このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今回は、労働に関する一般常識から労働契約法の「解雇」について見てみたいと思います。
今日は、解雇の中でも「期間の定めのある労働契約(有期労働契約)」を締結した労働者を解雇する場合のルールについて確認しましょう。
「やむを得ない事由」があると認められる場合とは
(平成28年問1エ)
使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができないが、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも狭いと解される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
そもそも、解雇については、労働契約法第16条に、
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
と定められています。
また、有期労働契約の場合、労働契約法第17条において、
「使用者は、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」
と規定しています。
法16条の「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」と、
法17条の「やむを得ない事由」を比較した場合、
「やむを得ない事由」の方が解雇が認められにくくなっています。
それは、無期労働契約と違って、有期労働契約は、その期間が満了すれば労働契約は終了することになっているので、
通常は、期間満了した時点で労働契約を終了させれば良いわけで、
有期労働契約を途中で破棄して解雇するのは、よくよくの事情がないとできないよということですね。
では、「やむを得ない事由」についてもう少し見てみましょう。
この「やむを得ない事由」の内容については、労使が合意していれば認められるのでしょうか。
下の問題で確認しましょう。
「やむを得ない事由」は労使が合意していたらOK?
(令和元年問3D)
有期労働契約の契約期間中であっても一定の事由により解雇することができる旨を労働者及び使用者が合意していた場合、当該事由に該当することをもって労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」があると認められるものではなく、実際に行われた解雇について「やむを得ない事由」があるか否かが個別具体的な事案に応じて判断される。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
有期労働契約の途中で解雇できる事項を労使が合意していたとしても、
「やむを得ない事由」かどうかは、実際に解雇が行われたときに、
個別具体的に判断されることになります。
この「個別具体的」というのは、行政(たとえば労基署)が判断するものではなく、
労使でトラブルになった場合、司法で個別に判断されるということです。
今回のポイント
- 法16条の「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」と、法17条の「やむを得ない事由」を比較した場合、法17条お「やむを得ない事由」の方が解雇が認められにくくなっています。
- 「やむを得ない事由」に該当するかどうかは、実際に解雇が行われたときに、個別具体的に判断されることになります。
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