過去問

【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 厚生年金法 厚生年金保険原簿」過去問・厚-80

このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。

なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。

なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。

今日は、厚生年金法から厚生保険年金原簿について見てみたいと思います。

厚生保険年金原簿というのは、いわゆる会社員などが被保険者となっている第1号厚生年金被保険者についての情報が記録されているものです。

これは、たとえば将来もらえるはずの老齢厚生年金の金額に関わることですから、もし被保険者が思っていたのと違う情報になっていたら困りますよね。

その際に原簿の訂正を請求できる仕組みがあります。

この訂正請求がどのような制度になっているのか見ていくことにしましょう。

 

厚生年金保険原簿の訂正請求ができるのは、、、

(平成30年問6E)

厚生年金基金の加入員となっている第1号厚生年金被保険者期間については、厚生労働大臣に対して厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

第1号厚生年金被保険者である者と、過去に第1号厚生年金被保険者であった者については、

第1号厚生年金被保険者の資格の取得や喪失の年月日、標準報酬などについて事実でなかったり、

記録されていないと思料(思いはかる)されるときは、厚生労働大臣に対して厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができます

上記は被保険者本人についてのお話ですね。

では下の問題のように、第1号厚生年金被保険者であった者の遺族の場合、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができるのでしょうか。

 

第1号厚生年金被保険者の遺族は訂正請求できる?

(平成30年問6B)

第1号厚生年金被保険者であった老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、その者の死亡により遺族厚生年金を受給することができる遺族はその死亡した者の厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができるが、その者の死亡により未支給の保険給付の支給を請求することができる者はその死亡した者の厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができない。

 

解説

解答:誤り

問題文の場合、訂正の請求をすることができます。

第1号厚生年金被保険者や、第1号厚生年金被保険者であった者が死亡した場合に、未支給の保険給付や遺族厚生年金を受けることができる者については、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができます

未支給の保険給付や遺族厚生年金は、遺族が受給することができる立派な権利ですから、

亡くなった被保険者の記録がおかしいと思った場合は、訂正の請求をできるようにしておかないとおかしいですね。

さて、ここまでは第1号厚生年金被保険者にまつわるお話でしたが、公務員も同じように厚生労働大臣に対して訂正請求ができるのでしょうか。

下の問題で確認しましょう。

 

国家公務員も訂正請求できるのか

(平成30年問6A)

第2号厚生年金被保険者であった者は、その第2号厚生年金被保険者期間について厚生労働大臣に対して厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

厚生労働大臣に対して厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができるのは、第1号厚生年金被保険者に関することだけですので、

第2号厚生年金被保険者期間については訂正請求をすることができません。

第2号厚生年金被保険者は国家公務員であり、実施機関は国家公務員共済組合ですから、

たとえば、国土交通省の職員の被保険者期間に関することについて、厚生労働大臣に訊いたところで回答のしようがないということなんでしょうかね。

で、厚生労働大臣が訂正請求を受けた場合、厚生労働大臣が自分一人で方針などを決定できるわけではありません。

厚生労働大臣は厚生労働省のトップではありますが、実務をするわけではありませんから、誰かに相談することになっています。

それについて、社労士試験ではどのように出題されているのか読んでみましょう。

 

厚生年金保険原簿の訂正に関する方針を定めるときは

(平成30年問6C)

厚生労働大臣は、訂正請求に係る厚生年金保険原簿の訂正に関する方針を定めなければならず、この方針を定めようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならない。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

訂正請求があって、厚生年金保険原簿の訂正に関する方針について定めるとき、厚生労働大臣は、あらかじめ社会保障審議会」に諮問することになっています。

ちなみに、国民年金の方では、社会保険審査会に入れ替えて誤りの選択肢で出題されています。

よろしければ下記の記事もご覧いただければと思います。

 

参考記事:【ふわっと全科目を眺める】「社労士試験 国民年金法 国民年金原簿」過去問・国-79

 

で、厚生労働大臣に厚生年金保険原簿の訂正請求をしたものの、不本意な決定がなされた場合、

審査請求をすることができるのですが、誰に対して審査請求をするのか、下の問題で確認しましょう。

 

 

訂正請求の結果に不服がある場合の審査請求

(平成30年問6D)

厚生労働大臣が行った訂正請求に係る厚生年金保険原簿の訂正をしない旨の決定に不服のある者は、厚生労働大臣に対して行政不服審査法に基づく審査請求を行うことができる。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

厚生年金保険原簿の訂正請求に関する審査請求は、厚生労働大臣に対して行います。

通常、被保険者の資格や保険給付などに関する審査請求は、社会保険審査官に対して行うのですが、

厚生年金保険原簿の訂正請求の場合は、別ルートで審査請求を行うということですね。

 

今回のポイント

  • 第1号厚生年金被保険者である者と、過去に第1号厚生年金被保険者であった者については、資格の取得や喪失の年月日、標準報酬などについて事実でなかったり、記録されていないと思料されるときは、厚生労働大臣に対して厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができます
  • 第1号厚生年金被保険者や、第1号厚生年金被保険者であった者が死亡した場合に、未支給の保険給付や遺族厚生年金を受けることができる者については、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができます
  • 厚生労働大臣に対して厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができるのは、第1号厚生年金被保険者に関することだけですので、第2号厚生年金被保険者期間については訂正請求をすることができません。
  • 訂正請求があって、厚生年金保険原簿の訂正に関する方針について定めるとき、厚生労働大臣は、あらかじめ社会保障審議会」に諮問することになっています。
  • 厚生年金保険原簿の訂正請求に関する審査請求は、厚生労働大臣に対して行います。

 

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