「労基法 休業による賃金保障の意義を通達から読み解く」過去問・労基-26

使用者は、使用者の責任の範囲で労働者が仕事ができなかったときは、その休業の期間、労働者に休業手当を支払うことで、労働者の生活を保障することになっています。

これが労働基準法第26条により、

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」

と規定されています。

その休業手当について、社労士試験では色々な形で出題されているわけですが、通達をベースにしていることが多いです。

通達をすべて覚えることは現実的ではありませんが、過去問で出されている通達を通じて、条文の考え方を理解できれば本試験で出されても応用が効きます。

では早速見ていくことにしましょう。

 

休日も休業手当が必要?

(平成29年問6E)

労働基準法第26条に定める休業手当は、同条に係る休業期間中において、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、支給する義務は生じない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりで、就業規則などで休日と定められている日は、休業手当を支給する必要はありません

これは、通達「昭和24年3月22日基収4077号」が根拠になっていて、

「法第26条の休業手当は、民法第536条第2項によって全額請求し得る賃金の中、平均賃金の100分の60以上を保障せんとする趣旨のものであるから、

労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない

となっています。

つまり、休業手当は、あくまで使用者の責によって休業になった場合に支払う義務がある、ということですので、もともと休日となっている日まで休業手当の対象にはならない、ということですね。

次は、休業手当の支払い時期についての過去問を確認しましょう。

 

休業手当は賃金支払いの5原則が適用される?

(令和元年問5E)

労働基準法第26条に定める休業手当は、賃金とは性質を異にする特別の手当であり、その支払については労働基準法第24条の規定は適用されない。

 

解説

解答:誤

法26条に定める休業手当は、賃金として法24条(賃金支払の5原則)の規定が適用されます。

これは、「昭和25年4月6日基収207号」、「昭和63年3月14日基発150号」で、

「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合における休業手当については支払期日に関する明文の定めがないが、

休業手当を賃金と解し法第24条第2項に基づく所定賃金支払日に支払うべきものと解してよいか。」

との問に対して「そのとおり」となっています。

どういうことかというと、

休業手当は、そもそも労働者の生活を守るために支払われるものなので、肝心の支払日があやふやでは困るわけですよね。

なので、「賃金は毎月一回以上一定の期日を定めて支払わなければならない」という法24条が、休業手当の支払日にも適用されるのですね。

次は、休業手当が適用されない場合を見ておきましょう。

 

健康診断の結果に基づいて使用者が休業させた場合、休業手当は?

(平成30年問6E)

労働安全衛生法第66条による健康診断の結果、私傷病のため医師の証明に基づいて使用者が労働者に休業を命じた場合、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、休業手当を支払う必要はありません。

「昭和23年10月21日基発1529号」の通達では、

「労働安全衛生法第66条の規定による健康診断の結果に基いて使用者が労働時間を短縮させて労働させたときは、

使用者は労働の提供のなかった限度において賃金を支払わなくても差支えない。(後略)」

とあります。

つまり、健康診断の結果で労働者の労働時間が短くなったのは使用者の責任ではないので、

ノーワークノーペイの原則が適用されてしまい、休業手当が出ないのですね。

ただ、通達の続きでは、必要以上に労働時間を短縮した場合は、休業手当が発生する可能性があるとも言っています。

(ちなみに、安衛法第66条は「一般健康診断」に関する規定です)

では最後に、ストライキと休業手当の関係についてチェックしましょう。

 

ストライキの場合、休業手当は出るの?

(平成26年問4D)

事業場における一部の労働者のストライキの場合に、残りの労働者を就業させることが可能であるにもかかわらず、使用者がこれを拒否した場合、もともとはストライキに起因した休業であるため、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」による休業には該当しない。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、「使用者の責に帰すべき事由」による休業に該当します。

この問題文は、「昭和24年12月2日基収3281号」の通達からの出題なのですが、

「一般的にいえば、労働組合が争議をしたことにより同一事業場の当該労働組合員以外の労働者の一部が労働を提供し得なくなった場合に、その程度に応じて労働者を休業させることは差支えないが、

その限度を超えて休業させた場合には、その部分については法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当する。」

とあります。

労働者のストライキは、使用者の責任でやっているわけではないので、その影響で労働組合員以外の人がトバッチリを喰らうのは仕方ないとのことです。

ですが、必要以上に労働者を休ませたとなると話は別で、使用者の責による休業になる、ということですね。

 

今回のポイント

  • 休業手当は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払われます。
  • 就業規則などで休日と定められている日は、休業手当を支給する必要はありません
  • 法26条に定める休業手当は、賃金として法24条(賃金支払の5原則)の規定が適用されます。
  • 康診断の結果に基いて使用者が労働時間を短縮させて労働させたときは、休業手当を支払う必要はありません。
  • ストライキの場合に、必要以上に労働者を休ませると、使用者の責による休業になる、ということです。

 

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