労働契約には、「期間の定めのないもの」と「期間の定めのあるもの」に分けることができます。
「期間の定めのないもの」とは、一般的な正社員にみられるような無期契約のことを指します。
「期間の定めのあるもの」はそれに対して、有期契約となるのですが、この契約期間に関しては、あまりに長期の期間だと不当な人身拘束につながる可能性があるため、一定の制限があります。
このあたりを社労士の試験で何度か出題されました。
それでは、どのような過去問が出ていたのか見てみましょう。
契約の更新にも規定ありました?
(平成23年問2A)
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(労働基準法第14条第1項の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならず、また、期間を定める労働契約の更新によって継続雇用期間が10年を超えることがあってはならない。
解説
解答:誤
「期間を定める労働契約の更新によって継続雇用期間が10年を超えることがあってはならない。」という規定はありません。
したがって、3年の雇用契約を4回更新して、合計12年働くことは大丈夫です。
ここで規定を確認してみましょう。
法14条1項 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の①、②のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
① 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のもとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
② 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(①に掲げる労働契約を除く。)
簡単に書くと、
- 原則は3年
- 建設工事など一定の事業に完了に必要な期間(3年超オッケー)
- 高度の専門知識を必要とする業務に就く(上限5年)
- 満60歳以上の人と契約するとき(上限5年)
それではおさらいです。
次の過去問を見てみましょう。
高度の専門的知識はありますけど、、
(平成28年問2A)
使用者は、労働者が高度の専門的知識等を有していても、当該労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合は、契約期間を5年とする労働契約を締結してはならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
上記の①にある、「(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)」という規定が適用されます。
たとえば、社労士の資格を持っていても、まったく別の仕事をする場合は、契約期間を5年にすることはできない、ってことですね。
ちなみに、社労士も「高度の専門的知識等を有する労働者」に入っています。
今回のポイント
労働契約で、期間の定めがある場合の上限は、
- 原則は3年
- 建設工事など一定の事業に完了に必要な期間(3年超オッケー)
- 高度の専門知識を必要とする業務に就く(上限5年)
- 満60歳以上の人と契約するとき(上限5年)
でも、契約の更新の回数の上限については規制されていません。
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