過去問

「労基法 ここから押さえたい労使協定の要件」過去問・労基-45

今回は労使協定に関係する過去問を集めてみました。

社労士試験で労使協定で問われる要件としては、過半数代表者の条件であったり、労使協定の効力、変形労働時間制の届出要件など色々ありますが、

今回は基本的な問題を集めてみましたので、丁寧に押さえていくようにしましょう。

最初の問題は、過半数代表者の要件についての論点になります。

過半数代表者に「なれない」人というのはどんな人なのでしょう。

 

管理監督者と過半数代表者

(平成22年問7C)

労働基準法第41条第2号に定めるいわゆる管理監督者に当たる者であっても、労働基準法第9条に定める労働者に該当し、当該事業場の管理監督者以外の労働者によって選出された場合には、労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定を締結する労働者側の当事者である過半数を代表する者になることができる。

 

解説

解答:誤

管理監督者にあたる者は、たとえ選出されたとしても過半数代表者になることはできません

他に過半数代表者になれない人として、「使用者の意向に基づいて」選出された人もダメです。

過半数代表者を決める時は、投票だったり、挙手などで決めることができますが、「使用者の息のかかった人」はたとえ選ばれたとしてもアウト、ということですね。

次の問題は、大きな会社で本社だけでなく、支店や営業所など複数の事業所がある場合に36協定書の取り扱いについてが論点になっています。

ポイントは労働組合の規模による協定書の簡素化、というところでしょうか。

 

支店などの事業場が複数ある場合の労使協定書の取り扱い

(平成29年問4E)

本社、支店及び営業所の全てにおいてその事業場の労働者の過半数で組織する単一の労働組合がある会社において、本社において社長と当該単一労働組合の本部の長とが締結した本条に係る協定書に基づき、支店又は営業所がそれぞれ当該事業場の業務の種類、労働者数、所定労働時間等所要事項のみ記入して、所轄労働基準監督署長に届け出た場合、有効なものとして取り扱うこととされている。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

すべての事業所で労働者の過半数で組織している労働組合が本社と協定書を交わしたのであれば、たとえば各事業場の36協定届を労基署に届け出る時は所用事項のみの記入で大丈夫、ということですね。

36協定届に労使の協定届を添付して労基署に提出することはよくあることですね。

労使の協定書の方で要件を満たしていれば手続きを簡素化できるということなんでしょうね。

で、この労基署に届け出る36協定届について、過半数代表者の署名などを記入する欄があります。

もし、記入した人が過半数代表者でなかったとしたら、36協定の効力はどうなるのでしょう。。。

 

36協定の労働者側が過半数代表者じゃなかったら、、、?

(平成23年問4D)

労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定を締結した労働者側の当事者が労働者の過半数を代表する者ではなかったとしても、当該協定を行政官庁に届け出て行政官庁がこれを受理した場合には、当該協定は有効であり、労働者は使用者の時間外労働命令に従う義務を負うとするのが最高裁判所の判例である。

 

解説

解答:誤

問題文の場合、協定は無効で労働者は時間外労働命令に従う必要はありません。

まぁ、それはそうですよね。

時間外労働は労基署に36協定を届け出ることが条件になっているとはいっても、はそもそも「代表」の要件を満たしていないわけですから有効にしようがないですよね。

ではもし、36協定が有効だったとして、協定を締結したのが労働組合の場合、その労働組合の組合員でない人にも、36協定の効力は及ぶのでしょうか。

次の問題では、36協定の効力について見てみましょう。

 

36協定の効力はどこまで及ぶ?

(平成25年問3E)

事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合において、使用者が、その労働組合と36協定を締結し、これを行政官庁に届け出た場合、その協定が有する労働基準法上の効力は、当該組合の組合員でない他の労働者にも及ぶ。

 

解説

解答:正

問題文のとおりです。

36協定を締結したのが労働者の「過半数」で組織されている労働組合であれば、その労働組合に入っていない人にも効力が及びます。

ちなみに、労働者の過半数で組織されている労働組合以外に他の労働組合があったとしても、他の労働組合と協定を結ぶ必要はないのです。

「過半数労働組合」と協定すればOKということですね。

では最後に、労使協定の効力についてもう一問見ておきましょう。

そもそも労使協定の締結には反対している人に対しても効力は及ぶのでしょうか。。。

 

労使協定の効力はどこまで及ぶ? その2

(平成22年問7A)

労働基準法第36条第1項等に定める労働基準法上の労使協定が有する労働基準法の規制を解除する効力(労働基準法上の基準の強行的・直律的効力〔13条〕の解除、労働基準法上の罰則〔117条以下〕の適用の解除)は、労使協定の締結に反対している労働者には及ばない。

 

解説

解答:誤

たとえ労使協定の締結に反対している労働者であっても、協定が有効であれば、その事業場全員の労働者に協定の効力は及びます。

言い方は悪いですが、多数決で決まったんならそれに従いなさいということになりますね。

 

今回のポイント

  • 管理監督者にあたる者は、たとえ選出されたとしても過半数代表者になることはできません
  • すべての事業所で労働者の過半数で組織している労働組合が本社と協定書を交わしたのであれば、たとえば各事業場の36協定届を労基署に届け出る時は所用事項のみでの届出で大丈夫です。
  • 36協定を締結した労働者側の当事者が、もし労働者の過半数を代表する者ではなかったら、その36協定は無効になります。
  • 36協定を締結したのが労働者の「過半数」で組織されている労働組合ならその労働組合に入っていない人にも効力は及びます。
  • 労使協定の締結に反対している労働者でも、協定が有効なら、その事業場全員の労働者に協定の効力は及びます。

 

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