国民年金法で掛け捨て防止対策になっているのが、「寡婦年金」、「死亡一時金」と今回の「脱退一時金」になります。
この脱退一時金は、日本国籍のない外国人の方が対象になります。
何年か日本で過ごしただけで帰国してしまうと、老齢基礎年金をもらうことができないことがあります。
なので、脱退一時金を支給することで掛け捨て防止にしようという仕組みになっています。
では、社労士試験でどのように問われているのか見てみましょう。
脱退一時金の支給要件は?
(平成29年問8C)
脱退一時金の請求について、日本国籍を有しない者が、請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数を3か月及び保険料半額免除期間の月数を6か月有する場合、この者は、当該請求に必要な保険料の納付の要件を満たしている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
脱退一時金の支給要件は、
請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての
- 被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数
- 保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数
- 保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数
- 保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数
を合算した月数が6月以上である日本国籍を有しない者(被保険者でない者に限る。)となります。
問題文の場合は、
「保険料納付済期間の月数を3か月 及び 保険料半額免除期間の月数を6か月」
とあるので、
3か月+(6か月×1/2)=6か月
と計算することができ、ギリギリ要件を満たしているので脱退一時金の支給要件を満たしています。
では次に、脱退一時金がもらえない不支給の要件を確認してみましょう。
脱退一時金は、障害基礎年金の受給権者はもらえない?
(平成30年問10B)
障害基礎年金の受給権者であっても、当該障害基礎年金の支給を停止されている場合は、脱退一時金の支給を請求することができる。
解説
解答:誤
障害基礎年金の受給権者を有したことがある時は、脱退一時金を請求することはできません。
ここで、脱退一時金がもらえないパターンを確認しておきましょう。
- 日本国内に住所を有するとき。
- 障害基礎年金等の受給権を有したことがあるとき。
- 最後に被保険者の資格を喪失したときから起算して2年を経過しているとき。
- 資格喪失時に日本国内に住所を有していた場合は、初めて日本国内に住所を有しなくなった日から起算して2年を経過しているとき。
となります。
では最後に、脱退一時金について、「この処置は納得できません!」という場合の審査請求方法をチェックしましょう。
脱退一時金は審査請求することが、、、??
(平成24年問6D)
脱退一時金は国民年金法第15条に定める給付ではないので、その処分に不服があっても、社会保険審査会に対して審査請求することはできない。
解説
解答:誤
規定では、
「脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。」
とあるので審査請求することができます。
ここで気をつけなければならないのは、
審査請求をするのは社会保険審査官ではなく、社会保険審査会であるということです。
脱退一時金の審査請求をするのは、日本国内に住所のない、すでに外国に出国している外国人の方です。
なので、地方厚生局に置かれている社会保険審査官ではなく、厚生労働省内にある社会保険審査会が審査請求先になっているんでしょうね。
そうそう、この機会に、寡婦年金、死亡一時金や、厚生年金の脱退一時金も合わせて確認しておくことをオススメします♫
記事のリンクはこちら ↓
脱退一時金(厚生年金)
今回のまとめ
◆脱退一時金の支給要件は、
請求の日の前日において請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての
- 被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数
- 保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数
- 保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数
- 保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数
を合算した月数が6月以上である日本国籍を有しない者(被保険者でない者に限る。)となります。
◆脱退一時金がもらえないパターン
- 日本国内に住所を有するとき。
- 障害基礎年金等の受給権を有したことがあるとき。
- 最後に被保険者の資格を喪失したときから起算して2年を経過しているとき。
- 資格喪失時に日本国内に住所を有していた場合は、初めて日本国内に住所を有しなくなった日から起算して2年を経過しているとき。 となります。
◆脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができます。
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