労働者を災害から守るために、設備などの点検も必要ですが、労働者自身にも安全についての意識や知識を持ってもらうことも重要です。
安衛法では、安全衛生教育についての規定があり、社労士試験でも出題されています。
まずは、安全衛生教育の位置づけについて確認しましょう。
安全衛生教育は労働時間に入る?
(平成26年問10B)
労働安全衛生法第59条及び第60条の安全衛生教育については、それらの実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該教育が法定労働時間外に行われた場合には、当然割増賃金が支払われなければならない。
解説
解答:正
問題文のとおりです。
法59条では、「事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。」と規定していますし、法60条の職長教育についても同様です。
つまり、安全衛生教育は、事業者の義務ということになりますので、教育を行なっている時間は労働時間になる、というわけです。
ただ、なんでもかんでも画一的にすればいいというわけではありません。
次の過去問を見てみましょう。
それ、もう知ってます。
(平成22年問10B)
事業者は、労働者の作業内容を変更したときは、労働安全衛生規則に定める事項について安全衛生教育を行わなければならないが、当該事項の全部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者であっても、その全部の事項についての安全衛生教育を省略することはできない。
解説
解答:誤
安全衛生教育に関して十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、教育を省略することができます。
もう、「耳にタコなんですけど」という場合は省略できるんですね。
では、最後に安全衛生教育の記録についての過去問を見ておきましょう。
記録、保存しないとダメですか?
(平成22年問10D)
事業者は、建設用リフトの運転の業務に労働者を就かせるときは、その業務に関する特別の安全衛生教育を行わなければならないが、その業務に関する特別の安全衛生教育を行ったときは、当該教育の受講者、科目等の記録を作成して、3年間保存しておかなければならない。
解説
解答:正
規定では、『事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しておかなければならない。」(則38条)となっています。
特別教育は、危険又は有害な業務に就く場合に行うので、何かあった時のために記録を取っときなさい、ということなんでしょう。
ちなみに、記録の保存義務があるのは、特別教育のみで、雇入時や作業内容変更時、職長教育にはありません。
今回のポイント
- 安全衛生教育については、それらの実施に要する時間は労働時間と解されています。
- 安全衛生教育に関して十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、教育を省略することができます。
- 事業者は、特別教育を行ったときは、記録を作成して3年間保存しておかなければなりません。
- 記録の保存義務があるのは、特別教育のみで、雇入時や作業内容変更時、職長教育にはありません。
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