任を受けた場合に限り、代理人がすることができます。
このように、社労士試験ではもちろん全く同じ問題が出るわけではないですが、
同じ論点で違った角度から出題されることがよくありますから、そのような意味でも過去問演習をおそろかにすることはできませんね。
では、審査請求・再審査請求についてもう少し見ていきましょう。
次の問題では、再審査請求のタイムリミットについて問われています。
再審査請求をするための期限は?
(令和2年問9E)
健康保険法の被保険者の資格に関する処分に不服がある者が行った審査請求に対する社会保険審査官の決定に不服がある場合の、社会保険審査会に対する再審査請求は、社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月を経過したときは、することができない。ただし、正当な事由によりこの期間内に再審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
健康保険法の「資格」・「標準報酬」・「保険給付」に関する処分について再審査請求をするときは、
審査請求に対する社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月を経過するまでにしなければならず、
2か月を経過したときは、再審査請求をすることができません。
また、審査請求の場合は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内にする必要があります。
ちなみに、健康保険法における保険料の賦課や、徴収、滞納の処分に不服がある場合、社会保険審査会に3ヶ月以内に審査請求をするか、処分取り消しの提起をすることができます。
こちらについても、審査請求、再審査請求についての論点を整理することが重要になってきますね。
で、審査請求については先ほど述べたように3ヶ月以内にする必要があるのですが、正当な理由があって審査請求ができなかったときは、3ヶ月を超えてもできるのですが、これにも限度があります。
その限度はいつなのか、最後に確認しましょう。
審査請求のタイムリミット、、、は?
(平成24年問9B)
健康保険等の被保険者若しくは加入員の資格、標準報酬又は標準給与に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
被保険者もしくは加入員の資格、標準報酬または標準給与に関する処分に対する審査請求は、処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときはすることができません。
今回のポイント
- 社会保険審査官は、問題文のような規定はなく、厚生労働省の職員のうちから厚生労働大臣が任命します。
- 社会保険審査会の委員長及び委員は、人格が高潔であつて、社会保障に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、厚生労働大臣が任命することになっています。
- 代理人は、
- 審査請求は、代理人によってすることができる
- 審査請求に関する一切の行為をすることができる
- 審査請求の取下げについても特別の委任を受けた場合に限りすることができる
ということになっています。
- 健康保険法の「資格」・「標準報酬」・「保険給付」に関する処分について再審査請求をするときは、審査請求に対する社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月を経過するまでにしなければなりません。
- 被保険者もしくは加入員の資格、標準報酬または標準給与に関する処分に対する審査請求は、処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときはすることができません。
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