このブログでは、毎日科目を変えてお送りしています。
なぜかというと、早いうちに全科目に触れておくことで、社労士試験の全容がイメージしやすくなり、勉強のペースが掴みやすくなるからです。
なので、あまり構えずに「ふ〜ん、そうなんだ」くらいの気軽な気持ちで読んでみてくださいね。
今日は、健康保険法の「目的条文」について見てみたいと思います。
健康保険法の目的条文(第1条)では、
「この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」
と規定しています。
つまり、労災保険法の業務災害と認められなかった傷病について健康保険法上の保険給付を行うということですが、
過去問ではもう少し掘り下げた形で出題されていますので見てみましょう。
請負業務中にケガをしても健康保険は使える?
(平成28年問5D)
被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合等、労働者災害補償保険の給付を受けることのできない業務上の傷病等については、原則として健康保険の給付が行われる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
請負業務は、その範囲においては労災保険法上の労働者ではないので、請負業務中にケガをしても業務災害とはならず、健康保険の給付が行われます。
このご時世、副業が認められるようになりましたので、本業以外に仕事をしている人も多くなりました。
そういった副業中のケガなどについて、労災保険と健康保険のどちらからの給付となるのかは、その時点で「労働者」だったかどうかが判断の分かれ目になりそうですね。
さて、次は法人の代表者について見ておきましょう。
法人の代表者は、健康保険の被保険者となりますが、業務中にケガなどをした場合は健康保険の給付対象外となります。
労働者が、業務中にケガをすると業務災害として労災保険が適用されますが、
法人の代表者については、労働者ではないので労災保険は適用されません(特別加入の制度はありますが)。
なので、法人の代表者が業務中にケガをした場合に、労災保険も健康保険も使えないということが発生します。
ただ、ある条件を満たせば法人の代表者でも業務中のケガについて健康保険の給付が行われるようですので、要件を確認しましょう。
法人の代表者が業務に起因した傷病について健康保険の給付を受けるためには
(平成30年問10A)
被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者は、業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても健康保険による保険給付の対象となる場合があるが、
その対象となる業務は、当該法人における従業員(健康保険法第53条の2に規定する法人の役員以外の者をいう。)が従事する業務と同一であると認められるものとされている。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
法人の代表者が業務に起因して生じた傷病について健康保険が適用されるには、
- 被保険者が5人未満である適用事業所
- 従業員と同じ業務に従事していたこと
であることが条件です。
なので、社長としての仕事をしていてケガをしても健康保険は使えないということになりますね。
では、法人の代表者に給付される保険給付の内容について下の過去問で確認しておきましょう。
法人の代表者に適用される保険給付の内容は?
(平成26年問2C)
被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務(当該法人における従業員が従事する業務と同一であると認められるものに限る。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関しては、傷病手当金を含めて健康保険から保険給付が行われる。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
法人の代表者に対する健康保険の保険給付は、傷病手当金も含まれます。
ちなみに、法人の代表者に対する健康保険の取扱いについては、通達が出ていますのでリンクを貼っておきますね。
参考記事:健康保険法の第1条(目的規定)等の改正に関するQ&Aについて 平成25年8月14日 事務連絡
今回のポイント
- 請負業務は、その範囲においては労災保険法上の労働者ではないので、請負業務中にケガをしても業務災害とはならず、健康保険の給付が行われます。
- 法人の代表者が業務に起因して生じた傷病について健康保険が適用されるには、
- 被保険者が5人未満である適用事業所
- 従業員と同じ業務に従事していたこと
であることが条件です。
- 法人の代表者に対する健康保険の保険給付は、傷病手当金も含まれます。
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